M&Oplaysプロデュース『流山ブルーバード』感想 | ぽけっとにチケット~おきらく観劇日記~

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小劇場からシェイクスピアまで、観てきたお芝居の感想をつづります。
基本、ネタばれしていますので、未見の方はご注意ください。


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本多劇場で上演された、M&Oplaysプロデュース・赤堀雅秋作・演出『流山ブルーバード』を観てきました。

赤堀さんの作品は、以前『大逆走』を観て理解が追いつかず、ちょっとくじけてしまっていたんですが、その後の『世界』や『鳥の名前』の評判が良かったので、再チャレンジしてチケットをとりました。

 

フライヤーには、

半径3キロ圏内の無間地獄。

若者たちは青い鳥を探すことすら忘れていた。との文字が。

 

流山市に住む若者や彼らをとりまく大人たちの、半径3キロ圏内のあれこれでしたが、私自身、今は東京に住んでいますが千葉県の某市に実家があって、東京は遠くはないけど、でも・・・という、東京と千葉の微妙な距離感は何となくわかる気がします。

流山市とは直接の関りはなかったけど、「流山」で「青い鳥」って、なんだか胸に、ツン、とくる。

 

たれ込める雲のような閉塞感もある話だったんですが、出ていきたいけど行けない、行かない、だけど時々叫びだしたくなる、そんな登場人物たちの姿を見ていて、何気ない台詞なのにじんわりと涙が浮かんできたりもして、観終わった後には、

「沁みたーーーーー」と思いました。

若者役も、大人役も、それぞれ個性的で味わいがあり、面白く観ることができました。

 

以下、すっかりネタバレしていますので、未見の方は自己判断のもと、お読みください!

 

 

 

 

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2017年12月13日(水)14時

本多劇場

作・演出 赤堀雅秋

出演 賀来賢人 太賀 柄本時生 若葉竜也 小野ゆり子 宮下今日子 駒木根隆介 赤堀雅秋 平田敦子 皆川猿時

 

 

 

 

 

 

高橋満(賀来賢人)と足立健(太賀)と古川浩一(若葉竜也)は、中学以来の友達で、東京でバイトをしながら芝居をしている古川が地元の流山に帰ってきます。

高橋満は兄の国男(皆川猿時)と一緒に、父亡き後の魚屋を継いでいますが、友達の足立の妻(小野ゆり子)と浮気をしていて、駆け落ちを自分からもちかけておきながら当日は行かなかったり、とくすぶった日々を送っています。

 

足立は、若いながらに一軒家を建て、仕事もがんばっているようですが、その妻は本気で沖縄に駆け落ちしようとする。

東京から地元に帰ってきた古川は、なぜか実家には帰らず、満の家に泊めてもらっていて、その理由を聞かれても答えない。

隣人の黒岩(平田敦子)は、何かとクレームをつけに満の家に上がり込んでくるのですが、満の兄はそれをきっぱりと断り切れない・・・と、なんだか冴えない人達の、冴えない日々が描写されるんですが、

 

一方で、流山市内で連続殺人が続いていて、犯人がまだつかまっていない、との話題が出て、日常の近くに不穏な空気が迫っています。

冒頭で、知り合ったばかりの男二人組が出てきたんですが、柄本時生演じる男が、ちょっとしたことですぐ激昂する、すごく危ない人間という感じで怖かった。もう、私たちがブレーキを踏むところを軽く飛び越えてしまっているというか、彼は連続殺人との関係があるのでしょうか?

 

足立の妻は、駆け落ちの支度をしているところを夫に見つかり(むしろわざとそうした?)全部告白してしまいます。それを知った足立が、満と古川といきつけのスナックで飲んでいる時、包丁を持ち出したときは、満を刺してしまうのかとハラハラしました。

満の兄がデリヘルを頼むと、来たのはスナックのママ(宮下今日子)で、10代の息子がいながら友達がやっているのをみて何となく始めた、と・・・。

 

みんなが鬱屈とした日々を送っていて、でも、それぞれに何かに追い詰められてもいて、その感情をあらわにする瞬間はあるけど、現状を打破するところまではいかない。

足立は、浮気した妻を許すようだし、何をしに帰ってきたのかもわからない古川もまた東京に戻るようだし、満の兄はスナックのママのことは誰にも言わないし、満はまたいつものように魚屋の仕事をしていく。

 

考えようによっては、妻を許した足立も、東京に戻る古川も、おそらくこのまま独身で魚屋を続けていくことを受け入れている満の兄も、一歩を踏み出しているともいえるのかもしれないけれど、唯一、動き出していないのが、不倫相手も、長年の友人も失ってしまった満でしょうか。

これからも、自分の足元を見ることをせずにどこか上の空で暮らしていくのかなあ、と思わせました。

ハンサムなのにね・・でも、賀来賢人さん、ハンサムなダメ男、という役がとても似合っていました。

 

妻に浮気をされて複雑な反応をする太賀さんもよかったし、

今回、満の家に泊めてもらったばかりに、いろいろと巻き込まれてしまう、どこかひょうひょうとした感じの若葉竜也さんもよかったです。

 

あと、大人計画では、飛び道具のような役が多い皆川猿時さんが、今回、とてもよかったです。隣人のクレーマーのことも、子供を亡くした寂しさからだ、と理解する優しさや、中年男の悲哀も感じさせ、最後に、弟の満に、話をしよう、と言ってたわいのない会話しかせず、満がいらつくと、「今、話してるじゃないか。」と言うシーンも、弟への愛情を感じてしみじみしました。

 

「お前はいつも上の方ばかり見ている。もっと足元を見ろよ。」というようなことを兄から言われた満が、ふと、舞台の上の方を見上げるところの表情も、じ~ん、ときました。

 

運命は自分の手で切り開け、と言われても、しがらみや情にからめとられて動けなかったり、自分ではどうしようもないこともあるし。

何もかも壊して、向こう側に行きたくても行けない、人生には、そんな中で生きていかなくてはならないという側面もある、彼らを見ていて、そこに思い当り、胸にくるものがあったのかもしれません。

 

今回の作品も、ただの日常を描いたもの、という感じではなかったのは、柄本さん演じる男がどこか暴力や狂気を感じさせる空気があったからかも。パンフレットには、赤堀さんが、ある意味開き直ってこれからも日常の中の非日常を描いていきたい、というような言葉がありましたが、「現実的ではあるが現実ではないファンタジー」(パンフレットより)を、また観てみたいな、と思いました。

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