『絵』
今日は久しぶりに美術館に来ました。
有名な日本画家の特別展で、
たくさんの人が観に来ています。
どの作品からも、
静かな鼓動が伝わってきます。
ある作品の前に来た時に、
その中に描かれている小さな鳥が、
驚いたことに絵の中から飛び出し、
私の肩にとまったのです。
絵を見ると鳥がいなくなっていました。
(ど、どうしよう・・・・・)
私は混乱状態のまま、
その場で動けなくなってしまいました。
鳥は私の服を何度もつまんだりしていましたが、
少しすると飛び立って、元の絵の中に納まりました。
私はホッとして近くの椅子に腰かけました。
(は~よかった、ドキドキして心臓が止まるんじゃないかと思った)
胸に手を当てて、ふと見ると、
服の胸のあたりに鳥の絵が描かれていました。
よく見ると、あの絵の中の鳥によく似ています。
(もしかして仲間だと思って飛んできたのかしら?)
「ごめんね」
ちょっぴり申し訳なくて鳥さんに謝りました。
