■上原ひろみの新譜 | 小早川護 公式ブログ(更新休止中)

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今日は接客の話から少しだけ外れたところから接客を語ってみます。


この前からずっと気になってた、上原ひろみの新譜を買ってきました。

ただいま一人リスニングパーティー中。


とは言え、時間が時間なのでオーディオを使うわけにもいかず・・・

致し方無くPCで聴いてます。


まあ、一応サウンドカードとスピーカーは少々高めのものを使っているので

まだ聞ける音にはなっているのですが・・・

音の空間が見えてこないのがツラいとこ(涙)


やっぱ、ちゃんとしたオーディオで聞きたいなぁ。


それでも、曲のグルーヴだけはしっかり伝わってきます。

彼女のピアノは本当にスゴイ。


あ、上原ひろみって誰かだって?

ええっと、日本を代表するジャズピアニストです。

超絶テクニックと彼女の中からはじき出される自然なメロディ。

海外で高い評価を受け、グラミー賞を取るまでに至っています。


そんな彼女の新譜なのですが、やはりスゴイ。

一音一音に込められた魂の量がハンパじゃない。

接客態度で言うところの、ちょっとした言葉の節々ってヤツですね。


強弱のハッキリしたピアノの演奏。

そして自由に導き出されるプレイスタイル。

この世に彼女のピアノのような接客が出来る人は、

どれぐらいいるのでしょうか?


感性だけではなく、秘められたスキルも素晴らしく

そして一挙手一投足に至るまで魂が込められた接客。


悲しいのは、仮にそれが出来る人がいたとして、

それを評価できる人がこの世に殆ど存在しないと言う事です。


接客とは現代を代表する日本文化の一つです。

これからどんどん醸成していき、何百年の未来に残していかなくてはいけない。

そういった観点で接客を捉え直してみると、

そこに必要な要素はジャズや芸術とそう大差無いのが解ります。


素人の目ではとても判断出来ないような細かい技術や奥深い基本があり

そういった背景がしっかりと出来ているからこそ、本当の意味で個性が発揮され

満席の客席全部に喜んでもらう事が出来る。


飲食店や小売店の接客にしても同じ事です。

素人にはとても判断できない細やかな気遣いや会話の技術などがあり

その上に人の個性や声色、姿形が乗ってくる。

そうすると、それを本当に好んでくれるお客さんが生まれてくる。


接客を表面でしか観察出来ない人が、表面的に評価し

それが顧客満足度の指数になると断言してしまうミステリーショッパー派遣会社。

それはそれで大切な事なのですが、

果たしてそこから客席全体の顧客価値は計れるのでしょうか。


答えは否。

なぜなら、彼らは所詮素人だから。


プロのジャズピアニストの技術を音楽に大した興味を持っていない一般人に評価させても

「すごいよね~」

だけで終ってしまうでしょう。

具体的に何がスゴイのか、どういった技術が優れていてどこに個性が発揮されているのか、

そういった事は全く判別がつかないのは当然のことです。


とある人がこんな事を言いました。

「それでも接客を評価するのは顧客では?」

正直、何を言ってるんだ、と言う感じです。

評価するのは顧客でも良いのですが、

本物を見抜けるのはそれを見抜く技術を持った人だけ。


いくら優れた技術を持っていても、顧客に伝わらなければ意味が無い。

と言う説は、ある意味で捉えると確かに正しいことです。

ジャズやクラッシックもそれがあるから、人気は下降線を辿っている。

でも、だからって技術を完全におろそかにして良いのでしょうか?


また別の人はこう言いました。

「この接客の大会は、技術の大会にしたくないんだ」

何を幼稚なことを。

接客は幾百年の日本の伝統、もてなし文化から生まれた近代を代表する文化であり、

それを守り育てようという気持ちが全く伴っていない。


日本は非文化大国だ、と揶揄する声がありますが、正にその通りだと思います。

文化の魅力、文化の素晴らしさに気がついていない。

文明は戦争によって生まれ、文明同士の衝突が戦争を引き起こします。

それに対し、文化は太平の世の中に生まれ、文化同士の衝突が新しい文化を生み出します。

つまり、文明は争いの象徴であり、文化は平和の象徴。

文化を育てることが出来るのは、優れた民度と優れた教養があるからこそです。


接客が日本を代表する文化である、と言う事に気付かないままでいるのは

本当に勿体ない話です。

文化の大切さに気付けない人は、哀れな人にしか見えません。

文化の大切さに気付こうともせずに文化を育てる技術をないがしろにしようとする人は、

単純に愚かな人です。


ピアノの技術、バイオリンの技術、ドラムの技術・・・

音楽の技術は素人には理解出来ません。

会話の技術、売込みの技術、気遣いの技術・・・

接客の技術もまた、素人が見抜くのは不可能に等しい。


技術だけではダメだ、と言うのは当たり前の話です。

魂がこもっていないと、技術は昇華しません。

だけど、魂だけで全てを評価しようとするのは極めて危険な行為。

それをやってしまうと、文化がダメになります。

守り続けるべきものが守れなくなってしまいます。


このブログを読んで下さっている皆さんには、

是非とも「接客」と言う一つの近代文化を、それも経済文化を、

今後幾百年、幾千年守り続けられる伝統に醸成してもらいたい、と思っています。


もう一度言います。

文化は平和の象徴。

文化が醸成すると言う事は、

その国が平和である証なんです。

その国が豊かである証なんです。

その国が教養ある国の証なんです。


ジャズが生まれてからわずか100年少々、

クラッシックと言う音楽のベースの上に、新しい技術や新しいメロディが多く生まれました。

そしてその細やかな技術は守られ続けています。


接客文化も生まれてからわずか100年少々。

茶のもてなしと言うベースの上に、新しい技術や新しいスタイルが多く生まれました。

ジャズと違い、細やかな技術はないがしろにされ始めています。


私たちが人間として守り通さなくてはいけないものを

守り続けましょう。