私の10代の頃からの友達の話。
その友達は昔からパッと目を引くハーフ顔の美人。
しかも性格も良く、とても元気で明るい子だった。
私より2歳年下で、私が結婚をして夫の地元に嫁いだ数年後に夫もよく知ってる隣町の男性のところに嫁いできた。
結婚前はよく一緒に遊んだが、結婚してからは私が出かけられなくなりゆっくり話す機会もなかった。
彼女は国家資格の必要な職種に就いていたため、子供を産み少ししたら職場復帰して今までずっと働いてきた。
近くにいてもなかなか会うことも出来ず、何年かに時々バッタリどこかで会って立ち話をする程度だった。
それが、2年前夫と別居を始めたころに娘と行ったカフェで偶然再会した。
私も究極まで痩せていたが、彼女も数年前に会った時より痩せてげっそりしていた。
それから私たちは彼女の休みにたまに会うようになった。
そしてお互いの数十年を語り合った。
彼女の夫は結納を済ませた後も元カノと付き合っていたことがわかり、彼女は自分の親に結婚を取り止めたいと言ったが、
「今更そんなことを言っても…それに結婚すればきっと別れてくれるだろうから」と言われ結婚した。
もちろん彼女も恋愛して結婚したはずだった。
それから38年ほどずっとその夫にも女がいたと言う。
今の女とはW不倫。
相手の旦那様は奥さんと彼女の夫との不倫を公認だと言っているそう。
彼女も
「もう諦めてるからうちも公認のようなものかもね」と言っていた。
「不倫に公認って何?そんなことある?!」
と言う私に彼女は
「世の中にはそんなバカみたいなこともあるんだよ」と笑った。
それでも毎日夫のために食事の用意をして、今も同じ部屋で寝ていると言う。
犬がいるから、という理由で。
子供たちもみんな巣立ち、夫婦ふたりだけの食事の時間は毎日お通夜のようだと言っていた。
ほとんど話もしない、その夫は家のことも何もしないと言っていた。
「何のために夫婦でいるのだろう?」
と言う私に
「一歩を踏み出す勇気と気力がなかった結果だよ」と言った。
5年前彼女は癌になり手術をしていて、痩せたのはそれが原因だった。
完全にストレスからだ。
「最初からずっと女がいることを知ってた私のことを思えば、あなたはまだ知ったばかり。苦しむ期間が短かったことが救いだ」と言った。
私もよく知っているその夫に激しい怒りを感じ、許せないと思った。
もっとも彼女の夫はうちの夫と正反対で、彼女に対してずっと無関心だったと言うからどちらがどうだろうかと思うところ。
それに家を建てさせ別居を始めた私のことを羨ましい、と言った。
あんなに美人だった彼女も、もうすっかり年をとっていた。
もちろん今でも綺麗だけど女としての人生をすっかり諦めたのがわかる。
そして、明るくて元気で天真爛漫という言葉がぴったりだった子が口数も少なく影のある雰囲気に変わっていたことが驚きだった。
彼女の姑もなかなか強烈な人だったが、ずっと
「あんたが悪いからだ」
と言われ続けていたそうだ。
彼女は職場だけが自分の居場所だと言っていた。
きっとその仕事は彼女の天職なのだろう。
彼女の場合は定年退職がない職種だから体が動くうちはまだ働き続けたいと言っている。
「自分の居場所はそこだから」
そう言う彼女のことを私は少し羨ましいと思った。
以前YouTubeで斎藤一人さんのお話をたまたま聞いたことがあったが、そこで一人さんが仰っていたことが思い浮かんだ。
「浮気症の男が結婚したからといって浮気症が直るはずがないんだよ。直ると思ってる方が間違ってるんだよ」と。
おっしゃる通りです。
結婚前にきちんと相手を見極めることは本当に大事なこと。
結婚したからといって、子供ができたからといって、長年一緒に暮らしたからといって、人格が変わることはない。
お互いそんなこともちゃんと考えることなく安易に結婚したことが間違ってたんだね、と話した。
でもきっとこれからでも自分の人生を軌道修正することはできるはず。
少しでも楽しい時間を過ごしていこうね、と約束した。