みじかいストーリー
書いてみた
「発明」
「博士!、出前取ったんですか!?」
博士は机の上にあるカツ丼を、美味しそうに食べていた。
「僕も食べたかったなぁ~~、出前取るんだったら声かけて下さいよ!」
僕はふてくされ気味にそう言ったが、
博士はカツを頬張りながら僕に鋭い視線を向けるとニヤリとした。
「・・・えっ・・・・本当に!?本当に!?」
僕は興奮した。
博士は僕に向き直ると、何度も頷いて言った。
「いやーすまんすまん。本来ならこの感動を君と分かち合うべきだったが、
腹も減ってたし、あまりにもうまそうだったもんでつい・・」
「ついにやりましたね博士!凄いですよこれは!!」
僕は残っていたカツを口の中に放り込んだ。
「うまっっ!!」
博士とわたしは長年密かにある研究をしていた。
それは、思念で物体を具現化する装置だ。
実は数年前にすでに、ネジやナット、鍵などでは成功しているのだ。
だが、どうにも面白みがない。
そこで、宝飾品に挑戦してみた。
うまくいけば大金持ちになれるかもしれないとワクワクしたが、
宝石は、まるでプラスチックのおもちゃのようなものしか現れない。
金(きん)に至っては、黒い鉄の塊のようなものが出現した。
大体、雑誌に載っている写真を見るぐらいだけじゃあダメなのだ。
実際に手に取って実感してみなければ・・・。
そこで今度は食べ物に挑戦してみる事にした。
食品は難しいのでは?・・・と、想像していたが、
意外と早い時期に”プリン”では成功したので、
期待にワクワクしていたが、
もっと複雑な食べ物は散々だった。
見た目も味も酷いものだ。
丁寧に、丁寧にイメージしなければならず、
かなりの集中力が必要だったのだ。
それが、今日やっと成功したのだ!
今日のこの素晴らしき日を、
「カツ丼記念日」にしよう♪
「博士、今日はお祝いしましょう!
博士が好きなワインを買ってきます。
今のところ、買う方が早いですからね」笑笑
僕はワインと、チーズやナッツ類、
いくつかおつまみを買って研究室に戻ってみると、
机の上に、小さなお皿いっぱいの“イクラ”があったのだ。
「博士、このイクラどうしたんですか?」
僕がそう言うと、
博士は苦笑いしながら言った。
「キャビアをね、ちょっと出そうと思ってね、やったんだけど・・・
なぜかイクラがね、出ちゃって!」
ハハハ・・・
「大きさも、味も、色も違うのに・・・なんでだろうね~~~?」
ハハハハハ
「イクラが出ちゃった」と君(博士)が言ったから、
今日は「イクラ記念日」
に、してもいいかな♪ 笑笑
水曜日のカンパネラ 『エジソン』