みじかいストーリー
書いてみた
『水飲み鳥』
私がたまに行く喫茶店のカウンターには
玩具の「水飲み鳥」が居る。
マスターの遊び心で
少しお茶目な鳥になっていて
それが何とも言えない癒しをくれる。
その「水飲み鳥」が飲む、水が入っているグラスには
なぜか数枚のお金が入っている。
お賽銭のつもりだろうか笑
でも、お金を入れたくなる気持ちもわかるのだ。
水飲み鳥をずっと見ていると
セカセカした、
そして
灰色や黒や、青赤の混ざったような日常がリセットされて
本当の自分が浮き上がって来る。
心臓が微細に振動し、
優しさに満ちた自分が出現するのだ。
何をそんなに怒っていた?
何がそんなに辛かった?
悲しかった?
どうでもいいよ、もう、そんなこと、、、、
赦そう
自分のために赦そう、、、
今日初めて私は「水飲み鳥」のグラスにお賽銭(笑)を入れた。
令和五年の真新しいピカピカの五円玉を。
