先日、函館の仲間5人で実施している「短歌の会」がございました。

 

今回のテーマは「水」。

 

噴水の近くがいいねということで、8月の夏真っ盛りの天気の良い函館公園の会議室にてお互いの短歌を味わい愛でる会をいたしました。

 

これが正解!でして、動物園を眼下にみる大きな窓。壁にずらりと並んだ書棚。冷房のきいた部屋。

あっという間に4時間が経過した不思議な午後でした。

 

皆それぞれに違う職業や境遇、ライフスタイルを持ち、お忙しい方々。なので会えるのが嬉しいのです。

 

実は5年ぶりにこの初夏に開催し、あまりに楽しくてすぐに夏の会となりました。次回は秋。とても楽しみです。

 

文芸というのは堅苦しいものではなく、高校生の放課後のミスタードーナツで過す時間のように、ささやかに人生を一時停止させたようなお互いの思いに寄り添い興奮する時間であるように思います。

 

うつりすぎる季節の光景や、わすれてしまいそうななんでもないそのときだけの気持ちなどを、お互いに「ああ、それを見たんだね」「そのときそう感じたんだね」と大切に味わう、このゆっくりとした感じがとても好きです。

 

以下は今回の「水」をテーマに私が詠んだものたちです。

 

( )内は歌意メモ。

 

【令和6年8月 「水」】

 

常温のペットボトルの水を飲み機械になりぬ午前の仕事

(普段の平日の午前はパソコンに向かって機械のごとく無になるのが好きでそれを詠んだ)

 

肉厚な葉の水玉のうは露を宝石にして指につけたし

(紫の上の和歌より、「うは露」を拝借して)

 

快晴の世界を移す水鏡 日傘の人も逆さに歩く

(天気のいい日に五稜郭公園ウォーキングで見かけた光景)

 

青と白 絵具を混ぜた水浅葱 落ち込むのにはもったいない空

(ホリゾンブルーというか、ちょっと黄みを含むやわらかな空の色を美しく感じて、小さい自分の機嫌の中にいるのはもったいないと感じた)

 

特急の電車の窓に額つけ水色の馬と共に疾走 

(雨の日の特急列車は水のような馬と走っているように思う)

 

草刈りの音が続きし午前中 何杯水を飲んでも渇く

(音と渇きと季節とがじりじり渇く感じを。短編にしたい感じ)

 

旅先で飲んだお冷の一口目ずいぶん遠くに来たと感じる

(生まれて初めて道外の喫茶店(京都かな)でお冷を飲んで感じた)

 

青々とはるかに霞む山々が授けし水で米を研ぐ午後

(我が家から見える横津から東山の青い山々からいろいろいただいて生きている)

 

(番外編)

階段を降りてくる影放課後の推しは私の五センチ横過ぐ

(放課後の恋は階段で始まるので)

 

気の抜けた青みの緑の透過色グラスの汗が落ちていく午後

(メロンジュースが好きで)

 

夏の朝まだ寒色が勝っているあおみのみどりみどりみのあお

(夏の朝の青さが好きで)