コーヒー収穫ツアーを行いました。(山本佳波) | Cordillera Green Network インターン体験記

Cordillera Green Network インターン体験記

フィリピン・ルソン島北部のバギオを本拠地に、山岳地方(コーディリエラ地方)で活動する現地法人の環境NGO「コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(Cordillera Green Network:CGN)」の日本人インターンによるブログです。お問い合わせはcordigreen(a)gmail.com
まで。

こんにちは、CGNインターンの山本です。
1月17日をもってCGNインターンを卒業して日本に帰国しました。
そしてあっという間に2週間がたとうとしているのですが、日々が過ぎるのがあまりにもあっという間で驚いています。

バギオにいる間に書くことができなかった記事がいくつもあるのでこれから順番に
書いていきたいと思います。

この記事ではコーヒー収穫ツアーについて書いていきたいと思います。



2016年11月、12月にコーヒー収穫ツアーを行いました。
これは、CGNのコーヒー事業地に参加者の人々をお連れしてコーヒー収穫体験、そして数あるコーヒーの加工作業を実際に自分の手で体験をしていただき、1杯のコーヒーの裏にどれだけの農家さんの努力があるのかを実際に感じてもらうというものです。
また、フェアトレードに関心をもってもらうきっかけにしたいという思いもありました。

今コーヒーは空前の大ブーム。
日本でも次から次へと新しい、おしゃれなカフェがたくさんできています。
バギオでも町の中心・セッションロードだけでいくつのカフェがあるでしょうか。
このように私たちの生活にとても身近でいつも何気なく飲んでいるコーヒー。
しかしこのコーヒーがどのように私たちの口に届いているのかまで知っている人はなかなかいません。


さて、ツアーは11月19日(土)、12月10日(土)の計2回行いました。
1回目はトゥブライ町サヤタン集落、2回目は同じくトゥブライ町バウィ集落にて。

ツアーは最初みなさんの自己紹介から始まります。



1回目のツアーでは様々な英語学校の生徒さんが中心、2回目は英語学校の生徒さんに加えて半数以上がマニラからわざわざこのツアーのためにバギオを訪れてくれたコーヒーラバーのみなさんを迎えてのツアー。

みなさんコーヒーがお好き、ということもありすぐに打ちとけて楽しい雰囲気に。

そして道中はジプニーでの旅。



途中でお昼ごはんの鶏さんを買って、その場で山岳地方伝統料理のピニピカンのためにその鶏を締めます。首を一気に切るのではなく、血の1滴も無駄にしないために叩いてゆっくりと締めていくのがこの地方の伝統。日本や、フィリピンでも町中では見ないその光景にショックを受けている参加者の方もいましたが、私たちの食べ物がどのように自分たちのもとに来ているのかを知るきっかけになったのではないでしょうか。



到着後はCGNスタッフによるコーヒーについてのレクチャーです。
CGNの活動について、なぜコーヒー栽培を行っているのか、コーヒーがどのように農家さんの生活を助けているのか、コーヒーの実の構造、そして収穫時の注意点などを説明します。




その後はいよいよ収穫です。
グループごとに分かれて実の収穫をしました。
コーヒーの実はこのように真っ赤な鮮やかな色をしています。品種によっては黄色やオレンジ色の実をつけるものもあります。種から芽がでて、苗木になって、その苗木を土地に植えて、堆肥をあたえたり、よりよい発育のために影をつくる木をそばに植えたり、そうして数年後に真っ白な美しい花を咲かせ、ようやくこのようなコーヒーチェリーが実ります。
この時点ですでに種を植えてから4~5年が経過しています。


CGNの事業地のコーヒー栽培はすべてアグロフォレストリー、そしてオーガニック。
山の急な斜面に、その土地にあったほかの種類の木や作物と一緒に育てるこの農法はだだっ広いところにコーヒーの木だけを植えるのと比べると効率の面では劣ります。
しかし農家さんが一生懸命育てたこれらは、環境にやさしい、そしてそれを飲む人にもやさしいコーヒーです。

収穫は、茎の部分をとらないように、赤くなった実だけをとるという一見シンプルな作業ですが、なんにせよひとつひとつ実をとっていくというすべて手作業。
たくさんに実った真っ赤なコーヒーの実をつむ作業はなかなか時間がかかります。







参加者「いったい何本くらいのコーヒーの木をもっているんですか?」
農家のレイヤさん「700本くらいかな。」
参加者「えー!そんなに!?」
たった1本の木の実をとるだけでもかなりの時間がかかったのに700本と考えたら一体どれだけの時間がかかるのでしょうか。しかも普段このおおきな土地を世話しているのはレイヤさんと彼女の家族のメンバーもう一人の計2人だけ。さすがに収穫期には何人か人を雇うといっていましたが、それでも大変な量に間違いありません。
参加者のみなさんとともに私も驚きと感嘆でした。

お昼ごはんは途中で買った鶏でつくったピニピカンをみなさんでいただきました。
味付けはお塩とショウガだけなのに、びっくりするくらい鶏のうまみがでていておいしいスープが特徴的です。足の爪とくちばし以外、すべての部分を無駄にせずにいただきます。





午後はコーヒーの加工のプロセスの体験です。
コーヒーの豆の加工はおおまかにいうと次のとおりです。

果肉の除去

発酵

乾燥

脱穀

選別

焙煎

挽く

抽出

まずはコーヒーの実についた果肉の除去からです。
これはこのような機械を使って行います。


これで赤い果肉の部分と種を分けます。


しかしこれだけでは完全に分けることはできません。
大体の果肉は取り除けるのですが、種と一緒に混ざってしまった果肉もあるので
それを手作業で取り除きます。
これもなかなか時間のかかる作業です。


次にすでに乾燥したパーチメントと呼ばれる皮付きのコーヒー豆の脱穀に挑戦。
いまでもこのような杵臼を使って行います。





そして脱穀した豆を今度は昔ながらの方法、たき火で焙煎。
15分程でぱちぱちという楽し気な音が聞こえてきます。




そして焙煎した豆をしばらく冷やして、
先ほど脱穀の際に使用した杵臼をもう一度使用して
豆を挽きます。

いい香りが漂ってきます。

そしてこのコーヒーをやかんでぐつぐつと煮出すというこの地方での昔ながらの淹れ方でいただきました。



収穫体験の前にもコーヒーを一杯飲んだのですが、みなさん口をそろえていうのは
「最初のよりもこっちのほうが断然おいしい!」
それは、もちろん挽きたて、淹れたてということもありますが、なによりも
この1杯になるまでの農家の人の苦労や努力を知ったことが一番の理由ではないでしょうか。


ツアー終了後はゲストハウスTALAに帰ってきて、
みんなでTALAにて販売している、CGNの事業地でとれたコーディリエラコーヒー、「KAPI TAKO」コーヒーを飲みながら振り返り会を行いました。

「いつも簡単にコーヒー飲んでいたけどそのありがたさに気づいた。」
「これからコーヒーを飲むたびに今日のこと思い出す!」
「これからコーヒーの勉強始めたい」
「今日のコーヒーが今までの人生の中で一番おいしかった!!」
「もっと多くの人にこのようなツアーに参加してもらいたい。特に若い人に。」
「マニラでもここのコーヒーが飲みたい。」
などなどみなさん素敵な感想をシェアしてくれました。


私自身、今回企画から同行まですべて任せていただいたのですが
とても楽しく、学び多き旅となりました。

こちらのコーヒー収穫ツアーは2年前から毎年インターンが行っていたようで
今年もこのツアーをやったらどうか、という提案をCGN代表眞理子さんから誘っていただいたのが始まりです。

環境教育やスタディツアーに興味のある私にとってはまたとない機会だったのですが、
それまで全くコーヒーについてなんの知識もない状態の私。
コーヒーの勉強をするところから始まりました。

このツアーを通して学んだことは、たくさんあるのですが、大まかにわけると3つの学びがありました。
まず一つ目は“ツアー”というものの運営がどういうものなのか。
一番始めから最後まで通してやらせてもらったおかげでそれらがわかりました。

ツアーの準備、といっても何をするのか。

まず、企画をする。そしてスタッフと相談を重ねる。
農家さん側にアポイントメントを取る。
大体ツアーの内容が決まってきたら次に予算決め。
そのあとにやっと参加者を募集する段階に進めます。
まずポスターを作って、
フェイスブックを使って情報発信をしたり、
バギオ市内にいくつもある英語学校に足を運んで
ツアーの紹介を学校内でしてもらえるようにお願いをしにいったり、
マニラのメディアに記事の掲載を依頼したり。
そして参加者の方々とのやり取り、
それと同時並行で当日必要な道具の準備、
当日参加者のみなさんに配る、配布資料日本語版と英語版の作成、
ツアー当日は同行、通訳や補足が必要な部分ではそれらも行います。
そしてツアーが終わった後には会計の報告
などなど数えたらきりがないほどの作業がありました。

(マニラの日本人向けメディア、「ナビマニラ」にて記事を掲載していただきました。)

最初に苦戦したのは、どのように参加者を集めるのかという点です。

ある日、眞理子さんにどんな物事も、想像×創造が大切だといわれました。
どんな人がこの情報を得るんだろう、その人はどんな気持ちになるだろう、
相手のことを思いやって、想像して、それをもとに自分なりに創造するということです。

例えばポスター作り。
誰が対象なのか。見る人によってもちろん情報の内容も変えなければいけないし
それに加えて誰もが見やすいように、内容が一発で分かるようにする必要があります。

もちろん、人を集める以外にもすべてのことにこの想像×創造の法則は当てはまります。

次に苦戦したことは、予算の設定です。
参加費も、利益を出すことを考えたら当然上げる必要があります。
英語学校の生徒さまなど、もともとはそこまで興味がない人にも
気軽に参加してもらって、環境のことに興味をもつきっかけにしたいという思いも
あったので、できる限り費用を抑えたいという思いの一方で、
継続するためには利益がでないと不可能だという事情もありました。

また、それと同時に農家さん側のメリットも考える必要があります。
このツアーをやることによってコミュニティにとってどのようなメリットがあるのか。
そういったことを考えなければ、ツアーを継続することはできません。

今回の収穫ツアーは2回限り、そして来年度もやるかどうかは
私は分からないのですが、参加者のみなさんがぜひ継続してほしいと言ってくれました。
もっと多くの人に体験してもらいたいといってくれました。
なので、そのために上で述べたようなことをこれからしっかりクリアにしていかなければならないと感じました。

“ツアー”とは、
学びのあるツアーとは
心からの充実が得られるツアーとは
人と人をつなぐ
人と地域をつなぐ
人と文化をつなぐ
そういったツアーであるべきだと私は思います。

そのためにはツアーの組み立てをしっかり行う必要があります。
どんなツアーでも、どんな内容でも、それをどのようにマネジメントするかによって
参加者が得られるものは違います。

参加者同士が仲良くなったり、
実際に現地の人がやっていることを同じように体験してみたり
現地でしか得られないような情報を得たり
そのための仕組みづくりがツアーを成功させるために必要なことだと学びました。

これらは大学で観光を学んでいる私にとって、実際の現場でそういったことを
勉強することができた大変貴重な機会でした。




2つ目に、コーヒーの奥深さに触れることができました。
コーヒーは長い歴史があり、世界史の中でもコーヒーが果たす役割は大きいと学びました。
また、コーヒー栽培は農家の方々にとって現金収入を得ることができる強い手段になりうるということ、
その一方でたくさんの複雑な工程があり、努力と忍耐なしではできないということにも気づきました。

私はこれまでなぜそこまでコーヒーが世界中で愛されているのか
全く理解できなかったのですが、それはその奥深さにあり、
世界中の人がこぞってほしがるいわば魔法の豆だと思いました。

しかしこれだけ手間がかかるのにも関わらず、
その豆の取引されている価格の安いことに驚きました。
今はまだ発展途上国と呼ばれている国が安い賃金で大量に作っているけれど
これからそういった国がどんどんと成長していったら
コーヒーは今飲んでいる価格では飲めない日が近い将来やってくるのではないでしょうか。

コーヒーについてはこれからも少しずつ勉強したいです。

そして最後の3つ目は、自分自身がこのツアーに同行という形ではあるが同行して気づいたことで、
自分たちの目の前にあるものいつも手にしているもの口にしているものは数えきれない人の手が加わっているということです。

これはコーヒーに限りません。
日本だとすべてが完成された状態ででてくることが多いから
出所がわからないものがたくさんあるのがすでに普通です。

それらがいいか悪いかは別として、
そのものがどのように私たちの元へきているのかの
過程を知っていると、やはりそのものをもっと大事にできます。
なので、もっとその過程を知る努力をすること、そしてその過程が少しでもクリアなものを選ぶようにすることが必要だと感じました。

そうでなければ、簡単にものを粗末に扱ってしまうことができます。
どんどんと浪費を重ねてしまいます。
それはお金という問題だけじゃなくて、
そのお金を得るために使った時間も、そして限りある地球の資源も無駄にしてしまっていることにつながります。

そんなことを考えてこれからの自分の生き方を見直すきっかけになったツアーでもありました。

協力してくださったみなさん、参加してくださったみなさん、
本当にありがとうございました。





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TALAでも販売しているCGNのフィリピン・コーディリエラコーヒー
「KAPITAKOコーヒー」についてはこちらをご覧ください。
コーヒーがどのように生産・加工されているかも
分かりやすく解説してあります。
https://kapitako.jimdo.com/
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山本佳波