こんにちは。絵本専門士こっころです。
ブログをご覧いただきありがとうございます。
数日前に購入した絵本を紹介します。
父の嗜好で、
我が家の小さい頃の外食と言えば、お寿司屋さんでした。
おすしやさんにいらっしゃい!
生きものが食べものになるまで
おかだだいすけ 文
遠藤 宏 写真
岩波書店
2022年
第68回青少年読書感想文全国コンクール課題図書
小学校低学年の部(1,2年生)
皆さん、お寿司は好きですか?私は、大好きです。
この絵本の表紙を見ると、
絵本の中に、たくさんの美味しそうなお寿司が
描かれているような気がしませんか。
私が好きなお寿司はあるかな、なんてワクワクして開くと、
ちょっとびっくりする絵本です。
この絵本は、キンメダイ、アナゴ、イカを釣り上げた写真から、
お寿司になるまでが描かれています。
全ページ、写真で構成されている写真絵本です。
お寿司屋さんが、生きている魚を捌きながら、
それぞれの魚の構造についても教えてくれます。
それらは、少し残酷に感じるかもしれません。
でも、食べるということは、
そういうことなのだと気づかされる絵本です。
私は、小さい頃、母の手伝いで、
捌いた魚の内臓を洗ったり、
いかの頭と体を離していました。
大学の時、1人暮らしをしていたのですが、
さんまを捌こうとした時、
初めて「怖い」って思ったんです。
「命」と向き合った気がしました。
それから、未だに魚は調理できません。
子どもの頃には感じなかった感情。
だから、子どもたちには、
残酷と感じることはないかもしれません。
この絵本から、
命を感じないかもしれません。
でも、「生きものが食べものになるまで」を知ることで、
「食」や「命」への興味につながる1冊になると思います。
さて、「いただきます」「ごちそうさま」のあいさつは、
日本独特の文化なんですよね。
何気なく、習慣的に、
なんなら、よーいどんのような食事の合図にしているけれど、
どんな意味かご存知ですか。
「いただきます」は、命をいただく。
私の命のために、動物や植物の生命をいただくことへの感謝と、
山の神様(山の頂きに山の神様がいる)への感謝(農耕、狩猟)
の気持ちを込めていると言われています。
「ごちそうさま」は、御馳走様と書きます。
馳と走という漢字は、どちらも走るということで、
「馳走」は、走り回ること、奔走の意味です。
昔は、食事を作る人が、走り回って材料を集め、準備をしてくれました。
食事を用意してくれた人への感謝に「御」と「様」が付き
「御馳走様」と言うようになったと言われています。
そして、その食材に携わった全ての人にも感謝します。
お野菜を作ってくれた人、運んでくれた人、
お店に並べてくれた人、たくさんの人の手を通って、
私の元へ運ばれた食事。ありがとうございます、ですね。
また、「馳走」という言葉は仏教用語で、
韋駄天(いだてん)さんが、お釈迦さまの為に駆け回り、
食材を集めてきた、というお話しがあります。
食事だけでなく、他人の為に奔走し、助けることも
「馳走」というそうです。
「いただきます」と「ごちそうさま」の言葉の意味を知ると、
食事がより大切に感じ、心を込めてあいさつし、
感謝して食べないとですね。