相場師業も片手間になり、息抜きに書いていたこのブログも15年間放置していたのですが、1ドルが80円から160円になり物価も高くなってきて、何より身の回りの人も代わってきたので簡単なまとめ。
相場師のやること
簡単に言えば、1ドル160円の時に1万ドルを160万円で買って、もし1ドル170円になれば自分の1万ドルは170万円になり10万円の儲け、1ドル150円になれば自分の1万ドルは150万円になり10万円の損。これだけなら普通の人は別にやらなくて良いです。
ただ1ドルが80円から160円になると、誰にでも影響が出ます。
計算例
15年前の1ドルが80円の頃、AさんとBさんがそれぞれ160万円ずつ持っていたとしましょう。計算を簡単にするために金利は省きます(15年間、米ドルの方が金利が高かったので金利も考えると以下の計算よりも更に米ドルを買っていた方が有利になります)
Aさんはそのうちの80万円を1万ドルに両替しました。所持金は日本円80万円と米ドル1万ドル。
Bさんは日本円160万円のままです。
現在、1ドルが160円なので、Aさんの米ドル1万ドルは160万円になりますので日本円80万円と合わせて240万円、Bさんは160万円のままです。
単に「Aさんは80万円儲かって良かったね。でもBさんも損はしていないよね」ではないです。 日本は原油など多くを輸入に頼っていて、途中に輸入業者、加工業者など入って為替変動をある程度吸収してくれるので分かりにくいですが、円安は物価高に効きます。為替の影響が分かりやすいように1万ドルの商品を個人輸入することを考えます。
15年前1ドルが80円の頃、160万円持っている人が1万ドルの商品を80万円で輸入すると、手元に80万円残ります。
現在ならどうでしょう。Aさんなら、15年前から持っていた1万ドルで輸入するので、手元には80万円残ります。厳密には税務署が「80万円だった米ドルが160万円に増えたから、増えた80万円の20%の16万円を納税しろ」と言いますが、それでも64万円は残ります。
でもBさんが1万ドルの商品を160万円で輸入すると、手元にお金が残りません!15年前なら手元に残ったはずの80万円は誰に奪われたのでしょう?
ここでアメリカ在住のCさんが1万ドル持っていて、日本の80万円の商品を買うとします。15年前1ドルが80円の頃だと80万円は1万ドルなので、買うと手元にお金は残りません。でも今なら1ドルが160円なので80万円は5,000ドルなので、手元に5,000ドル残ります。Bさんは80万円を失い、Cさんは5,000ドルを得たからと言って、決してCさんがBさんを騙してお金を奪ったわけではありません。
これが相場の変動で、相場師はこの変動から利益を得ようとします。誰もが相場師になる必要はないですが、Bさんのように気付かないうちに相場の変動にお金を取られることもあります。逆に1ドルが160円から80円になると、Bさんは気付かないうちにお金が増えることになります。
貯金が少ないうちは相場を気にしなくて大丈夫です。仮にBさんが16万円しか持っていなければ、上記の計算での損は8万円。頑張って働けば取り返せます。でも1600万円持っていたら、上記の計算での800万円の損は働いて取り返すのも大変です。Aさんのように「米ドルなど変動すると生活に影響が出るものに対し、その影響を緩和できる程度」に持っておかないと損を避けられません。
また、まとまった退職金が出るサラリーマンもあまり気にしなくて大丈夫です。在職中の貯金がBさんのように減ろうが増えようが退職金で補えます。一方、プロスポーツ選手のように現役時代の収入はサラリーマンより多いけれどその現役時代の貯金で引退後も生活するならば、Bさんのように減るのは非常に困ります。
やりすぎも良くないです。もしも「今後円安が進む」と推測して、資金全部を米ドルに両替すると、推測が外れて円高になった時の損も大きくなりますので、無難なのは預金の半分は日本円のまま、残りをさらに半分ずつ米ドルとユーロ、くらいでしょう。僕はもっと日本円の割合が少なくて株とか金(gold)とか原油先物も持っていますが、裏目に出た時の損も大きいのでお勧めしません。
金融機関選び
為替が逆に動いての損は、逆に動いた幅の分だけですが、金融機関が破綻することによる損は全額です。大きな金融機関の有名な金融商品が良いです。大手証券会社の外貨MMFがお勧めですが、証券会社を使ったことが無くて不安なら銀行の外貨預金でも構いません。ただ外貨預金はその銀行自身にお金を貸すので、その銀行が破綻すると戻ってきません。外貨MMFは国家や多数の企業に分散して貸すので一か所くらい破綻してもダメージは少ないし、分散して貸す作業は信託銀行がやってくれます。信託銀行は管理作業だけで信託銀行自身に貸しているわけではないので、信託銀行が破綻しても他の信託銀行に管理作業を引き継いで貰えますから、致命的な損は避けられます。
やってはいけないこと
「この株が上がる」という話を聞いて株を買ってはいけません。
有名な会社の場合、その話が自分の耳に入る頃には世界中の人が知っています。現在の株価は、その情報も反映して上がった結果ですから、たとえその情報が正しくてもここから上がるか下がるかは五分五分です。
聞いたこともない会社の場合、少しの買い注文で株価が上がり、少しの売り注文で株価が下がります。「この株が上がる」という話を信じてしまった人が買って高くなったところで情報源の人が売り抜けるための話なので、絶対に耳を貸してはいけません。
「預けてくれたら増やしてあげる」なんて言ってくる人はもっての外です。そもそも違法です。逆に僕が他人のお金を預かって運用するつもりも全くありません。
誰に相談しよう?
ファイナンシャルプランナーがこの分野の本職です。ただファイナンシャルプランナーのお仕事も難しいと思います。損を避けるためのアドバイスをして、そのアドバイスが的確だったおかげで損を避けられたからこそ、顧客はその損の痛みが分からず、避けるためのアドバイスに感謝しない、という矛盾があります。
「運の良い奴には勝てない」どんなに上手い相場師でも、凄く運が良かった素人には勝てません。でもそんな幸運は続かないからこそ、相場師は運に頼らずに勝ち続けようとします。運の良さを自慢する人の話は聞くに値しません。
相場格言「当たり屋につくな、曲がり屋に向かえ」
当たり屋とは相場が上手い人のことです。上手い人は、自分が間違えたと思った時の修正が速いので、上手い人についていこうとしても上手い人はいつのまにか違うことをしていて、ついていけなくなって儲けられません。僕自身、凄く上手いわけではないですが長年死なない程度には続けられています。毎回100%の自信はないけれど上手くいきそう、ちょっとヤバそう、の積み重ねで、100戦100勝ではなく51勝49敗で生きています。僕の一部だけ真似して、それが49敗の方だったら損しますよ。
曲がり屋とは下手な人のことで、下手な人はいつも同じ失敗を繰り返すので、下手な人の反対のことをすれば少なくとも大損は避けられます。
この記事を書くためにネットを検索すると、今は「当たり屋につけ、曲がり屋に向かえ」という言葉の方が多いようです。「上手い人の真似をすれば儲かる」って魅力的な言葉ですよね。でも上手い人が上手くなるまでの苦労、努力を見ずに上辺だけ真似ても儲かりません。上手い人を真似ようとして損する人が多かったから「当たり屋につくな」という格言が作られたのですが、その経緯が忘れられると、簡単に出来そうに思える「当たり屋につけ」の方が広まったのですね。そしてまた痛い目に遭う人が増えると「当たり屋につくな」の方が流行るのでしょう。
時が流れ、相場師が入れ替わり、相場の流行テーマも入れ替わっても、相場自体は変わらない。何故なら人間心理は変わらないから。(ジェシー・リバモアの言葉の現代風アレンジ)
まとめ
誰だって懸命に考えて取引しているので、多くの人が取引している市場価格は概ね妥当。自分だけが儲けられるとは考えない。大事なのは損しないこと。
他人が持ってくる儲け話は信用しない。僕がここに書いたのは儲け話ではなくて損をしないための話ですが、それでも100%確実に損を防げるわけではありません。自分で納得できるまで調べるきっかけとして読んでください。
一人挙げるなら、山崎元さん(故人)の本や記事が、怪しげな夢や希望を書いてなくて面白くないという意味で、信用できます。