あひるなんちゃら『あじのりの神様』感想 | ぽけっとにチケット~おきらく観劇日記~

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下北沢ザ・スズナリで上演された、関村俊介脚本・演出・あひるなんちゃら『あじのりの神様』を観てきました。

あひるなんちゃらは、前から一度観てみたいと思っていたんですが、タイミングが合わなかったり、諸事情によりキャンセルせざるを得なくなったりで、なかなか観る機会がありませんでした。

 

脚本・演出の関村俊介さんは、5月に上演されたパラドックス定数の『731』ではじめて拝見しましたが、静かな恐ろしさを秘めた演技がとても印象的でした。

また、今回、パラドックス定数の小野ゆたかさんと、MCRでおなじみの堀靖明さんと、澤唯さんが出演されることもあって、楽しみにチケットをとりました。

 

あひるなんちゃらは脱力系(?)と聞いてはいたものの、確かに、ゆるゆる、クスクスと笑いながら、なんだか全身の筋肉が弛緩していくような、マッサージを受けた後のような感じで、私にとっては新感覚でとても新鮮でした。

同時に、どこか不条理劇っぽさもあって、劇団は、自分達の作品を、“駄弁芝居”と銘打っているようですが、シュールでズレた会話のおもしろさは、ケラリーノ・サンドロヴィッチさんの作品を思いおこしたりもしました。

 

あと、関村さんの前説に、私、ちょっと感動してしまいました。

携帯電話の電源を切るというのはもちろん当然のマナーでありながら、開演前の注意も、まあ、おなじみなわけですが、関村さんの前説は、もし鳴ってしまっても、許しあおう、という包容力を感じさせるもので、実は私が観た回は、実際に携帯が鳴ったんですが、前説を聞いていたおかげで、イラっとせずに、「まあ、いいや」と思って、劇に集中することができました。

これ、前説の効果ですよね。あと、関村さんの人徳もある?

 

なんというのかな、観客に対して、温かい劇空間を提供しよう、としてくれているというか、みんなでリラックスして楽しもうね、という雰囲気を感じてこれもとても新鮮でした。といっても、馴れ合いという感じでもなくて。

この作品を観る前には、劇団チョコレートケーキの『ドキュメンタリー』を観に行っていたわけで、我ながら、すごい振り幅・・・と思いますが(笑)、そこが、雑食系の醍醐味ですよね。

 

以下、ネタバレありの感想です。

 

 

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2018年9月29日(土)15時

下北沢ザ・スズナリ

脚本・演出 関村俊介

出演 根津茂尚 小野ゆたか 松本美路子 野村梨々子 篠本美帆 三枝貴志 石澤美和 ワダタワー 澤唯 上松コナン ワタナベミノリ 堀靖明 園田裕樹

 

 

 

舞台上には、ベンチがひとつ。それは、とある団地の共有スペースにあるベンチで、ミツオ(小野ゆたか)が、幼なじみのケンイチ(根津茂尚)に、「おれが神様だと思う」と話しています。

それを聞いて不安になるケンイチでしたが、団地の子供たちの間で、「あじのりの神様」というのが噂になっていて、ミツオの家の前にあじのりが置かれている。多分自分が神様だと思われているのだろう、と。

 

場面は、ミツオとケンイチの子供の頃と現代とが交錯し、それぞれの母親同士の会話や、担任教師を交えた会話などがコントのように展開しました。

子供だった彼らからみると、当時、昼間からぶらぶらしている二人の大人の存在がすごく不思議で、アーバン(澤唯)とシロジ(上松コナン)と呼んでいたその二人を、学校を抜け出して追いかけたりしたエピソードも語られて、親や教師の反応も描かれていましたが、二人の子供時代の昭和の時代は、今よりもまだ親も教師も大らかだったかもなあ、と思わせるような描写もあって、ちょっと、ノスタルジックな気分にもなりました。

 

そんな中、これから結婚してこの団地に住むというカップルもまたこのベンチにやってきますが、女性の方は、黒魔術をやると言って黒いカードをあたりに並べています。

彼女のそんな一面を知らなかった彼氏の方は、結婚を控えてビビりますが、女性は、人々の幸せを願ってやっている、と言って、「いや、それ、白魔術!」という彼氏役の堀靖明さんのツッコみが今回も冴えていました。

 

幼い頃からこの団地に住んでいるミツオとケンイチも、今やちょっと苦い人生を送る中年になっていて、ミツオはリストラされて無職。ケンイチも、シングルファーザーで、二人ともに子供とのコミュニケーションに悩んでもいる。アーバンとシロジを追いかけた無邪気な冒険譚も昔の話で・・・。

 

と、ここで、あのカップルの女性が、この団地自体を魔法陣に見立てて黒魔術をやる、と言っていたのを思いだすんですが、そうか、あじのりを撒いていたのはあの彼女で、結婚して何十年たっても、ミツオや団地の人みんなの幸せを願って、黒魔術のカードの代わりにあじのりを置いていったのか・・(この解釈であっているかしら?)と思って、すごくほっこりした気持ちになりました。

 

自分の知らないところで、誰かが幸せを願ってくれているのって、なんだか素敵。

なにか、大きく、温かな優しさに包まれたような気持になって、ふ~っと肩の力が抜けていきました。

 

ゆるゆるとしたお話ながら、手練れの俳優さん達が出演されているのもまたよかった。

小野ゆたかさん、堀靖明さんはじめ、結局何者かわからなかった澤唯さんの存在感や、心配性の父親の三枝貴志さん、教師のワダタワーさんも印象に残りました。

 

というわけで、なかなか楽しい観劇体験だったので、これからも、あひるなんちゃらに足を運んでみたいと思います。

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