わたしには空白の時間がある。

気配は感じていた時間。

亡くなった父は、油絵を描いていた。
道具や作品が自宅にあった。

父の実家の玄関に、1枚作品が飾ってあり
子供心に、誇らしい気持ちだった。
だから
祖母に毎回
「パパが描いたんだよね」
「あのこは絵が得意でね、なかなかいいだろ?飾ってるんだよ」
と、
お約束の会話を私は好んでいた。

両親が新婚の時は、銀座で個展も開いたと
母から聞いた。
ま、細かいことはねアレとして。

この話も、印象的
「パパとね、売れたらどうしようか?どんな人が買うのかな?って、こっそり覗いたの。
一枚も売れなかったー」

で、私は必ずこう聞く。
「にってん(日展)に出した話、して。」
「あの話?」
この話は母のお気に入りなのをわたしは知っていたし私もお気に入りの話だった。

小学校1年か幼稚園の頃
繰り返していた会話。
なつかしいな。


〜〜
先日、母と散歩のとき。

「ママは、パパが絵を描いているとなりで
編み物をするのが夢だったの。
でね
パパがもう長くないってわかった時…
いったい、パパは、わたしに(ママ)何を言い残すのかな?
って、
今日かな?夜かな?明日かな?って思っていたの。ワクワクするような、どんなかな?どんなことばかな?ってね。」