『ブロードウェイと銃弾』東京千穐楽 感想 | ぽけっとにチケット~おきらく観劇日記~

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お芝居大好き。今日もぽけっとにチケットを入れて劇場へ。
小劇場からシェイクスピアまで、観てきたお芝居の感想をつづります。
基本、ネタばれしていますので、未見の方はご注意ください。


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日生劇場で上演された、『ブロードウェイと銃弾』東京千穐楽を観てきました。

まずは、30公演、誰ひとり欠けることなく、無事に2月28日の千穐楽を迎えられましたこと、おめでとうございます。

これから、大阪、博多公演と続きますが、出演者の皆様には、しばしの休息で英気を養っていただきたいと思います。

 

2月7日の初日を観た時の感想にも書きましたが、(初日の感想はここに)

この『ブロードウェイと銃弾』は、私が観た国内ミュージカルの中でも、歌やダンス、音楽、衣装や美術のクオリティが高く、国内のキャストで、これだけのものを観ることができたのは、とても幸運でした。劇場の中にも、たくさんの笑いと拍手が沸き起こっていましたね。

 

初日に感じたことに嘘はないですし、楽しめた作品でしたが、千穐楽を観て、いくつか思うことがあって、迷ったんですが、やっぱり感想を書いておこうと思います。

千穐楽を観て楽しまれた方には、不快な思いをさせてしまうかもしれませんので、その点、ご了解いただけましたら、お読みください。

また、一部ネタバレを含め、未見の方には先入観を与えてしまうと思いますので、観劇前の方は、自己判断にてお願いいたします。

 

 

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2018年2月28日(水)12時

日生劇場

脚本 ウディアレン

演出 福田雄一

翻訳・訳詞 土器屋利行 

オリジナル振付 スーザン・ストローマン

振付補 ジェームス・グレイ

出演 浦井健治 城田優 平野綾 保坂知寿 愛加あゆ ブラザートム 鈴木壮麻 加治将樹 前田美波里

青山航士他

 

 

 

 

 

 

 

 

 

通常は、千穐楽となると、初日に比べてもろもろの精度が上がっていたり、より深みが増していると感じることが多いんですが、今回の『ブロードウェイと銃弾』の東京千穐楽では、どんな風になっているのかな、と思って観に行くと、初日よりもグダグダになっていてちょっと驚きました。

 

初日に感じた、笑いの中にあったかすかなアイロニーもどこかに消えて、小ネタ合戦。特に、一幕目はメインキャスト達が浮足立っていた感じで、どうしちゃったの?と思いました。

けっこう台詞も飛んでいた感じだし、別にミスを責めるつもりはありませんが、アドリブを言わんがためにそうなっていたような感じがして、そこは不快でした。

一幕は、芝居全体が崩れていたと思います。二幕では、かなり持ち直していましたが。

 

この作品、かなりはじめの方から、「シェイクスピアの戯曲と人の命のどちらを選ぶか」とか、

「アーティストとしての才能に惚れるか、男自身に惚れるか」とか、「良心やモラルと芸術、どちらが大事か」などのキーワードが語られて、「人を殺すほどの才能」という言葉につながっていったりして、それらが、笑いの中にも味わいを生み出すものになっているのではないか、と思うんですが、初日に比べて、単なるドタバタ笑いの印象が強くなっていて残念でした。

初日は、ミスもありましたが、芝居全体に緊張感があったので、それらが見えたのかしら。

 

こんなことを言うと本当に失礼なんですが、私、観ながら、この作品、ケラリーノ・サンドロヴィッチさんの演出だったらなあ・・と思ってしまいました。ケラさんなら、アドリブに任せずに、ひとつの台詞のテンポ、声の高低までも綿密に演出して、笑いの中にもアイロニーが・・・

 

と書いていて今思ったんですが、「ウディアレン作品なのでアイロニーがあるべき」というのも、私の思い込みなのかなあ・・・

もともと、この作品、お下劣で(はじめの方でオリーブのナンバーが歌われるところでもうどうやっても上品にはならないし、そこでリタイアする観客もいるかも)、そのへんも大人のジョークとして不謹慎さも楽しむしかないし、夢と感動のミュージカル、というタイプのものではない。

もしかしたら、ウディアレン自身も、アイロニーすらもパロディにしていたかも?

 

そう考えると、福田雄一さんが「アイロニーなんて知ったことか」という演出をしていたとしたら、それはそれでありなのかもしれませんね。確か、途中で一度ダメ出しをしたと言っていましたが、その後に、今のように変わったのだとしたら、それは演出意図ということですね。

今回、福田色が薄めで物足りなかった、という感想も目にしましたし、あとは好みの問題でしょうか。

 

ただ、千穐楽に観たキャストの演技に関しては、やはり思うところがあって、

 

チーチを演じた城田優さんは、開幕前のインタビューで、「自分はアドリブ合戦には乗らない。この作品の中ではチーチだけはブレてはだめだと思う」というようなことを言っていて、私は、その考えに賛同し、「城田くん、頼んだ!」と勝手に思っていたんですが(笑)、千穐楽では、初日とはずいぶん変わっていたと思いました。

 

ただ、城田くんって、コメディセンスもあるんだな!とも思いました。最近、以前「スジナシ」に出演した時の動画を見たときに、クールな役が多い印象の城田くんの、別のポテンシャルを感じましたし、

『ブロードウェイと銃弾』でも、笑いをとるべき台詞ではきちんととれるし、他の役との呼吸や観客との間合いの取り方とかもうまい。オリーブの物真似も楽しくて好きです。

 

でも、千穐楽では、よしもと的な笑いをとりにいっていて、チーチのキャラが崩れていたと思います。デビッドを叩くギャグも、私は面白いとは思わないです。よしもとの笑いが悪いというわけではなく、チーチという人間が、デビッドとああいうゼロ距離をとるとは私は思えない。

私としては、今一度、チーチとして舞台の上で生きることに立ち返ってもらって、その上で笑いを巻き起こしてほしいな、と思います。

 

デビッドを演じた浦井健治さん、初日ではふわふわと可愛かった印象が強かったんですが、千穐楽でも、やっぱり可愛い(笑)。でも、その先が見たい。

千穐楽では、以前よりも演技に芯が通った感じがしましたが、相手役が歌っている間、ちょっと心ここにあらずな感じがするし、台詞がとらえどころなく浮き上がってしまう感じなのはなぜでしょう。

前田美波里さん演じるヘレンに対しても、本当に恋をしているように見えないんですよね・・・

他の作品では、もっと役に入り込んでいるのではないでしょうか?今作では、浦井くんの実力が発揮できているとは思えない。

 

あと、やっぱり、デビッドがどんな人物なのかが今ひとつわからない。

デビッドの人物像が見えてこないのは戯曲からしてそうなのかもしれないけど、ならば、浦井くん自身で、もっと自分なりにデビッドという人間を作りこんでほしいな、と思いました。

 

オリーブを演じた平野綾さん、その魅力は相変わらず。でも、初日では、こんなに全編アニメ声でなく、時に出すその声が効果的だと思ったんですが。あと、全体におバカ度が増したのが残念。そんな風にしなくても、笑えるし、魅力があるのに。

 

この戯曲の中で、最後のシーンがもにょもにょするのはやっぱり変わらずで、でもそれまでの笑いの蓄積があるから、「バナナ、バナナ」でなんとなくの大団円。

これは、もしかしたら、本場のブロードウェイでは、何かのパロディとかオマージュになっているのかしら。

でも、知識のない私にはちょっとわからない。

ただ、このシーンで重要なのは、ニックの存在だな、と思いました。

 

オリーブのことを聞かれたときに、ニックがどんな反応を示すのか。それによって、最後のシーンがもつ印象や意味合いが変わってくると思いますが、ニックを演じたブラザー・トムさんの、そこの演技が定まっていない気がします。

ニックがオリーブにベタ惚れで・・・というところで笑いをとるのはいいんですが、ちょっとやりすぎな感じもあるし、マフィァのボスとしての非情さのコントラストがもっとほしいし、最後の場面では、もっと声をはるところははって、吉田鋼太郎さんばりに強引にまとめてほしい(笑)。

 

書き出したら、長くなってしまいました。

各方面にケンカを売った気もしますが(汗)、

 

今回の作品の、キャスティングやキャストそれぞれの魅力を楽しめたのは事実で、タイプの違う歌声が素敵な浦井くんと城田くんのツートップはどちらのファンも十分に楽しめたと思いますし、千穐楽のカーテンコールで二人が銀橋に立つ姿は、本当にキラキラしていて、今、輝く二人を舞台で観ることができて幸せでした。

これからも、お二人のご活躍が楽しみですし、応援していきたいと思います。

 

ひとくちに笑いといっても、何を面白いと思うかは人それぞれですし、コメディ作品とあらば、やはり笑いがおこらなければ成功とはいえない。

ここまで書いてきたことも、結局、観客に媚びる笑いではなく、登場人物が役を十分に生きた上での笑いが好き、という私自身の好みの問題に集約されるのかもしれません。

これから、大阪、博多と、またいろいろ変化していくかもしれませんが、観客がたくさん笑えて、あー、楽しかった、という気持ちで劇場を後にできれば、それが一番かもしれませんね。

 

いろいろと書いてしまいましたが、ミュージカルに限らず、芝居が好きな、「いち演劇ファン」の思いということで、お許し願えればと思います。

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