前日、通常よりかなり余裕を持った5時半に起きる予定を立てていた。
少し眠そうだったが、5時45分には起床。その後ゆっくりお風呂に入り、朝ごはんを食べた後、何度もトイレに行く。
1回、2回、私は声をかけたい気持ちをグッと抑え込んで、でも時間だけは伝えなくてはいけないので、
「7時20分には出るからね。」と声をかけた。
さあ制服に着替えようという段階になって、黙り込む娘。顔色が悪い。
「お腹痛い。。。」緊張から段々と声が出なくなってくる。床に座り込んでしまった娘。いつもだとこの状態になってしまうと、その日の予定は中止になる。
先日のテストも腹痛で休んでしまったのだが、試験は今日の1回しかない。今日休んだら、高校の普通科に通う選択はなくなってしまう。
「こわい、、、やだ、、、」声が小さくて聞こえなかったけどたぶんそんなようなことを言った。
私は時間がないという言葉を押し込んで、娘に話しかけた。
「緊張してるんだね。辛いのわかるよ。今日の試験は大きな壁だよね。でもこれを乗り越えたらまたひとつ強くなるよ。高校入って、制服きて、学校に行く生活したいんだよね。自分がしたいことなんだよね?だから今日は踏ん張りどころ。
戻るのはいつでもできるよ。通うのが無理だったら、いつでも通信に変えてもいいんだから。でも今日行かなければ選択肢がひとつ減ってしまうからね。大丈夫。行けるよ。」
娘は涙を流して「足が立たない」と立ち上がれない。
娘は一生懸命自分の心と戦っていた。
同じ中学生と同じ部屋で試験を受けるのは、娘にとって1年ぶり。
それでも今日の試験のために、自分で目標をたて、毎朝制服を着たり、体操をしたり、勉強も娘なりにがんばってきた。
それでも、体が娘の意思とは反対に縮こまってしまって動けない。
不登校になってから、今日までできるだけ娘の思うように、口を出さない、見守るだけを目標に接してきた。
でも今日は、戦う娘のために背中を押してあげる日。
娘をお姫様抱っこできるくらい強くなった腕力で
娘を立たせて、制服を着るのを手伝った。
「パパに車で送ってもらう?」
「大丈夫。歩いていく」
1回泣いてからは、少し吹っ切れたように、ちゃんと歩いて電車とバスで学校に向かう。途中でもお腹が痛いと言っていたが、足取りはしっかりと試験会場に入っていった。
そろそろ試験が終わる。
またひとつ壁を乗り越えた娘。
娘なりの道を一歩一歩、着実に歩んでゆく。
長い人生、これからもいくつも壁があると思う。
壁に真っ向から挑んで乗り越えるか、
乗り越えずに回避するか、
どちらの進み方でも間違いではないと思う。
だからこそ
自分の行きたい方に
自分が選んだ方に進んで欲しい
