『 幻の国 』
ある所に、大きな大きな滝があり,
高さは数百メートルにも及び、
轟音をたて、水しぶきをあげて流れていました。
そして晴れの日には、いつも大きな虹がかかっていました。
そこには、滝の向こうに我々の知らない
幻の国があるという、大昔からの言伝えがありました。
その国は、自然豊かで一年中温暖な気候.,
実りも多く、争いごとは無く、
穏やかで平和な国だと伝えられています。
滝の中腹あたりにその国の入り口があり、
一年に一度だけ僅かな時間、虹の輪が現れ、
その虹の輪をくぐった者の前にだけ、
入り口は出現すると言われていました。
昔からたくさんの者がこの滝に挑戦しに来ましたが、
いつ現れるのかもわからない虹の輪、
万が一にも奇跡が起きて、出会うことが出来ても、
轟音を立てて流れる滝の中腹に行く事すら、
ましてや飛び込む事など出来やしないのです。
いつのまにか、おとぎ話のように語り継がれましたが、
言伝えには続きがありました。
”遠い先の世に我らは姿をあらわす"と・・・。
