吉祥寺シアターで上演された、オフィス上の空プロデュース『1つの部屋のいくつかの生活』の赤チームを観てきました。

青チーム・黄チームの感想はこちらに

この企画は今日の青チームの上演をもって終了となりましたが、早くも来年に第2弾の開催が決まっているようです。

次はどんな団体に出会えるのか、楽しみになりますね。

 

さて、赤チームは、シンクロ少女とmizhen

どちらも、女性の作・演出家で、青チーム・黄チームとはまた違った味わいがあり、3チームのカラーの違いを楽しめました。

以下、ネタバレを含む感想です。

 

 

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2019年4月13日(土)13時

吉祥寺シアター

 

シンクロ少女

『メグ The Monster』

脚本・演出 名嘉友美

 

 

シンクロ少女は、『LOVE』シリーズから観始めて、とても好きになった劇団で、今回の作品も、シンクロ少女らしさが溢れていたなあ、と思いました。

舞台セットの古い日本家屋の部屋、という設定を十分に踏まえて、男と女の恋の始まりから別れを描いていて、とても切ないんだけど、それぞれの登場人物からこぼれ落ちる優しさを感じられて、悲しいけどほっこりした気持ちにもなりました。

 

メグという名前が、ちょっとトリッキーに使われていて、同じ舞台の上に登場人物の過去と現在が存在するところは、先に観たStraw&Berryの『サイケデリック』に通じるところもありましたが、こちらは一度愛し合って結婚した二人が離婚するお話で、永遠を誓ったはずなのに・・・という悲しさが。

始めて家に男を招いた時と、出ていく男を見送る時が描かれているのが切ない。

 

夫に別の愛する女性ができて別れることになったけど、前向きになろうとする妻役の伊達香苗さんが、MCRとはまた違った繊細さのある演技でとてもよかったし、その夫役の中田麦平さんも、ひどいんだけど、妻のことを本当に心配しているのがよく伝わってきました。あと、愛の真実を語ってしまう小学生の男の子役の加藤美佐江さん、シンクロ少女とかMCRにはよく出てきますが、今回もとてもおもしろく、すごくウケていました。こういう役をやらせたら右に出る者はいないと思う(笑)

ちょっと謎めいた役柄の横手慎太郎さんの最後のシーンも良かった。

 

シンクロ少女の今後の本公演は未定のようですが、また観に行けるといいなあ、と思います。

 

 

 

mizhen

『小町花伝』

脚本・演出 藤原佳奈

 

 

mizhenの作品は、他のどの団体とも違っていて、すごく独特、というか自由というか、詩のような、絵画のような作品でした。

能の「卒塔婆小町」から、「小町」についての妄想を膨らませた、とのことで、「小町」にまつわる4編からなる短編は、女性の人生や欲望、老いについてが描かれていたように思えました。

 

時々、すごく恐ろしくなるシーンや、女としての深い奥底を見せられたような気持ちになるシーンもあって、それらが色彩の鮮やかさとともに印象に残っています。

そんな中、温泉旅行に来た3人の還暦の女性が歌い踊るシーンは思わず笑ってしまったり、あるあるだなあ、と思ったりして楽しかった。若い女優さんが演じたのも、悲壮感がなくてよかったかも。

 

そして、踊りの途中からシンクロ少女の出演者が合流して一緒に踊ったのは、わあ~と思って楽しかったんですが、これ、千穐楽のサプライズバージョンだったんですね?

その後、また舞台の色は一変して、年老いた小町の独白シーン。これは演じた百花亜紀さんが圧巻でした。そして最初のシーンにつながっていきましたが、彼女の姿が遥か先ではない私は複雑な気持ちにもなりました。

 

そういえば、mizhenは、1つの部屋のいくつかの生活というお題とは離れた内容になっていましたが、これはまあ、いいのかしら。

でも、独特の感性の作品を観ることができて、よい刺激になりました。

 

 

この、オフィス上の空の6団体プロデュース、赤、青、黄と3バージョンで、バラエティーに富んだ6つの作品を観ることができて、楽しい企画でした。

1時間という時間も、たくさん観るには短すぎず、長すぎず、で、始めは疲れてしまうかな、と思いましたが、思ったよりは疲れませんでした。これなら、3チーム連続で観れたかな、と思いましたが、3チーム全部上演されるのが平日だったのが残念。事情があったのかもしれませんが、土、日とかに全部の日があったらよかったな、と思います。

 

あと、吉祥寺シアターというのがとても良かった。客席はゆったりしているし、空調もいいし、トイレも綺麗だし(面白い演目がたくさんあるけど、酸欠になる劇場で長時間観るのはつらい笑)。次回も吉祥寺シアターでお願いしたい。

 

6団体とも、この企画に真剣に取り組んでいるのが伝わってきて、いつも通りの作品を創ったところや、いつもと違うことに挑戦したり、といろいろでしたが、30歳代(多分)の作・演出の方々の脂にのっている勢いや、それぞれの「現在地」を感じたお祭りでした。

本公演を観に行きたいな、と思ったところもあり、観客との出会いの場としてもいい企画ですよね。

 

これだけの団体を集めて、企画を実現するということは、とても大変だったと思いますが、オフィス上の空の中島庸介さんはじめ、関係者の方々に感謝したいと思います。