『空とぶ転校生』
彼女は僕を挑発するように、頭上を何度も周りながら飛んでいる。
僕はその時、ハッっと気付いた。
「さとうさん!誰かに見られちゃうよ!」
「あらっ、大丈夫よ、誰も見てないから。ほら、一緒に飛びましょうよ」
彼女はそう言って僕に手を差し伸べて来た。
(僕が飛べるわけないだろう?)と思っていると、
彼女がおかしな事を言ってきた。
「まだ思い出せないのね……あなたにも翼があるのよ。
うしろに手を伸ばしてごらんなさい」
「は??」 何を言っているんだ…。
そんな僕の様子を見て、
彼女はじれったそうに降りてきて、僕の手をつかんだ。
!!!な、なにかがある!
そう…鳥の羽のような…
そうだよ!まさしく鳥の羽の感触だ!
「驚いた?」 フフフ
彼女は僕の両手をとって、微笑みながらゆっくり飛び上がった。
どんどん上がっていって、公園が小さく見えるようになった。
でも、不思議に怖くはなかった。
「ねぇ……さとうさんって…誰?」
「えっ わからないの!? 天使よ」
「ええぇぇぇーーーーっっ!?」
「何驚いてるのよ、あなただって天使なのよ」
「ええぇぇぇーーーっっ!???」
これって…
やっぱり夢なのかもしれないと思う僕だった。
