新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、IOC(国際オリンピック委員会)は3月24日に臨時の理事会を開き、バッハ会長と安倍総理大臣との電話会談で合意した東京オリンピック・パラリンピックの1年程度の延期と、来年夏までには開催することを合意したことを受けて、承認しました。
オリンピックは、過去に第二次世界大戦など戦争を理由に、夏と冬を合わせて5大会が中止されたことはありますが、延期は初めてとなります。
この記事を更新した3月29日の時点で、大会組織委員会では、オリンピックの開幕は来年7月とする日程案が有力となっているとのこと。
今後は、IOCや東京都などとの協議を含め、今週中には一定の結論を出したい考えだそうです。
新型コロナウイルスの日本や世界の感染拡大が続いている中ではありますが、東京オリンピックの聖火リレーの聖火はギリシャで採火式が行なわれることに。
その後、日本に聖火が到着し、セレモニーも行なわれましたが、先ほどのオリンピック1年程度延期が決定したことで聖火リレーが中止となったのでした。
そこでこの記事では、まずこれらの一連の流れについて書いてみたいと思います。
◆新型コロナウイルスの影響はあっても、東京オリンピック聖火リレーの聖火はギリシャで採火式が行なわれることに
東京オリンピック聖火リレーで約1万人のランナーがつなぐ聖火については、3月12日に、古代オリンピックの発祥の地とされる、ギリシャ・オリンピアの遺跡であるヘラ神殿前で採火式が行なわれました。
いつもですと、採火式の模様は一般公開されているのですが、今回は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、無観客で実施されたのでした。
式では、国産オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長をはじめ、オリンピックの関係者約100人が参列し、巫女役の女優が太陽光線を凸面鏡に集める伝統的な手法で採火された聖火は、第1走者のアンナ・コラカキ選手のトーチに移された後、日本人最初の走者である、2004年アテネオリンピック女子マラソン金メダリストの野口みずきさんに引き継ぐことに。
第2走者として200mを走ったのでした。
ところか、予想以上の観客が集まったため、感染拡大のおそれがあることから、ギリシャ国内での聖火リレーは中止されることに。
そんな中で、聖火を乗せた特別輸送機は3月18日に羽田空港をアテネに向けて出発しました。
聖火を乗せた特別輸送機は、輸送を日本航空(JAL)と全日空(ANA)が共同で担当。
「JL2020」便として出発したのでした。
★チョコっと一言!
特別輸送機については、JALが所有するボーイング787-8型機(登録番号JA837J)が特別機に衣替えされたものであったということです。
上記したように、ギリシャでの聖火リレーは途中で中止となったものの、19日の聖火引き継ぎ式は予定通り行われたということです。
また、本来であれば、「聖火リレーアンバサダー」を務める柔道の柔道男子60kg級でオリンピック3連覇を果たした野村忠宏さんと、レスリング女子55kg級でオリンピック3連覇を果たした吉田沙保里さんらが現地で聖火を受け取り、聖火を持って飛行機を降りるはずでした。
しかし、ギリシャが入国者への隔離措置を始めたため、現地入りを断念。
そのため、ランタンに入った聖火を乗せた特別輸送機だけが、11時間30分かけてギリシャ・アテネから聖火を運び、強風のため当初の予定よりおよそ1時間半早めて、翌日の3月20日午後9時36分に宮城県東松島市の航空自衛隊松島基地に着陸しました。
◆到着セレモニーでは、野村さん吉田さん2人による「苦肉の策」となることに
到着式となる日本への到着セレモニーでは、上記したように、本来なら現地で聖火を受け取り、聖火を持って飛行機を降りるはずだった野村さんと吉田さんの2人が、地上からタラップを上り、機内から聖火が入ったランタンを受け取ってタラップを降りるという「苦肉の策」となったのでした。
到着式では、大会組織委員会の森会長があいさつの後、野村さんと吉田さんが桜をモチーフにしたデザインのトーチから、ステージの上にある聖火皿に聖火を灯すことに。
強風の中、航空自衛隊の飛行チーム「ブルーインパルス」がオリンピックのシンボルマークである5つの輪や、直線的なラインを描く展示飛行を行って到着を祝いました。
◆聖火は宮城県石巻市・岩手県・宮城県の東北3県で“復興の火”として展示
その後、聖火は車で移動し、会場となった宮城県石巻市の「石巻南浜津波復興祈念公園」には県内外から多くの人が訪れました。
ランタンから聖火皿に火を移す際に、強い風で一時消えてしまい、聖火が灯る別のランタンを運ぶのに30分かかったことから、仙台市出身の漫才コンビであるサンドウィッチマンが即興のショートコントを披露して場をつなぐ一幕もありました。
その後聖火は、東日本大震災の被災地宮城県をはじめ、岩手県・福島県の東北3県で“復興の火”として展示されたということです
◆新型コロナウイルスの感染拡大の影響により聖火リレーが中止
本来ですと、3月26日から日本国内の聖火リレーが、2011年の女子ワールドカップで優勝したなでしこジャパンのメンバーにより、福島県のサッカー施設「Jヴィレッジ」からスタート。
各都道府県をつないで、7月24日に東京都で行われる開会式に到着する予定となっていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を懸念したことや、東京オリンピックの開催延期合意がなされたことから、聖火リレーそのものが中止となりました。
当初は、聖火ランナーを走らせるのをやめ、車を使って聖火の入ったランタンを巡らす形式が検討されていたのでした。
なお、聖火リレーが中止となった東京オリンピックの聖火について、大会組織委員会は、来月から1ヶ月程度「Jヴィレッジ」に展示し、その後は東京で保管する方針を固めたということでした。
ここまで、東京オリンピック・パラリンピックの1年程度の延期が決定についてと、聖火リレー中止までを書いてみました。