先日、お茶の教室にて。
4月から新しく入ってこられた生徒さん数名のうち、
この土曜日にわたしは二人を担当させていただきました。
一人は中国人の若いかた、もう一人は日本人で同じく若い方。
お茶の点前というものは、えてして堅苦しい。
なぜその順番でやらないといけないのか、
なぜそのようなまどろっこしい事をしなくてはいけないのか。
何と言っても、こんな質問が飛んできました。
実際にお抹茶をお茶碗に入れ、お湯を注ぎ、茶筅を振ってお茶をたてているときのこと。
「先生、これぐらいで良いですか?」
と、お茶碗の中を見せてくれたのです。
私は反射的に、こう答えました。
「あなた自身はどう思いますか?それで良いと思いますか?」
答えに困っておられました。
なぜなのか。
どれぐらい茶筅を振れば良いのか、わからないからです。
その目安が無いからです。
飲食店のサービスにしても同じこと。
どれぐらいすれば良いのか、どこまですれば良いのかわからない。
だから多くの人が、過剰なパフォーマンスに走るか、もしくは何もしないか、のいずれかに分かれます。
人に喜ばれる接客というのは、あなた自身が主人公ではいけません。
お客さんが主人公なのであり、喜んでくれる人が主人公なのです。
多くの接客者はどうしても自分を主人公にしてしまうので、
どれぐらいの事をお客さんにしてあげれば良いのか、判断に困ってしまいます。
それを無視して動く人は、むしろそういうパフォーマンスが好きなお客さんばかりがついてしまいます。
それはそれで良いのでしょうが、やはり来たお客さんのほぼすべてを顧客としてつかみたいところ。
また、パフォーマンスが出来ないカフェ業態などでは、本当に行動が制限されます。
酒を飲んでいるわけではないので、パフォーマンスなどやってしまえば引かれるばかり。
アパレルの場合は、同じ売るにしても、喜んで買ってもらいたいはず。
じゃあ、何をすれば良いのか…
自分の思いつく限りのセットを提案してみたり、時には「お似合いです」と言ってみたり。
人によっては「それ流行ってますから」とか「それはお買い得なんです」
「バーゲン中なんで」と戯言をいってみたり。
それらのセリフにひしめく意識は、「私自身が主人公なの」という意識です。
それでは絶対にトップセラーになることはできません。
主人公は、目の前で服に悩むお客さんなのです。
だから、お客さんが主人公であることを忘れた接客は、
セット販売率だけではなく、個人売上そのものが伸び悩んでしまいます。
お茶筅をどれぐらい振ればよいのか。
それは、「これならばお客さんが一番飲みやすいだろう」と思えるところまで振れば良いのです。
茶のもてなしにおける七つのルール、利休七則の第一句は
「茶は服の良きように点て」
です。
相手が飲みやすいお茶でなくては、点てる意味がない、ということですね。
その事をお伝えしたところ、生徒さんは何かを悟られたのか、
その瞬間からお点前をする手つきが大きく変わりました。
時間があったので、中国人の生徒さんには二度お点前に挑戦していただいたのですが、
そういった話をする前の一回目と、話をした後の二回目では、
本当にお点前そのものの出来が見違えるほどでした。
心構えが良ければ、何もかもに影響します。
それを真から理解していないと、いつまでたってもトップの接客者にはなれません。
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