ぽけっとにチケット~おきらく観劇日記~

お芝居大好き。今日もぽけっとにチケットを入れて劇場へ。
小劇場からシェイクスピアまで、観てきたお芝居の感想をつづります。
基本、ネタばれしていますので、未見の方はご注意ください。


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世田谷パブリックシアターで上演中の、トム・ストッパード作・小川絵梨子翻訳、演出『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』を観てきました。

生田斗真さん、菅田将暉さんが出演ということで、観客のボルテージがとても高く(笑)、二人の熱演と相まって、熱気あふれる劇場空間でした。

 
シェイクスピアの悲劇、『ハムレット』に出てくるローゼンクランツとギルデンスターンは、知らない間に策謀に巻き込まれ、最後は「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ。」のひと言で片付けられてしまうという不遇の登場人物。
トム・ストッパードはこの脇役二人にスポットを当てて、彼らを主人公にした物語を作りました。
 
私は、戯曲を読んだこともなく、観るのもはじめてだったんですが、この作品を観てまず思ったのは、
「この戯曲、面白い!」
「これはスピンオフの最高峰ではないか?」ということ。
 
独創的なストーリー展開の面白さや、『ハムレット』の登場人物を別の角度から見る面白さがあるし、
ローゼンクランツとギルデンスターンの漫才のような掛け合いの台詞からは、哲学的な命題も想起されて刺激的でした。
 
小川絵梨子さんの翻訳が平易で耳にすっと入ってきたのと、ローゼンクランツとギルデンスターンを演じた生田斗真さんと菅田将暉さんが、哲学的な台詞や難解な言い回しの台詞も、自分のものにしてしっかりと観客に届けていたのも大きかったのかもしれません。
戯曲を読みたいな、と思いましたが入荷待ちになっていますね。
 
私は、小川さん演出の作品はいくつか観ていますが、とても真面目で、ともすれば硬い印象を受けることが多かったんですが、今回は、前半の二人の掛け合いは大いに笑いをとっていたし、途中、遊びもあったりして、今まで観たものとは少し違う印象を受けました。
何より、ローゼンクランツを演じた生田斗真さんと、ギルデンスターンを演じた菅田将暉さんの、溌剌とした演技が印象に残っています。
 
 
以下、ネタバレありの感想ですので、未見の方は自己判断のもと、お読みください!
 
 
 
IMG_2435.JPG
2017年11月7日(火)14時
世田谷パブリックシアター
作・トム・ストッパード
翻訳・演出・小川絵梨子
出演 生田斗真 菅田将暉 林遣都 半海一晃 安西慎太郎 松澤一之 立石涼子 小野武彦他
 
 
 
 
 
 
 
 
ローゼンクランツとギルデンスターン(以下、ロズとギルと省略)は、ある日突然デンマーク国王のクローディアス(小野武彦)から呼び出されます。呼び出された理由がわからないまま、道中二人でコインゲームに興じたり、旅役者の一座に出会ったりしながら宮廷に向かいますが、到着した二人に国王から下された命令は、「ハムレット(林遣都)の様子を探れ」というもの。
 
父の亡霊から、叔父のクローディアスが父を暗殺して王座についたことを聞き、狂気を装いながら密かに復讐を誓っているハムレットですが、クローディアスは、ハムレットが本当に狂っているのかどうかを見定めるために、ハムレットの学友だったロズ・ギルに様子を見るように命じます。
ロズ・ギルはこのへんの事情を全くわからないままにスパイ行為に加担することになってしまうのですが、ハムレットも、それを見抜いていて、のらりくらりとかわし、なかなか尻尾を見せない。
 
そしてハムレットは旅役者の一座に、叔父が行ったことと全く同じストーリーの芝居を演じさせると、それを観たクローディアスは動揺し、ハムレットをイングランドに送ることにしてしまいます。
ロズ・ギルもクローディアスから、イングランド国王あての手紙を渡され、イングランドに向かう船に乗りますが、その手紙には、これを読んだらすぐにハムレットの首を撥ねよ、という文言が書いてありました。
 
途中でこの手紙を密かに読んでしまった二人は、驚き、動揺しますが、いろいろと理由をつけて、読まなかったことに・・。ここで、何も行動を起こせなかった二人は、結局、悲惨な結末を迎えてしまうことになります。
ハムレットが、夜陰に乗じてロズ・ギルの船室に忍び込み、二人が寝ている間に、手紙の文言を、「この手紙を持参した両名を処刑せよ」と書き換えてしまったため、二人は処刑されてしまうのでした。
処刑されるシーンはありませんでしたが、不穏な予感に怯えながらも、なお、何らかの意味を見いだそうとするギルを演じる菅田将暉さんの涙が印象的でした。
 
トム・ストッパードは、この作品でベケットの『ゴドーを待ちながら』などの不条理劇をかなり意識して書いたとのことですが、ロズ・ギルが自分たちがどこにいて、何をしているのかわからないままに不条理な結末を迎えてしまうところには、「私達はどこからきてどこにいくのか。」という根源的な不安を重ねる気持ちにもなりました。
 
かつて私が観たハムレットは、叔父への憎しみと、すぐに再婚した母への憤りで嘆き苦しむハムレットでしたが、林遣都さんが演じたハムレットは、その苦悩よりも、冷徹な策略家としての側面が強調されていたように思いました。
考えてみると、ロズ・ギルとは学友だったわけで、叔父からの差し金で自分のところに来たとわかっていたとしても、二人を身代わりするのも冷酷ですよね。
 
イングランドに向かう船の中で、ロズ・ギルが不安な予感に震えているとき、ハムレットはサングラスをかけてデッキチェアーに座っているシーンがあって、こんな感じの演出は、小川さんの作品の中では、私が観た限りでは珍しいと思いました。
 
旅役者の一座の座長(半海一晃)がこの物語の狂言回し的なところも担っていて、そのクセのある感じの存在感がとても良かったです。ストッパードが考える演劇論的なものも、彼に言わせている感じもしました。
『ハムレット』本編で起こっていることと、旅の一座が演じている劇中劇の『ゴンザゴー殺し』、そしてこのロズ・ギルの世界の現実、それらが混じり合っていくところの混沌が面白かったです。
 
ただ、今回、『ハムレット』本編の世界を、あまりシェイクスピアを意識しない感じに造形してあった感じで、小野武彦さん演じるクローディアスも、優しさがにじみ出ていて、野心に燃えている人物には見えないし、立石涼子さん演じる母のガートルードも、包容力のある母親、という感じ。
あえて、いわゆる『ハムレット』っぽくはしなかったのかな、とも思いますが、(「令嬢ジュリー」の時も、あえてハズしている感じはありました)
スピンオフとしては、どうなんでしょう?
また、この戯曲、バリバリのシェイクスピア役者が演じたら、どうなるんだろう?と思って、観てみたい気もします。
 
でも、ローゼンクランツを演じた生田斗真さんは、精悍な顔立ちからは意外なほど、ぼんやりとした演技が巧くて可愛かったし、
ギルデンスターンを演じた菅田将暉さんは、あれこれと理屈をこねて思索をする役を、これまた生き生きと演じていました。
また、林遣都さん演じるハムレットは、今まで観たことがない斬新なハムレットだったし、
今、脂がのっている若い俳優さん達の肉体を通して、古典作品の世界が蘇るのも、楽しいことだなあ、と思います。
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