新作歌舞伎『NARUTO-ナルトー』感想 | ぽけっとにチケット~おきらく観劇日記~

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基本、ネタばれしていますので、未見の方はご注意ください。


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新橋演舞場で上演中の、新作歌舞伎『NARUTO-ナルトー』を観てきました。

私は、普段は歌舞伎を観に行くことはなく、過去に蜷川幸雄さんや野田秀樹さんが演出したものを観たのみで、歌舞伎についての知識は全くといっていいほどありません。

なので、歌舞伎としての『NARUTO』について語ることはできず、ひたすら原作の『NARUTO』ファンとしての感想になりますので、興味のない方はスルーしてくださいね。

 

少年ジャンプの漫画原作の歌舞伎は、先に『ワンピース』が作られましたが、それを知った時、あれ、歌舞伎なら、『NARUTO』の方が世界観があっているんじゃんないかしら、と思ったことを覚えています。

でも、『ワンピース歌舞伎』はとても評判が良かったですね。

『ワンピース歌舞伎』はスーパー歌舞伎で、今回の『NARUTO歌舞伎』は新作歌舞伎。

その違いも今ひとつわかっていないんですが、主演のお二人の若さと新しいことへの挑戦と、伝統との融合、また、歌舞伎と現代劇との融合、そしてベースには原作へのリスペクトがあると感じられ、とても楽しめました。

 

原作ファンにも概ね好評のようですし、また、原作を知らない人でも楽しめた、という声も多いようです。

以下、ネタバレありの感想ですので、未見の方はご注意ください!

 

 

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2018年8月11日(土)11時

新橋演舞場

原作・岸本斉史

脚本・演出・G2

出演・坂東巳之助 中村隼人 市川笑也 嘉島典俊 市瀬秀和 中村梅丸 市川笑三郎 市川猿弥 片岡愛之助他

 

 

 

 

 

『NARUTO』は、週間少年ジャンプに15年の間連載され、コミックスは72巻。

テレビアニメにもなって、ちょうど息子が小学生の時に見ていたのを私も見ているうちに私の方がはまり、息子は途中で離脱したけど、私はブランクはあったものの、カカシ先生への偏愛をささげつつ(笑)、最終回まで追いかけました。

 

 

本邦初公開、カカシ先生に囲まれている自宅の仕事スペース(笑)

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今思うと、ナルト自身が、息子に似ている(ワチャワチャしているところとか、これ!ということには突き進むところとか)ので、何となく重ねて見ていたんだな、と思います。なので、作中でナルトが結婚して子供ができた時は、なんだか自分に孫ができたような気も・・(笑)

 

あと、考えてみたら、私、小さい時から忍者が好きだった。

『仮面の忍者赤影』の赤影は子供心に「いい男だなー」と思っていた気がするし、『少年忍者風のフジマル』とか『サスケ』とか、今でもアニメの主題歌が浮かぶし、(再放送を何回も見ていた覚えあり)

『カムイ外伝』のカムイにも惚れていた!

(はい、年がわかりますね!!)

 

そんな私ですが、『NARUTO歌舞伎』で、72巻分の物語すべてをやる、と知った時は、あの長い物語を、3時間でやるのは無謀なのでは?と思って、少し不安でした。

が、そんな杞憂を吹っ飛ばすかのような、大胆なカット!もう、気持ちがいいくらい、バッサ、バッサと切り捨てる!

 

『NARUTO』は、忍術を使って戦うバトル漫画ではありますが、友情や親子愛、師弟愛が縦糸や横糸をなし、人と支えあい、己の信念をもって生きていくこと、中盤からは戦争と平和にも言及していると私は思っていて(ただしそこからは作者も描きづらくなったのかな、という感はありました・・そのテーマは単純にはいかないので)、重層的なエピソードの中から、今回は、ナルトとサスケというライバルでもあり、親友でもある二人に焦点をあてて、決別から和解までを二人の成長とともに描いていました。

 

『NARUTO歌舞伎』を観て思ったのは、キャラクターにしても、物語にしても、原作の「本質」をついている、ということ。なので、カットをしたり、エピソードを組み替えたりしても、『NARUTO』という原作のもつ大切な部分が損なわれていないし、むしろクリアーになっている気がします。

ラスボスも原作とは違っていて、物語の中で展開する戦いの結末も原作とは違っていましたが、そういうラストもありだな、と私自身は納得がいきました。

 

脚本、演出はG2さんですが、72巻分の話を3時間にまとめて、核になるエピソードを抽出し、かつ、整合性のある一編の物語にしたのには、感服しました。

筋書きを読むと、ナルトを演じた坂東巳之助さんも、サスケを演じた中村隼人さんも、もともと原作のファンということで、この歌舞伎を作るにあたって、お二人の意見も多く入っているそうで、原作へのリスペクトを感じたのもそこにあるのかもしれません。

 

私は、2015年に上演された、ライブスペクタル『NARUTO-ナルトー』も観に行きましたが、その時はキャラクターのビジュアルの再現性の高さに驚きました。

今回の『NARUTO 歌舞伎』では、必ずしもすべて原作に似せているわけではないけれど、坂東巳之助さんの屈託のない明るさ、泥臭いくらい真っすぐなところはすごくナルトだし、中村隼人さんの陰影のあるナイーブさはすごくサスケ!

 

あと、中村梅丸さんが演じるサスケに恋をするサクラは、原作よりずっと女の子らしいんだけど、一途にサスケを思うサクラの真の姿だとも思うし、市川笑也さん演じるツナデも、原作では怪力で豪胆にも描かれているけれど、ツナデ本来の繊細さや上品さをむしろ引き出していたようで素敵でした。

 

一方、市川笑三郎さん演じる大蛇丸は原作そのものだし、市川猿弥さん演じる児雷也は、そのおおらかさ、優しさ、これまたそっくり!そして市瀬秀和さんのイタチのアクション、凄すぎる!

 

と、書いていくときりがなくなってしまうのでやめますが、私の偏愛するカカシ先生に関しての重要なエピソードはバッサリとカットされていて、今回は、ナルト達の物語の後方に回っていました。でも、あの立ち位置が、すごくカカシらしい気がしました。

嘉島典俊さん演じるカカシは、ちょっと可愛らしい感じでしたが、原作での年齢を考えると、あれくらい若い感じもありかも。

 

ただ、私自身は、観る前は、もっと、台詞回しにしても、演技にしても、歌舞伎的なのかな、と想像していて、普段は歌舞伎を観ないので、そこが楽しみでもあったんですが、一幕目を観た時は、台詞も現代調だし、忍者同士の戦いの場面ではアクションチーム(?)も入っていたりして、なんか、2.5次元みたい・・?と思って、ちょっと、想像と違っていたかも・・と思いました。

 

でも、二幕目、大詰、と進むにつれて、歌舞伎役者さんならではの演技と、現代劇の演技のマッチングが面白くなってきて、とはいえ、両者が完全には混じりきらない、他にはない独特の世界に浸っていきました。

そして、やはり、ラスボス、マダラを演じた片岡愛之助さんの存在感は圧巻で、カリスマ性と静謐な狂気、そして色気があり、舞台がぎゅっと引き締まった気がします。

 

ラスボスを倒した後、もうひとつ、今度はナルトとサスケが互いの信念をかけての本気のバトル、ここは、本水を使ったバトルが繰り広げられましたが、ここは迫力満点でした!

その戦いの中で、ナルトとサスケが見得を切るんですが、それがすごくカッコよくて、「歌舞伎って素敵!!」と大いにテンションがあがりました。

 

『NARUTO』で描かれているものの中で、「継承」というのもテーマのひとつだと思うんですが、それは親から子への命の継承であったり、また、愛する人を守ること、国を守ること、平和を守ること、そしてそれを次代を担う者たちに託していく・・・

そして、先を行く者は、次の者たちを時に厳しく、時に温かく見守り、繋がりを信じていく・・・

 

このことは、坂東巳之助さんと中村隼人さんという若い役者さんが、新しい要素を取り入れて、一方、先輩の役者さんは、若手の挑戦を見守り、ベテランとして舞台を引き締め、若い座長たちを支えていく、という、今回の新作歌舞伎とも重なる気がします。

坂東さんも、中村さんも、時代に合わせて新しいことにチャレンジをしていくということは、逆に言えば、時代が変わっても、歌舞伎そのものを繋いでいきたい、ということかな、とも思いました。

今度は、あまり身構えずに、歌舞伎座にも行ってみようと思います。

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