
MASAです。
CGNでの10ヶ月間に及ぶインターン生活を終え、日本に一時帰国しています。少し落ち着いたので、CGNでの経験を通して感じたことを書きたいと思います。
CGNが現地撮影コーディネートを担当した映画「クロスロード」の通訳から始まり、棚田ツアーの企画や、大学生のスタディツアーのコーディネート、環境教育ワークショップの同行・通訳、地球の歩き方のお仕事、ゲストハウスでの交流企画や、ライブの開催等、数えたらきりがないほど多岐に渡る仕事に関わらせて頂きました。
そのどれもが簡単ではなかったけれど、刺激がたっぷりで、楽しかったというのが率直な感想です。
CGNの代表はラテン系気質を持つ反町眞理子さん。笑顔が絶えず、一度話すと止まらない、そして情報量が膨大。頭の中で一度に整理しきれない量の情報が入ってきます。でも一つ一つの話が魅力的で、引き込まれます。ラテン系なので、臨機応変な対応が仕事で求められます。ついていくのが正直大変な時もありますが、インターンにはどんな仕事にも対応できるしなやかさが必要なのだと感じました。
CGNは環境NGOで、主にコーヒーを通したアグロフォレストリーや、山の村での環境教育、山岳民族の子どもたち向けの奨学金プログラム、などを現在行っていますが、その他にも物販や撮影のコーディネート、取材の依頼等、CGNの事業以外でも沢山の仕事が眞理子さんを通して入ってきます。眞理子さんは自分で「ノー」と言えない性格だとおっしゃっていましたが、例え完全ボランティアであろうと、お金が関わるお仕事であろうと、一切手を抜かず最後までやりきろうと努力します。こういった姿勢が、20年間近くも現地に根差すNGOとして継続してきた所以なのだろうと、近くにいて感じていました。
実際のインターンでの仕事では、基本、全面的に、一つのお仕事を任せていただきます。おそらく眞理子さんは、それぞれのインターンの適正に合った仕事を的確に割り振っていると思います。一番求められるのは「主体性」。会社のように組織や分担がしっかりしていない草の根の環境NGOでは、1人の教育に時間を割けるほど余裕がありません。仕事が上から降ってくるのを待って、指示を待っているだけだとあっという間に時間は過ぎてしまいます。だからこそ、「私はこの分野に興味があるので、○○なプロジェクトをしたい。」という姿勢が大切で、それを相談すれば大体の形で「やってみなさい」と言ってくれます。ただ私も含め、最初はどんなプロジェクトを行ったらいいのか分からない時もあります。そういう時は、まずは与えられた仕事の中で、「どんな工夫ができるか」、「改善するにはどうしたらいいか」、「何か新しいことはできるか」など‘自分で考える’という訓練をしていくといいと思います。
やはり日本人で、僕も含めて特に高校、大学と偏差値が高ければいいというような教育の流れにあった自分達にとって、自分で考えるという力は欠落していると思います。何も考えなくても大学には行けるし、仕事にもつける。でも、海外ではやはりそうはいかないし、自分の意見をしっかり持つことや、スタンスを意識することは必要だと思います。
フィリピン人からもそういった姿勢を多く学びました。
自分でなんとかしていかないと仕事がないフィリピンでは、スキルを身に着け大工をやって、木彫り職人としても働き、ツアーガイドもする。時には、ワークショップを開いて周りを巻き込む等、自分で考えて生活していかなくては仕事にも就けないし、飢えてしまいます。
そういった意味では、新卒で経験もスキルもない日本人が、時に何百社という会社に応募できる選択肢があるという点では、私たちは本当に恵まれていると思います。(それが必ずしも幸せにつながるとは思いませんが。。。)ただ、海外にこれから出ていこうと考えている人は、やはり‘自分は何がしたいか’とか‘自分はこういう人間だ’っていうのを考え続けていくのは必要だと感じています。
さて、話は少しそれましたが、上記のように海外で働いていると自分や自国(日本)を客観的に洞察して、日本にいた時には考えもしなかった‘気づき’というのがあります。それは、何度も何度も夜酒を酌み交わしながら、フィリピン人、特に山岳民族の少しシャイな人たちと議論を交わし続けた成果でもあると自負しています。僕はこっちのフィリピンでは完全に‘外部者’で、何回もフィリピン人に「お前は豊かな国日本に住んでいるのになぜフィリピンで働くんだ」と言われたことがありました。確かに、お金の面では正直厳しい。ただそれ以上に、お金に換えられない多くのことを彼らフィリピン人から学べるから、フィリピンで働くことを選んだと私自身思っています。
おそらくフィリピン人は、(少なくとも僕が関わった人たちは)「幸せの本質」を知っているのかもしれません。というよりも、それが当たり前のことなのかな。
僕は現地のフィリピン人スタッフから何度も言われたことがありました。「マサはなぜそんな将来のことばかり話すんだ?明日のことなんて誰にも分からないんだから、今日は飲んで楽しむぞ」
‘明日のことは分からないから今を楽しむ’
という文句を言い訳に仕事を後回しにしていたことは公然の秘密(笑)ですが、これって実は幸せの本質なんじゃないかなと思います。
誰にも分からない明日や10年後のことを心配しているんだったら、「今、この瞬間」を一緒にいる人と享受したほうがいい。僕自身は基本ポジティブだけど、心配性。考えすぎてしまうことがあるので、今を楽しもうとシンプルに表現してくれるフィリピン人といると純粋に和みます。
この先どのくらいフィリピンに滞在するか分かりませんが、幸いなことに、農業関連のNGOに職が決まり、フィリピン、ヌエバビスカヤ州という所に2016年2月から赴任になりました。CGNのインターンとしては終了しましたが、今後も自分とフィリピン、そしてCGNとのつながりは続いていきそうです。
次の仕事も綺麗ごとばかりではないと思うけど、CGNでの経験を通して教わった、「仕事に対する姿勢」と「幸せの本質」を胸に、頑張っていきたいと思います。
最後になりましたが、CGNを通して関わっていただいた皆様、どうもありがとうございました。経験がすごい人たちなのに暖かく、そして様々なアドバイスを頂きました。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
2016年 1月25日 加藤将広