『微笑む転校生』
昨日「さとう」さんに衝撃的な事を言われて、僕はかなり混乱していた。
学校に着いてからも、
夢と現実を行き来しているような変な感じだった。
教室に入ると、「さとう」さんがニコニコしながら僕に手を振って、
「おはよう!」と言った。
「…おはよう…」
僕は彼女と何を話していいのか…わからない。
「ねぇ 思いだした?」
そう聞いてきた彼女の顔をジッと見ていると、
担任の先生が教室に入って来た。
だけどその瞬間、僕は驚きの光景を見た。
先生の背中に大きな羽があるのだ!
その時、僕の記憶はよみがえった。
そうだ…天使だったんだ…
僕は本当に天使だったんだ!
「やっっと思い出したようね!」
「さとう」さんが僕を見て微笑んでいる。
「本当の自分を忘れてしまったあなたを、助けるために来たのよ」
「しょうた」君も「なおゆき」君もそうよ。そして…大天使様も来てくれてるわ」
僕の目は”先生”にくぎ付けになった。
そうだ……。
あぁ…大天使様だ!
僕が大好きな大天使様!
そうわかった時、
クラスのみんなの背中にも、羽があるのが見えたのだ。
みんなは僕を見て微笑んでいる。
僕の目から大粒の涙があふれ出した。
あの子もこの子も、
みんなみんな一緒に”ここ”へやって来た仲間だったのだ。
ありがとう!
僕はやっと思い出したよ…
