読んだと思い込んでいたけれど初読みでした

「今夜は眠れない」

角川文庫

2002年5月 初版発行

2022年7月 55版発行

解説・濤岡寿子

276頁

 

主人公は中学一年生の緒方雅男

東京下町の中古マンションで両親と三人暮らしの普通の中学生です

ある日、弁護士が訪ねてきて、母親の聡子が若い頃命を救った人物から五億円が寄贈されると話します

何が何だかわからないまま、マスコミや見知らぬ人からの電話手紙来訪攻撃に家族はぎくしゃくし、浮気性の父は自分のことを棚に上げ雅男の父親は自分ではなく、その人物だと言い家を出てしまいます

親友の島崎俊彦と共に、謎の人物の真意を探る雅男

やがて、聡子と雅男が本人たちのあずかり知らぬところで誘拐されたという事件が発生

果たして雅男に元の普通の暮らしが戻ってくるのでしょうか

 

雅男の父も母も人間的に未熟なところが多く理想的な親ではありません

でもバラバラになった家族の絆を取り戻そうと必死に賭けに出る姿にはグッときました

 

 

 

 

初読みと思い込んでいたけれど2009年に読んでいました

全く記憶にございませんっ

「夢にも思わない」

角川文庫

2002年11月 初版発行

2022年 6月 38版発行

解説・濤岡寿子

369頁

 

「今夜は眠れない」の続編

五億円騒動があったのは夏

秋になり雅男の周囲もすっかり落ち着きました

雅男は密かに想いを寄せているクラスメートのクドウさんが白河庭園で行われる虫聞きの会に行くと聞いて、庭園でばったり会えるよう目論んで出かけます

ところが庭園の入口まで行くと中学生の女の子が庭園の中で倒れていると騒ぎが聞こえ、慌てて現場に駆け付けるとそこにはクドウさんらしき女の子が倒れていました

雅男がクドウさんと思い込んだだけでしたが、調べが進むにつれ、亡くなったのはクドウさんの従姉で、カンパニーによる少女たちの売春というショッキングな事実につながっていきます

 

雅男に突き付けられる容赦ない真実

中学一年生が経験するには辛い内容です

 

前作同様、本当に中学生?と思うほど冷静沈着、優れた分析能力の持ち主である親友・島崎の活躍に負うところ大です

 

どうでもいいけれど

女性警察官のアイライナーが下手くそ、って中坊に言われたくないですねぇ

 

 

2作ともおよそ30年前に発表されたもので携帯電話が登場しないなど古さは否めませんが、宮部みゆきさんのお得意とするどんでん返しミステリーを楽しみました