アメリカ旅行(4)肥満 | ライオンシティからリバーシティへ
2013-09-02 10:04:48

アメリカ旅行(4)肥満

テーマ:アメリカ旅行

太っている人は世界中にいるが、算盤珠のような肥満体型はアメリカ独特だ。

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顔が小さく、手足も比較的細い。そして不釣合いにヒップ回りが大きく膨張している。こうした珠型の人がチョコチョコ歩く姿は、ニワトリにも似ていてかわいらしい。

アメリカ人の肥満と比べると、日本の太鼓腹、メタボなどは肥満のうちに入らない。

勿論、アメリカ人は全員、太っているわけではない。スリムな人も多い。

スタンフォード大学のキャンパスを歩く人々に肥満体型は皆無だった。日本人の若い男女に多く見られるガリガリに痩せて小さい貧相な体型の人も少ない。長身で適度に筋肉がついて全身のバランスが取れた、まるでギリシャの彫刻のように美しいスタイルの男女がジャラジャラ歩いていた。

日本のメディアで言われているようにアメリカの肥満は必ずしも下流の貧困層だけに集中しているようには見えなかった。

フーバーダムやグランドキャニオンを旅行する中産階級とおぼしき米国人観光客にも肥満は多かった。反面、スペイン、フランス、イタリア、ドイツなど欧州からの観光客とおぼしき人々には太っている人は殆どいなかった。

肥満は伝染するようだ。

肥満男性と一緒にいる女性は大抵、肥満で、子供も太めだった。そして、痩せた男性と一緒にいる女性はたいてい、痩せていた。

今回の旅行では、田舎に行けば行くほど
肥満の人は増えていき、肥満体型が標準になっていくようだった。インディアンのナバホ族の居住地の人々は、ほぼ全員が太って大柄だった。

肥満の原因は、明らかに食生活だと思う。

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帰国して読んだこの本によるとアメリカ人が本格的に太りだしたのは70年代からで、肥満が加速したのは90年代だという。
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本書によると、アメリカ人が大食漢になったのは、たくさんのエネルギー摂取が必要になったからではなく、食品産業の過剰生産の辻褄をあわせるべく、食べ物を過剰摂取させられてきたからだという。

確かにモニュメントバレーのナバホ族博物館で見た写真に登場する、第二次世界大戦中のナバホ族の兵士は皆、精悍に痩せていた。

アメリカで第二次世界大戦後に加工食品ブーム、外食産業ブームが起きたのは、終戦で軍事需要がなくなり、だぶついた爆弾生産用の硝酸アンモニウムの平和利用として開発された化学窒素肥料と、同じく軍需で開発された毒ガス製造の技術を応用した除草剤、除虫剤の開発で、アメリカの穀物の生産効率が飛躍的に高まったためだという。

化学肥料の登場で特に生産量が急増したのはトウモロコシで、それがコーンスターチ、コーンシロップなどになって、加工食品や清涼飲料の安価な原料となることで、アメリカ人の肥満に拍車をかけたという。

つまり、アメリカ人の肥満は、アメリカの農業力、工業力、豊かさ、強大な資本主義とセットになっていて、それらがもたらした負の側面ということになる。

アメリカ的食生活の最大の犠牲者が、数千年かけて作り上げてきた伝統的な生活のシステムを破壊され、食料品の配給によって伝統的な食生活を失い白人的な食生活に切り替えを余儀なくされたインディアンだ。

キャニオン・デ・シェイで見たナバホ族の中年女性たちが、先住民プエブロ族の残した遺跡のある谷を暑い夏の日中から、トレイル・ラインに励んでいたのが印象的だった。

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日本もまた、アメリカに戦争で負け、敗戦直後はアメリカが供給する缶詰や脱脂粉乳で飢えを凌いだ。ファストフード、アイスクリーム、清涼飲料は私たちの食生活の一部になっている。

それでも、日本人の食生活は完全に米国風にはなっていない。伝統的な食のシステムを失わないで今日まで維持できたから、日本人は太らないで済んだ。

日本人が伝統を維持できた理由は、インディアンと違って伝統的な食材供給の基本となる国土を失わなかったこと、しょうゆ、味噌、昆布、鰹節といった基本食材の安価で大量の生産供給体制が維持され続けたこと、そして何より日本食のシステムそのものに異物流入に負けない「競争力」があったせいと思われる。

家庭の主婦が家族のために料理を作るという文化強制力と習慣が根強いことも日本に肥満が少ない理由かもしれない。

日本だけでなくヨーロッパやアジアの国の大半は経済が発展しても、伝統的な食習慣を維持しているように見える。アメリカナイズされた加工食品や清涼飲料を取り入れても、インディアンのようにそれが食生活の核にはなっていないのだ。

アメリカはグローバルスタンダードではない。世界中でとても特殊でエキゾチックな場所なのだということは、こうしたことからも感じられる。






















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