吉祥寺シアターで上演中の、オフィス上の空プロデュース『1つの部屋のいくつかの生活』の青チーム、黄チームを観てきました。

オフィス上の空とは、「キ上の空論」というユニットで作・演出をしている中島庸介さんが設立した演劇作品の製作・プロデュースを行う会社で、今回は6つの演劇団体をプロデュースしたもの。

6つの団体による、演劇のお祭りですね。

 

舞台は吉祥寺シアターに作られた“とある部屋”で、6団体が同じ舞台セットを使用し、(小道具の変更は可)、60分の作品を上演します。

決められた舞台美術の中で全く違った作品が生まれると思うとワクワクしますし、今回は中島さんが観に行って感銘を受けた団体を呼んだということですが、私が好きな劇団や、興味のある劇団のオンパレードで、これは私のために作られた企画なのでは?と思いました(笑)

 

公演は2団体で1組で、赤、青、黄の3チームに分かれ、

 

赤チームはmizhenとシンクロ少女

青チームは鵺的とかわいいコンビニ店員飯田さん

黄チームはアガリスクエンターテイメントとStraw&Berry

 

私は、まず青チームと黄チームを観てきました。

同じ舞台美術でも、展開される世界は全然違って、刺激的で楽しい時間を過ごせました。

赤チームに行けるのが千穐楽になってしまうんですが、早く観たいなあ、と楽しみ。

まずは青チームと黄チームの感想を書きたいと思います。少し長くなりますが、よろしければお付き合いください。

 

いつもはがっつりネタバレしがちなので、今回は細かい内容には触れないようにしたいと思いますが、全く先入観のない状態で観たい方は、自己判断でお願いします。

 

 

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青チーム 2019年4月7日(日)14時

 

鵺的 

『修羅』

脚本・演出  高木登

 

 

鵺的は、今までも興味があったんですが、その内容を見聞きするに、自分のキャパを超えているかなあと思っていて、つまりビビっていて、観たことはなかったので、今回、こういう形で観ることができて嬉しかったです。

はじまりはマイルドで、あ、今回はこんな感じ?と思いましたが、段々と緊張感が高まって、惹きつけられていきました。

誰もが「それ」と無縁ではないし、「それ」は時には「修羅」にもなる、その怖さ。

最後の台詞、ある意味すごく恐ろしいけど、でも逆に言えば・・

 

印象的だったのが、女性陣の美しさと強さ。高木さんって、もしかしたら、女性の美しさを引き出すことに長けている演出家なのでは?と直感的に思いました。

反対に、男性陣の言動にはいろいろな感情が動きましたが、小劇場界隈で描かれる男性って、どうしてああいうタイプが多いのかしらん。

 

今回、私が他の作品で観た俳優さんが出ていて、川添美和さんの凛とした佇まいにはつい目がいってしまったし、パラドックス定数で観た今里真さんはやっぱり巧くてさすが、と思ったし、コントレックスで観たことのある小西耕一さんはぴったりはまっていたし、ハマカワフミエさんの儚さがとても心に残っています。

他の登場人物も際立っていて、60分という短さながら、緊張感の中にも時に笑いが混じる脚本が見事でしたし、演技、演出ともにとてもしっかりと見応えのある作品でした。

 

 

かわいいコンビニ店員飯田さん

『我がために夜は明けぬ』

脚本・演出 池内風

 

 

かわいいコンビニ店員飯田さんは、アガリスクエンターテイメント主催のコントレックスで観たことがあって、その時のコントがとても面白かったのを覚えています。

はじまってから、ちょっと訳あり風の登場人物が次々と出てきたので、私、ああ、この部屋って、“ああいう”コミュニティなのねきっと、某劇団風のお芝居かしら?と勝手に思い込んでしまったのが今思うと残念。

 

あるキーワードが出てきたんですが、それもオチに使われるのかな、なんて思ってたら、話は全然違う方向に転がっていきました。

かわいいコンビニ店員飯田さんの本公演は観たことがないのですが、今回の作品とは雰囲気が違うのでしょうか。

 

登場人物はみんな個性的で、それぞれのやりとりは面白かったし、作者の池内さんはきっと、あれやこれやを楽しみながら自由に放り込んでいたのかもしれませんね。フェスだし。

俳優さん達も、しっかりとそれに乗っかっていたと思います。今でも印象的な俳優さんや場面がいくつも浮かびます。

 

私自身は、最初の思い込みに呪縛されて、整合性を見つけようとしながら観てしまった感じで、小劇場を観に行くようになってまだそんなに経たないのに、なんか、スレた観客になっている気がして、

いかんなあ・・と反省しました(笑)

 

 

黄チーム 2019年4月7日(日)18時

 

 

アガリスクエンターテイメント

『エクストリーム・シチュエーションコメディ(Kcal)』

脚本・演出 冨坂友

 

 

ソワレは、黄チーム。

まずはアガリスクエンターテイメントから。

なんでタイトルにKcalってついているのかと思ったら、既存のシチュエーションコメディを上演しながら、その消費カロリーを競い合う、競技です、とある。

コメデイなのにカロリー?スポーツ?意味がわかりません。

 

観た人の感想で、「あたまおかしい」っていうのも多くて、うん、わかる(笑)

でもそれ、褒め言葉なのもわかります。

オーソドックスなシチュエーションコメディを上演しつつ、消費カロリーを稼ぐために俳優さん達がガチであれやこれやと奮闘する姿に、笑ったり、思わず力が入ったり。舞台の熱気に、観客席の熱気も高まった感じで、劇場の温度が上がった感じがしました。

 

消費カロリーは各自が装着している活動量計で実測され、上演日ごとに一番カロリーを消費した者が優勝者に。これ、ほんとに測定しているところがすごいですよね。それを可能にする技術とか、段取りとか。(てかなぜそこにエネルギーを使う?)

 

今までアガリスクエンターテイメントの作品を観てきた人には、過去の作品のパロディとしてもとても楽しめるし、はじめて観る人には、シチュエーションコメディ入門にもなっている。

今回、俳優さん達はみんなはまり役で観ていて楽しかったです。はじめて拝見した如月せいいちろーさんがとてもいいなー、と思って見ていて、あとで実年齢を知ってびっくりしました。

 

それにしても、無意味に思えることを必死でやっている姿は、なんだか胸をうちますね。最近、芝居の感想を書くということは作品に意味を与えようとしているのか?なんて考えていたこともあり、この作品は、「意味からの解放」と言えるのかも?なんて、それはともかく、

 

こんなことを思いついて、しかもやってのけてしまうのは、アガリスクエンターテイメントの他にはないことは確かで、この作品、ここでしか観ることのできない、稀有な作品だと思います。

 

 

 

Straw&Berry

『サイケデリック』

脚本・演出 河西裕介

 

 

アガリスクエンターテイメントの演目を観ていたら、思わず力が入っていたのか、自分もカロリーを消費したような感じになっていました。

その後にはじまった『サイケデリック』は、とても静かなはじまりで、ライブで座れる曲になってほっとした時の感じ(笑)

 

Straw&Berryの作品ははじめて観ましたが、「間」の素晴らしさに感嘆しました。

この作品では、さりげない台詞や表情の中にリアリティがあって、それをつないでいたのが「間」の確かさ。

今まで、こんなに豊かで味わい深い「間」に出会ったことはないような気がします。でもこれは単にリアルな間、というのではなく、緻密に計算された、演劇的なそれなのかも。だからこそ、登場人物達の心の動きに自分の気持ちもシンクロしていったのかも。

 

ネタバレを回避しようとすると詳しいことは書けませんが、台詞のひとつひとつを味わいながら観ているうちに、心の中にはいろいろな想いが湧き上がってきました。切なさや、ノスタルジーや・・・

そしてそれはじんわり、じんわりと胸の中にしみ込んできて、自分にとってのあの時や、あの人、あの風景を思いだしたりしたのでした。

 

俳優さん達ははじめて観る方達ばかりだったのですが、波多野怜奈さんの可憐な花のような透明感、物語の現在地にいる竹内蓮さんの演技が印象に残っています。

 

アガリスクエンターテイメントとStraw&Berryは全然テイストが違う作風で、このコントラストも楽しい黄チームでした。

残るはシンクロ少女とmizhenの赤チーム。楽しみに、吉祥寺シアターに出かけたいと思います。

 

この「1つの部屋のいくつかの生活」の公演は、4月14日(日)まで。

赤・青・黄とそれぞれにカラーの違う作品を楽しめるお祭り、この機会に楽しんでみてはいかがでしょうか。