外出自粛、買いだめDVDを見る②マリック伝説が始まった「地獄の逃避行」 | con-satoのブログ

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 20年以上隱遁生活をして90年代後半に劇的カムバックを果たしたテレンス・マリック。そのマリック伝説が始まった映画1973年の「地獄の逃避行」を見た。
 見なければと思いながらも、ずっと前に購入していたDVD。見なかった理由は邦題がイマイチだったから。「地獄の逃避行」と聞けば、悲惨で凄惨な映画を想像する。ならば、見るには覚悟が必要だと。
 しかし、そんな心配は無用だった。話は実話をもとにした15歳の女の子と25歳の男の逃避行。彼女を好きになった男は、交際に反対した父親を射殺。二人で逃亡する。そして、二人に障害が出会う度に、男は容赦なく射殺を繰り返して逃亡する。
 ストーリーだけ追えば、邦題のような凄惨な話なのだが、演出のトーンはまったく違う。まるでフェアリーテールのように美しく、イノセント。時にユーモアさえある。
 確かに名作。この映画とリチャード・ギアが主演した「天国の日々」の2作でレジェンドになったのがわかる。
 復帰後のマリックは、周囲が天才と崇めることで、いよいよ独自の世界に迷い込んでいる。復帰作「シン・レッド・ライン」以降、映像優先が過ぎて、映画の質とは別になっている。
 主演はマーティン・シーンとシシー・スペイセク。二人とも若い。特に若かりしマーティン・シーンは息子のエミリオ・エステベスの若い時にそっくり。
 ランニングタイム94分。実にコンパクトに必要なストーリーを語りながら、無駄を排した演出。なるほどカリスマといわれた意味がわかる。