接客の現場に入る前、皆さんの思考回路はどうなっているでしょうか。
「さあ、今から仕事だ」
「さあ、今から接客タイムだ」
「よし、今日も頑張るぞ」
どれも素敵な心掛けです。
ですが、むしろもっと心掛けて欲しい事があります。
それは・・・
「さあ、ショータイムだ!」
と言う意気込みです。
日本のもてなしの形を最初に定義したと考えられている茶道は、
究極の総合エンターテイメントと言われています。
つまり、茶室はエンターテイメントの空間なのです。
茶室に入る前、亭主は極めて強い緊張感を覚えます。
「今から全身全霊を以て、客をもてなさなくてはならない」
と言う緊張感です。
実はその緊張感、茶室に入るずいぶん前から発生しているんです。
それが何かと言うと、茶会の準備期間です。
どんなテーマで客を迎えようか、
道具の取り合わせをどのようにすれば良いか、
それに見合った点心(料理)はどんなものを用意すれば良いか、
その日の着物はどんなものにしようか・・・
など、正にエンターテイメントに相応しい緊張感の中、準備は進みます。
接客の仕事の場合、その多くは準備を必要としません。
必要なのは、出勤時のタイムカードと制服・名札着用ぐらいのもの。
それ以外の諸々は、ほとんど会社が準備してくれているからです。
でも、店にやってくるお客さんにとっては、
店の売場と言うのはエンターテイメントの場に変わりはありません。
それも、お客さんがお客さん自身をプロデュースする、エンターテイメントの場なのです。
ただのエンターテイメントではありません。
通常のエンターテイメントショーは一方的な情報発信。
つまり、お客さんはエンターテイナーから一方的に発信されるショーを見て楽しむ事に徹するものです。
接客のエンターテイメントと言うのは、双方的な情報発受信。
つまり、コミュニケーションにより生まれるショーなのです。
素人のお客さんもまた、エンターテイナーの一人であり、
接客者はお客さんをプロデュースするエンターテイナーなのです。
素人のお客さんは思うがままに行動します。
食べたいときに食べ
本を読みたいときに読み
試着したいときに試着をし
レジに並びたいときにレジに並び
クレームを言いたいときにクレームを言い
なんとまぁ我侭なエンターテイナーでしょうか。
それでも接客者は、その我侭なエンターテイナーを上手にコントロールし
最終的には満足させる義務を負っています。
それに対して、全身全霊を込めなくてはいけません。
そう考えると、売り場に立つ直前、皆さんの心構えはいかがでしょう。
古い言い回しかもしれませんが、
「It's a Show time!!」
と言う心構えになれているでしょうか。
この気持ちの切り替えが最も大切です。
そういった切り替えがあるから、
日頃の修練により身に付けた接客技術が活きるのです。
技術がなくても、培った知識と熱心さが活きるのです。
皆さんの仕事はサービス業とよく言われますが、
ある意味でエンターテイメント業と考え直してみて下さい。