言わずものがなではある。椿=つばき と山茶花=さざんかである。
両者の花はよく似ている。
区別がつくだろうか。上が山茶花、下が椿である。よくみれば葉の形状もよく似ている。
その見分け方として、言われることが多いのが散り方である。
山茶花はこの様に花びら1枚ずつが落ちる。
一方の椿は、花一輪が丸ごと落ちる。
かつて武士たちはこの椿を嫌ったという話がある。その理由が、この花ごと落ちるさまが切られた首が落ちる様子を連想させたから縁起が悪いというものであった。
その一方で、武家の間でこの椿の栽培が流行したことを憂慮した江戸幕府がこのような噂を流したという説や明治に入り、椿を好んだ薩長の政府高官(もちろん武家の出身)を揶揄するが如く江戸っ子たちが流した話が元であるなど、諸説あるらしい。
どうも本来、武士たちは椿を嫌っていたわけではないらしい。
寒い冬の空。その青色によく映える椿の花である。
こんな八重咲の品種もあるようだ。通勤する道の途中にある。この椿に気が付いたのはそれこそ落ちた花からだった。この八重咲の椿は花そのものが大きい。それがすべて雄しべ雌しべのある面を上にして落ちていたのである。
そのことに気付いてから、椿の花をみかけるとその落ちた様にも目がいくようになった。やはりほとんどの花が上を向いて落ちているのである。
ある時こんな句を詠んだ。
皆が皆 凛と上向く 落ち椿
花おもて 上にして落つ 椿三つ
拙句にて失礼。