法113条に該当しない侵害幇助者に差止を求めることができるか

 

▶平成22年08月04日知的財産高等裁判所[平成22(ネ)10033]

4 争点4(差止請求等の可否)について

前記2及び3のとおり,被控訴人らは,いずれも,本件韓国語著作物を貸与等の目的をもって購入し,それぞれの図書館等において所蔵しているにすぎない者であって,控訴人著作物に係る控訴人の著作権や著作者人格権(以下「著作権等」という。)を直接的に侵害する主体と認められる者ではない。

そして,著作権法113条が,直接的に著作権等の侵害行為を構成するものではない幇助行為のうちの一定のものに限って著作権等侵害とみなすとしていることからしても,同条に該当しない著作権等侵害の幇助者にすぎない者の行為について,同法112条に基づく著作権等侵害による差止等請求を認めることは,明文で同法113条が規定されたことと整合せず,法的安定性を害するものであるから,直接的な著作権等の侵害行為や同条に該当する行為を行っておらず,これを行うおそれがあるとは認められない被控訴人らに対する差止等請求を認めることはできない。

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