国の防衛力を強化することに、自民党や石原慎太郎などは熱心なようだが、僕から言わせると的を射ていない。


憲法9条を変えて、自衛隊を軍隊にしたがっているようだが、そんなことをしたぐらいで日本は絶対戦争に勝てない。


中国と戦争になったら日本は絶対負ける。アメリカのような強力な軍隊を持つのなら話は違うだろうが、自衛隊に毛が生えたぐらいの軍隊を持っても中国には太刀打ちできない。


軍事費を増やすことで軍需産業を儲けさせるだけで、国防には全くつながらない。


だから国防のためというのは単なる口車であって、軍産複合体のために動いていることは明確だ。


騙されてはいけない。


長年の海外生活経験から思うことは、日本人はケンカに弱いことだ。残念ながらそれはそう。身体能力でも敵わないし、メンタル面でも敵わない。スポーツの試合を見れば一目瞭然だろう。


災害時の対応やワールドカップの警備体制などを見ていても、日本人は、例えば韓国の警備隊、ドイツの警察、アメリカの兵士たちのように、機敏な動きができていない。


戦闘に長けた民族でないことをまず自覚しなければ。


戦いに勝つためには、自分の長所と短所を把握し、冷静に対処することが一番いい。能力もないのにただ強気になるのは愚かだ。


日本が生き残る唯一の方法は同じ土俵に乗らないこと。つまり戦争をしないで勝つ方法を考えること。


平和憲法がそのひとつで、それを変えてしまったら、かえって他のアジア諸国を刺激することになる。


外交がもうひとつの方法だが、日本はもう少し外交カードを増やさなければならない。


食糧の自給率を上げることは国防的に重要だ。食を海外から買っているということはそれが外交カードとして利用されるからだ。


中国など、ためらうことなくそこを突いてくるだろう。


TPPに入ることは国防的にもよくない。


さらに、日本の農業が衰退すると、離島の人口が減り、無人島が増えると言われている。これが領土問題に影響するのだ。


下記サイトの「安全保障への影響」という項目に詳細が載っている。

http://www.think-tpp.jp/nation/index.html


もうひとつ、日本の外交カードになりうるのが水。中国もアメリカもオーストラリアも水不足に悩まされ、そうした農業大国も、今後どうなるかはわからない。


これから水戦争が起きると言われているが、水不足は世界的問題だ。


日本は数少ない水が豊富な国で、これは国土の70%以上が山林という特殊な地理的環境のお陰である。


山で水が湧き、川となって海に流れていくのだが、この大小様々な河川のお陰で、日本は水田による稲作がさかんなのだ。


僕は現在山に住み、庭に湧水が出る環境に住んでいるからよくわかるのだが、水の循環が守られているのは、山に人が住み、管理しているからだ。


しかし、TPPに入って農業や地方の産業が衰退すると、日本の農村、山村は今以上に過疎化し、管理する人がいなくなる。


里山の機能が崩壊し、水もなくなってしまう。


つまり、まず水と食糧を守ることが先決で、その上で交渉力をつけて外交につなげていくことのほうが、中途半端な軍隊を持つことよりよっぽど現実的だと思う。