劇団チョコレートケーキ『ドキュメンタリー』感想 | ぽけっとにチケット~おきらく観劇日記~

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基本、ネタばれしていますので、未見の方はご注意ください。


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下北沢小劇場 楽園で上演中の、古川健作・日澤雄介演出・劇団チョコレートケーキ『ドキュメンタリー』を観てきました。

楽園に行くのは初めてだったんですが、すごく狭いんですね!

今まで私が行った劇場の中で、一番狭いかも?真ん中に柱もあるし、使い方が難しそう・・・

でも、今回は、劇団員だけの純度100%の公演で、西尾友樹さん、浅井伸治さん、岡本篤さんの演技を間近で観ることができてとても贅沢な時間を過ごせました。

 

いつものように、当日パンフレットにはこの作品に関する用語集や関連年表が入っていて、作り手側の、観客を迷子にはしないという姿勢が感じられる気がしますが、今回も、シンプルでわかりやすく、誠実さを感じる作品でした。

 

タイトルの通り、ある事柄についての検証をともに行ったような臨場感があって、少し説明的に感じられるところはありましたが、11月に上演される『遺産』へとつながるとのことなので、その準備作と考えると、これがどのような展開になるのか、とても楽しみです。

 

以下、すっかりネタバレしていますので、未見の方は自己判断のもとお読みください!

 

 

 

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2018年9月27日14時

下北沢小劇場 楽園

作・古川健

演出・日澤雄介

出演・西尾友樹 浅井伸治 岡本篤

 

 

 

 

舞台上には、ソファと机、床には黒塗りをほどこした書類が散乱していて、何かの象徴のよう。

1985年、後天性免疫不全症候群、いわゆるAIDSの感染が日本でも水面下で拡大しつつあった頃、フリーのジャーナリスト(西尾友樹)のもとに、グリーン製薬の社員(浅井伸治)が、内部告発をしたいと訪ねてきます。

 

グリーン製薬は血液製剤を扱っている会社で、非加熱製剤を病院に売っていますが、日本以外の国では非加熱製剤の危険性から使用禁止の措置がとられる中で、厚生省はその危険性を認めず、結果、未だ血友病患者に非加熱製剤が使われていました。

 

グリーン製薬で営業をしている社員は、会社側は非加熱製剤の危険性を知りながら、在庫を処分したいがために売り続け、また、厚生省とも癒着し、患者の命をないがしろにしていることを許すことはできない、との思いから、告発に踏み切ったと言います。

 

一方、ジャーナリストも、友人がアメリカに行ってAIDSに罹ったことから、この問題に興味を持ち始め、AIDSは同性愛者だけの病気ではないのではないか、なにかもっと根深い問題が根底にあるのではないかと思っています。

さらに、この製薬会社自体にまつわる何かがあるのではないかと。

 

そして、かつてグリーン製薬の研究員として働いていて、今は辞めて小児科を開業している医師(岡本篤)にも話を聞くことになり、

医師の口から、民間の血液銀行として発足したその製薬会社の創設者と幹部は、かつての731部隊の関係者であったことが語られます。

 

731部隊で自分たちが何をしたか。

その時医師は何を思っていたか。

なぜ、真実を話してこなかったのか。

医の倫理と、科学への寄与とは。

 

老医師の語る言葉を聞きながら、ジャーナリストは、731部隊から連なる事柄に、日本の医療界の闇があるのではないか、それを追求することが、ジャーナリストの使命であると確信し、引き続き、グリーン製薬の社員と、医師へのインタビューをすることになるのですが、

安定した生活を脅かされることも厭わない覚悟をもっている、と言っていたグリーン製薬の社員から、告発をやめる旨の電話が入り、終演となりました。

 

今まで731部隊を扱った作品は、パラドックス定数の『731』や、野田MAPの『エッグ』を観ましたが、

この作品では、いわゆる薬害エイズ事件をモチーフに、731部隊との関連によりストレートに切り込み、かつ、登場人物の造形も明確で、

 

西尾さんが演じるジャーナリストは、直感と問題意識に優れ、社会正義の実現のために事実や真実を突き止めようとする、ジャーナリストの理想形のように描かれていたし、

 

浅井さん演じるグリーン製薬の社員の、実直な人柄と、告発に至る決意と苦悩もとてもよく伝わってきて、

 

岡本さん演じる老医師が語る内容には、逆に理解できないという恐怖を感じさせ、でも、沈黙を破り、全てを語ろうとする態度にどこか救いを求める気持ちにもなり、

 

そして、この作品で、医療の闇を見据えようとしている作り手側の覚悟のようなものも感じて、とても興味深く思いました。

 

ただ、世界には闇だけがあるわけではなく、闇のあるところにはまた光もあって、仕事柄、医療の近くにいる私は、患者のために命を削っている医療者達もまたいることを思ったりもしつつ、これに連なる次の作品、『遺産』を楽しみに待ちたいと思っています。

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