こまばアゴラ劇場で上演された、中野守作・演出・中野劇団『10分間~タイムリープが止まらない~』を観てきました。中野劇団って、はじめは東京都の中野区の劇団かと思いましたが、中野守さん主催の、京都の社会人劇団で、今回の東京公演は実に10年ぶりだそうです。

 

私は、以前、アガリスクエンターテイメントが主催した新宿コントレックスに出演した中野劇団のコントを観て、とても面白いな、と思って、本公演を観てみたいな、と思っていたので、楽しみに出かけました。

いやー、

これ、最高でした!

 

観たのが千穐楽だったんですが、もっと前に観ていたら、(といっても3日間、5ステージでしたが)全力で推していたのになー、とそれが残念。

 

関西の笑いらしいぼけツッコみや小ネタもありつつ、日常と地続きの何気ない会話がタペストリーのように織り込まれてひとつのコメディ作品になっていて、その緻密さは三谷幸喜さんを超えていると思いました。

すべての台詞に意味があって、すべて伏線。で、最後にはきれいに回収。

なんだかんだいっても、伏線が回収されると、観ている方は気持ちいい(笑)

 

俳優さん達の演技力もとても安定していて、なんというか、シチュエーションコメディなんだけど、どこか落ち着きもあって、情報量は多いのに、とても観やすい。

この作品は、2006年初演で、今回は4回目の再演とのことですが、また再演してほしいな、と思います。

 

以下、ネタバレありの感想です。

 

IMG_4951.jpg

 

2019年5月26日(日)16時

こまばアゴラ劇場

作・演出 中野守

出演 延命聡子 河口仁 長橋秀仁 三条上ル 桐山篤 丹下真寿美 川原悠 濱辺緩奈 金田一央紀

 

 

 

タイムリープものは数あれど、過去に戻る時間が10分間、というのがとても斬新。

この、ひたすら10分間を繰り返すというところ、観ていてあきるどころか、さっきと同じことが繰り返されるという面白さと、少しずつ変わっていくところもまた面白い。

同じ繰り返しの演技の精度も高くて、びっくりしました。

 

居酒屋の一室で、かつての大学の映画研究会のメンバーが集まって、同窓会を開こうとしているところ、ぼちぼちメンバーも集まってくる中で、先に来ていた聖子(延命聡子)は、なぜか一人だけ10分間を繰り返してしまいます。

 

急に頭が痛くなって気を失い、気が付くと10分前に戻っていることの繰り返し。周りに全然わかってもらえないもどかしさや苛立ちと、周りの無理解とのギャップが笑いを誘います。

なにせ、10分間しかないので、周りに説明しているだけで10分が経ってしまう。

 

どうやったら、このループから抜け出せるのか?

そもそも、なぜこんなことになっているのか?

 

中盤、居酒屋の他の部屋でも、聖子と同じように10分間のタイムリープを繰り返しているという男性が登場してから、話は動いていって、やがて男性はタイムリープから抜け出せるのですが、それは、あるミッションを果たしたかららしい。

どうやら、このループから抜け出すには、何らかのミッションをクリアーしなければならないらしいのですが、

 

はたして、聖子がクリアーしなければならないミッションとは?

そこに絡むのが、青春の忘れ物といっていいエピソードで、それこそがミッションと思った聖子は今度はそのミッションをクリアーするために躍起になるんですが、実は・・・というような展開があり、

 

タイムリープものに付きもの(?)の過去への想いという甘酸っぱさも押さえつつ、ラストは、青春に置き忘れたものを大人になった映研のメンバーが現実で回収できたところは、胸がスッとしました。

 

聖子を演じた延命聡子さんはじめ、客演の方含む俳優さん達みんな個性が際立っていてとても良かったです。

ところどころのスパイスになっていた店員役の濱辺緩奈さんや、聖子と同じくタイムリープしてしまう男性を演じた川原悠さん、印象に残っています。

 

ところで、はた、と、社会人劇団って、その定義は?と思ってしまったんですが、(小劇場の俳優さん達は、ほとんど何らかの仕事をしつつ芝居をしていると思うので)、中野劇団は社会人劇団と明示しているということは、大竹野正典さんのようなポリシーがあるということかしら?

 

それはともかく、こまばアゴラ劇場があんなに笑いで揺れていたのははじめて。

簡単ではないかもしれないけど、中野劇団さん、また東京に来てほしいなあ、と切に切に思います。