右矢印 ① 不思議な転校生

 

『謎の転校生』

 

 

 

不思議な転校生の「しょうた」君は、

 

 

あの出来事の次の日から学校に来なかった。

 

 

家庭の事情で、また引っ越したそうだ。

 

 

 

 

だから、あの不思議な出来事について

 

 

詳しく聞く機会も無くなってしまったのだ。

 

 

 

 

(一か月ぐらいだったけど楽しかったなぁ…)

 

 

 

 

 

 

 

 

ある日また転校生がやって来た。

 

 

名前は「なおゆき」君。

 

 

席は、一番後ろの僕の隣。

 

 

「しょうた」君が座っていた席だ。

 

 

 

 

「なおゆき」君はメガネをかけていて、がり勉タイプに見える。

 

 

 

 

真顔で「よろしく」と挨拶され、

 

 

にっこりスマイルだった「しょうた」君とはずいぶん違うもんだと少しがっかりした。

 

 

 

 

 

(仲良くなれるかなぁ…)

 

 

 

 

 

ある日、「なおゆき」君が授業中に消しゴムを落としてしまい、

 

 

少し後ろの方にコロコロと転がってしまった。

 

 

 

 

僕は横目でその様子を見ていたが、

 

 

次の瞬間、見てはいけないものを見てしまった!

 

 

 

 

 

手を伸ばした瞬間、

 

 

消しゴムが「なおゆき」君の手に瞬間移動したのだ!

 

 

 

 

 

 

 

僕はすぐに前を向いて、そしらぬ顔をした。

 

 

 

(目の錯覚なんかじゃない…どういうことなんだ…)

 

 

 

 

 

 

またしても「謎の転校生」がやって来たのだ。