『謎の転校生』
不思議な転校生の「しょうた」君は、
あの出来事の次の日から学校に来なかった。
家庭の事情で、また引っ越したそうだ。
だから、あの不思議な出来事について
詳しく聞く機会も無くなってしまったのだ。
(一か月ぐらいだったけど楽しかったなぁ…)
ある日また転校生がやって来た。
名前は「なおゆき」君。
席は、一番後ろの僕の隣。
「しょうた」君が座っていた席だ。
「なおゆき」君はメガネをかけていて、がり勉タイプに見える。
真顔で「よろしく」と挨拶され、
にっこりスマイルだった「しょうた」君とはずいぶん違うもんだと少しがっかりした。
(仲良くなれるかなぁ…)
ある日、「なおゆき」君が授業中に消しゴムを落としてしまい、
少し後ろの方にコロコロと転がってしまった。
僕は横目でその様子を見ていたが、
次の瞬間、見てはいけないものを見てしまった!
手を伸ばした瞬間、
消しゴムが「なおゆき」君の手に瞬間移動したのだ!
僕はすぐに前を向いて、そしらぬ顔をした。
(目の錯覚なんかじゃない…どういうことなんだ…)
またしても「謎の転校生」がやって来たのだ。
