ぽけっとにチケット~おきらく観劇日記~

お芝居大好き。今日もぽけっとにチケットを入れて劇場へ。
小劇場からシェイクスピアまで、観てきたお芝居の感想をつづります。
基本、ネタばれしていますので、未見の方はご注意ください。


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本多劇場で上演された、上田誠作・演出・ヨーロッパ企画『出てこようとしてるトロンプルイユ』を観てきました。

私がヨーロッパ企画の作品を観るのは、『来てけつかるべき新世界』(感想はここに)

に続いて2回目で、全くのビギナーなんですが、今回の作品を観て思ったのは、

「なんて自由なんだ!」ということ。

 

発想や展開が自由で大胆で、なんとなく、作り手が楽しみながら作った作品なのではないか、と思わせるものがあり、実際の創作の過程では苦労も多いのかもしれませんが、それを感じさせず、どこか、小劇場っぽいノリや和気あいあい感があって、その楽しさが伝わってくる感じ。それでいて、本多劇場のキャパの観客を満足させるところが、すごいな、と思いました。

 

岸田國士戯曲賞を受賞した『来てけつかるべき新世界』は、ドローンやAIと対峙する浪速のおっちゃん、というSFと人情味がクロスする面白さがあって、初見の私には観やすかったんですが、ヨーロッパ企画は、過去、「物」を題材にしたコメディも多く作っているんですね。

「物」を対象にする、というのもユニークだし、ビギナーの私には、無機物とコメディの組み合わせって、なんか、不思議な感じがします。

 

「トロンプルイユ」とは、だまし絵のことで、今回は、「だまし絵」コメディ。

1930年頃のパリの売れない画家達のアパートで起こるあれこれで、びっくり箱が開いたような騒ぎに笑いながらも、でも心に何かが残ったような気もする、そんな作品でした。

 

以下、すっかりネタバレしていますので、未見の方は、自己判断のもと、お読みください!

 

 

 

 

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2017年10月26日(木)14時

本多劇場

作・演出 上田誠

音楽 滝本晃司

出演 本多力 諏訪雅 石田剛太 中川晴樹 木下出 金丸慎太郎 川面千晶 菅原永二 永野宗典 土佐和成 西村直子 酒井善史 角田貴志

 

 

 

 

 

古ぼけた感じのするアパートの一室には、描きかけの絵や、キャンバス、絵の具などが散乱していますが、この部屋の主であった画家が、セーヌ川で水死したため、大家が、他の部屋に住んでいる画家達に部屋の片付けを命じています。

3人の画家達は、絵が売れず、家賃を払っていないので、大家の言うことに従わざるを得ないんですが、大家から、この部屋にある絵を窓から廃棄するように言われると、忍びない思いもあり、なかなか捨てられません。

 

この部屋の画家は、「トロンプルイユ」・・・だまし絵ばかりを描いていて、3人はそれを見ながら品評したり、自分の芸術論を語り出して口論になったり。

実際に小道具として出てきた絵が、とてもうまく描けていて、絵で笑いをとっていたし、あれだけの数の絵を用意するのは、すごいな、と思いました。

3人が議論をするところは、私が議論をする芝居が好きなのもあって、とても面白かった。議論にはなるけど、決してギスギスしないのは、あの口調だからかしら。リラックスして楽しめました。

 

やがて、次にこの部屋を借りる画家がやってきたり、死んだ画家の友人だった男がやってきますが、このだまし絵の画家が、当時の絵画の流派にも属さず、キワモノのようなだまし絵ばかりを描いていたことを、その主義を貫こうとする姿勢を認めながらも、みんな、少し、軽蔑している。

このアパートの画家達は、向かいのアパートに住んでいる娼婦に時々絵のモデルになってもらっているんですが、だまし絵の画家は、この娼婦を好きだったようで、彼なりにアプローチしていたけどかなわなかった、というようなことを軽妙な会話の中で垣間見せるところもうまいと思いました。

 

部屋の壁に、大きな白い布がかかっていて、芝居が始まった時から、多分絵があるんだろうなあ、と思っていたらやはりそうで、画家の一人がその布を外したところから、後半は、「えええーっ?」という怒濤の展開に。

 

布を外すと、そこにはギリシャ神話に出てくる一つ目の巨人の絵があって、絵を外すとまたその後ろには絵があって、そしてまた・・・と、しかも、その絵は、現実の少し先を描いている。そして最後の絵は、巨人にみんなが喰われてしまう絵で、ここはちょっとホラーのよう。

みんな、その絵を見て笑っているんですが、いや、笑ってて大丈夫?とこちらは嫌な予感も・・・そして最後の絵を外すと、なんとそこには額縁から出ようとしている巨人が・・・

で、絵の通りにみんな・・・

 

いや、ほんとに巨人出すんだ!と驚きました。

なんだろう、幼い頃に、絵本を見て、中から飛び出してこないかなあ、と望んだり、怖がったりしていた童心に帰ったような気もするし、不気味でもあるなんともいえない感じに。

あと、だまし絵の画家が描いたガーゴイルや贋作のモナリザも出てくるし、(これは俳優さんが演じていましたが、ガーゴイルの石っぽい感じや身体能力もよかったし、モナリザもなんとなく似てました)、

 

さらに、死んだはずのだまし絵の画家も出てきて、実は、この世界は自分が描いた絵なのだ、と言うので、では、このループが止められるのかと思いきや、作者まで喰われてしまう。大家や、大家の弟、娼婦もまざって、この、絵を外す、喰われる、また元に戻る、というループが繰り返されます。

で、面白いのが、だんだん登場人物達もこのループがわかってきて、回避しようとするんだけど、結局は喰われる。

 

こうなると、現実と絵画が混沌となって、どちらがどちらかがわからなくなり、まさにだまし絵の中にいるよう。

このループするシーンは、かなり長く続いて、笑いながらも、段々、まだやるの?という気になってきて、正直、ちょっと疲れました。でも、そこはあえてそうしたのだと思うし、観客の疲れを恐れないところもまた大胆だなあ、と思います。

 

そして、急に、高次元からやってきたというタイムパトロールっぽい男が登場し、このループはだまし絵の画家の無念の想念が作った次元の歪みである的なSFっぽい説明をして、このループを断ち切る!と言います。

かなりチープな感じの登場だったんですが、なんかそれもツボだったし、なんとかする!と聞いた時はほっとしてすごく頼りたくなりました(笑)

でも、結局、彼でも解決できず、ああ、この人でもダメだった、と思ったところに、

 

あの、ダリが!

それまでも、会話の中にダリが出てきていたんですが、唐突にダリが出てきて、ダリほどの人物ならば、次元を支配することができる的なことを言い、あの有名なぐんにゃりとした時計を使って時間や空間を元に戻した(?)

 

もう、このへんはワチャワチャしていて、観ていてよくわからなかったんですが、実際にダリが登場したとき、

「ダリ、キターーーー!!」と心の中で叫んでしまいました(笑)

私自身、ダリの絵が好きで、画集も持っていたりしたので、ダリなら、すごいことできるのも納得!という感じになりました。

まあ、このへんは力技で押し切られた気がしないでもありません。

 

だまし絵の画家が途中から出てきたことや、その存在がループやあれこれとどう関わっているのか、については正直よくわかりませんでした。

でも、流行に流されずに自分の描きたい絵を描き続けた彼を話題の中心に持ってくるところに、少しの悲劇性も含めて、なんとなく感じるところがあるし、最後にダリが、だまし絵の画家の描きかけの絵に目をとめて、絵を買う、と言ったところは、ちょっと救われた気持ちにもなりました。

 

ラストは、ダリも含めて、また、喧々がくがく、「美とは何か」「芸術とは何か」という議論をしながらの幕となりましたが、ダリもそこに入っているのが嬉しかった。

きっと、ずっと昔から、画家達はこんなふうに自分自身が信じる芸術というものを追求してきたのだろうな、と思って、それは絵に限らず、音楽や演劇でもそうで、そういう、たくさんの人たちがいるからこそ、私達は私達の人生を彩ったり豊かにしてくれるものを享受することができるのだなあ、と思いました。

 

今回、ゲストとして、「ハイバイ」の菅原永二さんと川面千晶さんが出演していましたが、菅原さんは金儲け優先の画家の役が面白かったし、川面さん演じた娼婦は、サバサバしていたのが良かったです。二人とも何度も喰われていましたが(笑)

インタビュー記事によると、ヨーロッパ企画と、ハイバイ、って仲良しなんですね。なんか意外な感じ。

 

ヨーロッパ企画、さあ、次はどんなものを題材にしてコメディにするのかしら?

そう思うと楽しみが増えるのが嬉しいです。

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