下北沢OFF・OFFシアターで上演された、名嘉友美作・演出・シンクロ少女『LOVE』Chapter1を観てきました。

フライヤーには、


前厄から人生がうまくいかなくなった脚本家のユミと、

バイトしない程度には売れている俳優の武田の物語。

男と女からたちのぼる色々なあれを是非ご覧ください。


とあり、


シンクロ少女という劇団は、以前から気になっていたのと、今回、MCRの櫻井智也さんが出演する二人芝居、ということで、興味を覚えてチケットを取りました。


ひょんなことから出会った男と女の一夜の物語で、愛の迷子の大人達がジタバタとする様がおもしろく、そして愛しく、終盤の盛り上がりとカタルシスもあり、観終わった後は、ほっこりと温かい気持ちになりました。



以下、すっかりネタバレしていますので、未見の方は自己判断のもと、お読みください!




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2017年10月4日(水)13時30分

下北沢OFF・OFFシアター

作・演出 名嘉友美

出演 櫻井智也 名嘉友美 泉政弘 おがわじゅんや





舞台には、椅子が数脚のみ。

そこは夜の公園で、俳優の武田(櫻井智也)が、友人の大岡(泉政弘)と酒を飲んでいて、大岡も俳優なんですが、俳優をやめて、長年付き合っている中国人の彼女が住む中国に行く、という決意を語っています。

武田は心配しますが、大岡の決意は固い様子で、新しい人生を歩む!という高揚感で一杯。


そんな二人の横で、酔いつぶれてベンチに寝ている女(名嘉友美)が一人。

先に帰った大岡から、ジェントルマンであれ、と言われたことが気になっていたのか、放っておくわけにもいかず、武田が声をかけます。

目を覚ましたその女ユミの姿からは、「もうほんとにいいことなんてなにもなくてどうしようもない」という絶望感が漂っていて、演じる名嘉さん、すごいな!と思いました。


そして、ユミは、書きかけの脚本のデータが入っているパソコンがない!と騒ぎだし、武田は、「めんどくさいことになった・・」と思いながらも、行きがかり上、一緒に探すのを付き合います。が、なかなか見つからない。

途中までユミが一緒に飲んでいた友達に連絡を入れるも、返事はなく・・・


パソコンを探す合間に、ぽつぽつと自分のことを話しはじめる二人ですが、ユミは、友達と飲みに行った店で、偶然長年付き合っていた元カレに会ってしまい、その元カレが、若くて、綺麗で、性格もよさげな新しい彼女と一緒だったことから荒れてしまった、と。

一方の武田も、彼氏がいる女性と付き合っていたけど、相手にばれて、あっさりと彼女と別れることになってしまった。


二人とも、別れた後もつい相手のツイッターを見てしまってまた傷ついたりしている、と言っていて、私が若かった頃は、SNSなんてなかったから、フェイドアウトしやすかったのかも、今の人達は大変だなー、なんて思いながら見ていましたが、


本当はもっとお互いいろいろなことを積み重ねてから親密な関係になるべきなのに、「リビドーの音が聞こえると」すぐに相手とそうなってしまう、そんな自分がダメ・・・というユミや、自分もそう、と同意する武田の会話が可笑しかった。


パソコンは見つからず、数日後に締め切りが迫っているのにもう絶体絶命、と全身から絶望のオーラを出しているユミが、時折見せる笑顔がとても魅力的でハッとさせられました。

そんなユミに振り回されながらも、不器用な優しさを見せる武田もまたよくて、演じる櫻井智也さんがとてもチャーミングでした。

二人で歩く夜の公園、とか、遠い記憶が蘇るようでもあり、武田が、「始発までうちに来ますか?」と言って暗転した後は、なんだかキュン、としてしまいました。


なにごともなく朝を迎え(笑)、もう会うこともないと思って別れようとする二人ですが、ユミの友人のたんちゃん(おがわじゅんや)がやってきて、パソコンは昨夜やけになったユミが池に投げ捨ててしまったけど、たんちゃんがUSBを抜き取っていたことがわかります。

そして、本当は、昨夜、パソコンを探し歩いている途中で、ユミは自分がパソコンを捨てたことを思い出していたのでしたが、それを黙っていて・・

出た!出た!女の嘘と身勝手!でも、一人でいたくなかったんだよね、と思って可笑しかった。


そうこうするうちに、今度は大岡の彼女から、大岡がやっぱり中国には行かない、とゴネている、との連絡が武田に入り、ユミは、武田に迷惑をかけたので、大岡と彼女のために一肌脱ぐ!と言い出します。

そして、たんちゃんの車で、武田とともに大岡の家に行き、無理矢理大岡を車に乗せて、一路、成田へー


ここでは、椅子が車のシートに早変わり。

前方に運転手のたんちゃんと大岡、

後部座席に武田とユミ、

このシーンはロードムービーを見ているみたいで楽しかった。


たんちゃんとユミは長年の友人で、たんちゃんは、ただの耳鳴りなのにリビドーの音がすると言ってすぐに男とくっついてしまうユミをいつも心配しつつ力になってくれていて、おがわじゅんやさん、優しい男友達にぴったりでした。

男友達って、貴重な存在ですよね。

私もたんちゃんにいてもらいたい(笑)。


「中国に行ってもうまく行く気がしない。やっぱり無理!」と言う大岡に、

「簡単なことよ。彼女を愛しているの?」と聞くユミ。

しばらく、それには答えない大岡ですが、

ついに、大岡は、

「あ、愛してる・・」「愛してる!」と叫びます。


よっしゃあー!と快哉を叫ぶユミ達。

そして後部座席では、武田とユミがキスをして、それを見たたんちゃんが、

「ああ~また~~」という表情になり、

脚本家と俳優の、めんどくさそうなカップルが誕生して終演となりました。


80分という短い上演時間でしたが、何気ない男と女の会話の中に、愛をめぐるあれこれが詰まっていて、シンプルだけど豊かな時間を過ごせました。

シンクロ少女は、自らを「愛の劇団」と言い切っていて、それもまた興味を惹かれます。

この『LOVE』は、1話完結のシリーズ物とのことなので、Chapter2もまた是非観てみたいと思います。

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