『かわいい転校生』
となりの席の、謎の転校生「なおゆき」君は
あの消しゴムの一件以来、特に変わった様子はない。
”あれ”は錯覚だったのか?と考える時もあるけど、
あの時の衝撃が、本当に起こった出来事だと確信するのだ。
ある日、またまた転校生がやって来た!
名前は「さとう ゆり」さん。
今度は女子だ。
そして、どういう訳だかまたしても僕の隣の席になった!
僕の右隣が「なおゆき」君。
左隣が「さとう」さんなのだ。
でも僕は内心嬉しかった。
だって「さとう」さんて、カワイイ♪
「よろしく」って挨拶された時ドギマギしたよ。
しかし、この時の自分は少し浮かれていて、
注目するべきことを忘れていたのだ。
彼女が”転校生”だということを…。
ある日の帰り道、後ろから不意に声をかけられた。
「さとう」さんだ。
足音も気配も感じなかったので、すごく驚いた。
「途中まで一緒に帰っていい?」と聞かれ、
僕は「あ、あぁ…」と、素っ気ない返事をした。
会話の中で、僕の家の近くに住んでる事がわかった。
なんだか嬉しかった。
別れたあと、彼女に聞きたいことがあって、
すぐに追いかけたが…姿がない。
どこにもいない。
ほんの数秒のことなのに…。
僕はこの時、
彼女が”転校生”だったことを思い出した。
