四葉のクローバーを探す名人がいる。
幼なじみ(おばちゃん数人)と野歩きに行った時のこと。
ふと立ち止まって草むらを見ている。
・・・「あった。」
一人が手を伸ばしてクローバーをつまんで見せた。
「あれま。四葉のクローバーだ。良く見つけたねぇ」
(さすが、卓球やってるだけあって動体視力のいい人は四葉のクローバーも探すの早いわ)
と感心した。
そして、たまたま私も続いて四葉のクローバーを見つけることができた。
別の幼なじみが「記念に押し花にしたら?」と言ったので持ち帰った。
後日、何とか押し花にした四葉のクローバーを見た幼なじみは
「貸して。パウチしてあげる」
と言って持ち帰り、しおりにしてくれた。
(こんな邪魔くさいこと、よくやってくれるわ)
とまた感心した。
そんなことがあってから、毎日の犬の散歩で草むらを通る際に何となく四葉のクローバーを探すようなっていった。
毎日散歩をしていると、けっこう見つかるものだ。
ある日、珍しい六葉のクローバーを見つけたので、友人宅を訪問する際に持って行った。
友人はたいそう喜んで、家族が集うテーブルの中央に飾ってくれた。
その後の報告がメールで来た。
友人の娘が帰って来て、六ッ葉のクローバーを見て、「花言葉は何だろう?」と調べて母子で盛り上がったとのこと。
娘は当然のように四葉のクローバーの花言葉を知っていて、六ッ葉のクローバーにも花言葉があるはず、と考えたようだった。
「花言葉・・・、考えもつかなかった」
(これは女子力だ・・・)
やっと分かった。
野歩きで四葉のクローバーを見つけられるのは動体視力のおかげじゃない。
他人が見つけた四葉のクローバーをパウチしてしおりにしてあげるのは、ただマメなだけじゃない。
もらった六ッ葉のクローバーではしゃげるのはなぜ?
花言葉を知りたがるのは?
・・・みんな女子力持ってるわ。
私はないけど。
春になってクローバーが茂ってきた。
習慣とは恐ろしいもので、ある日視線の先に五ッ葉のクローバーがあった。
考え事をしながら、知らずクローバーの草むらに視線をやっていたようだ。
はっと気づくと五ッ葉のクローバーを見つめていたという訳。
(とうとう私にも女子力が!・・・)
ちゃう、ちゃう、ただ目が慣れてきただけだわ。
ま、それでも何かうれしいね。
花言葉は知らない。