およそ30年前、まだ結婚したばかりの頃、

「3歳までは王様のように育て、6歳までは王子様のように躾ける」と言うような話を聞きました。

これはインドの古典である「パンチャタントラ」の内容から話されていました。

(私の感覚では、当時の年齢を今の年齢にそのまま置き換える必要はないと思います。)

 

パンチャタントラは、イソップ物語やアラビアンナイトなどの元ネタでもあるそうでした。

 

僕は母が保育士だったこともあり、子どもの教育には興味がありました。

そして、大学で医学の勉強もする中で、幼稚園を作るための勉強もしていました。

 

インドのコースで学んだ内容は、僕の内側にはそのまま入ってきましたた。

そのとき、「自分の子どもは、そう育てよう」と思いました。

 

元々パンチャタントラは、王様が賢者に依頼して3人の王子を教育するために作られたものであり、

イソップ物語やアラビアンナイトも、人間関係を学ぶ上で子どもでもわかりやすい内容でもあります。

 

王様のように育てるというのは、愛情を持って育てるということです。

愛情を受けた経験が無い人は、人にどのように愛情を表現すれば良いのか解るわけがありません。

 

まず愛情を経験させて、その後、人間関係を整える際に必要な振る舞いや礼儀を学ばせることがキーになります。

(教育が必要な大人も大勢いることは否定しません)

 

 

僕がやっていたセミナーの参加者の中で、

「そんな育て方をしたら、子どもが我が儘になってしまう。絶対失敗する!」

と言っていた女性がいましたが、あれから20年以上経ち、その方が結婚できたか、子どもが生まれたかは解りません。

ただ、その人と話して感じたことは、その人は親の愛情を感じていないということでした。

 

王様のように育てるということは、子どもが望んだものを親の采配でできる限り与えるというものです。

子どもが望むものは、物質的なものや経験的なものはすべてです。

しかし、親にも経済力の限界がありますから、できる限りと言うことです。

 

私の兄弟は、2人が乳児の時に亡くなっています。

二人とも病気で亡くなりました。

私の兄は、1歳になる前に病気で亡くなりました。

私の3番目の弟は、先天性心室中隔欠損で千葉大に入院して何度か手術受けたのですが、

僕が小学1年生の時に亡くなりました。

当時、千葉大の小児病棟には、新興宗教の勧誘の人達がお見舞いと称して紛れてきていたそうです。

また、明日なくなってしまうかもしれない赤ちゃんのために、カラーテレビを買ってくる親御さん達もいたそうです。

僕の両親は、明日にでも死ぬかもしれない子どもに付き合っている方達と話をしている中で

「子どもの教育には、惜しみなくお金を使うべきだ」と思ったそうです。

 

僕の両親は、僕が大学生の時に亡くなりました。

でも、亡くなってから、僕や娘の守護霊になってくれて、今もアドバイスをくれます。

 

私の娘を小さい頃から知っている友達は、娘の育ち方を見ています。

私は自分の仕事を継ぐように一言も言ったことはありませんが、

彼女が中学生の時、「お父さんと一緒に働きたい」といって、

公立高校から浪人せずに公立大学に入り、国家試験も一回で合格しました。

(それだけでも、親の負担は少なくて済みました)

そして、今は一緒に働いています。

 

僕が提案したいのは、子どもが親の仕事を参観できるようにすることです。

特にサラリーマンの親御さんは、お子さんが自分の働く姿を見ることがほとんどないと思うのです。

僕は、両親が働いている姿を小さい頃から見ていましたので、両親を尊敬しています。

 

人は経験の無いことを、人にしてあげることは出来ません。

まして、愛された経験の無い人は、どのように人を愛すればよいのでしょう?

 

僕の感覚では、まず個人のレベルで満たされることが必要だと思います。

満たされる器には、個人差があります。

でも、自分が満たされたとき、その器から溢れた愛が、誰かを満たすのだと思います。