怒りや不安はネガティブな感情で、感じてはいけないもののように、色々なところで言われています。

しかし、状況によって 怒りや、不安、ジェラシー、悲しみなどの感情はわき上がります。

果たして、これを感じないようにすることは可能でしょうか?

まるで山や海を動かすような話です。

ネガティブな感情は、誰もが感じています。

赤ちゃんも、怒りや不安を感じます。

聖者は感じないのでしょうか?

そんなことはありません。


また、誰もが聖者になる必要はありません。
むしろ、あなたが誰かになろうとする必要はありません。
自分のままでいれば良いのです。
良い人を演じる必要もありません。

 

ネガティブであろうとポジティブであろうと、感情はその場で味わいきるのです。

しかし、最初から感情を味わいきることは、簡単にはできません。

それは過去のエネルギーが溜まっているからです。

 

怒り、寂しさ、悲しみ、後悔などの感情のエネルギーは、

その場では誤魔化して見ないようにしたり、他のことで紛らわそうとします。

そのために心の中で置き去りにされ、どんどん溜まっていきます。

大事なことは蓄積しないように、その場で味わいきって終わりにしてしまうことです。

 

まだ介護保険が出来たばかりの頃の話でした。

認知症で寝たきりの義父のお世話をしている女性がいました。

彼女は、その義父から毎日のように暴言を浴びせられていました。

そして、そのつらさと溜まっていた怒りのことを、参加者の皆さんに話してくれました。

私は言いました。

「お義父さんをどうしたいですか?」

「一度思い切り殴ってやりたい」

「じゃあ、命の別状のない部分を思い切り蹴飛ばしたり、殴ったりしてください。どうせ、認知症なんですから、覚えていませんから、気の済むまでやってください」

 

それから、数ヶ月経った時、またその女性がセミナーに来て下さり、その後の話をしてくれました。

「思い切り蹴飛ばして、痛がっている義父を見たら、怒りがなくなってしまいました。」

今、表沙汰になったら虐待と言うことになったと思いますが、

先のない高齢者よりも、子育てで忙しい中で介護をしている女性の方が重要です。

 

時と場合に寄りますが、このような荒療治も時には必要です。

しかし、怒りをためている方が、つらさを倍増していくのです。

私はこの女性の力では高齢者を骨折させるほどの力はないと思い、そのようにアドバイスをしました。

 

彼女は痛がっている義父の姿を見ているときに、義父の苦しみを感じたのです。

これも一つのワンネスの体験です。

 

 

お義父さんは亡くなって肉体を離れてから、そのお嫁さんにとても感謝をしていました。