昨日(6月7日 土曜日)という日は、生涯忘れられない日になりました。
産まれて初めて、父と本気で向かい合い、心の底から伝えたかった思いを伝えることができました。
「お父さん、僕は、プロのコーチとして色んなクライアントさんの人生の苦しみ、悲しみに寄り添わせてもらっていながら、自分の一番大切な、お父さんが歩んできた苦しみや悲しみに寄り添ってこなかったことに気づきました。
僕なんかが、お父さんの味わってきた苦しさを解決することなどできないかもしれない。
でも本気で寄り添わせてもらって、そんな苦しさを味わいながらもお父さんが一生懸命育ててくれたことに感謝し、一緒に泣くことはできます。
良かったら、いつでも話して下さい…」
最後のほうは、涙で声が詰まりました。情けないですね。
お父さんと、当たり前のように仲良くされ、会話をし、絆を感じて来られた方にとっては、「そんな程度のこと…」と思われることでしょう。
私にとって父は、性格も違い、正直何を考えているのかもわからず、殻に閉じ籠ってしまって開けようとすれば拒否される、そんな存在でした。
子どもの頃から、「拒絶された」と感じる経験も多くありました。
きっとこうして大人になった今でも、情けないことですが世界にたった一人の父親に自分の存在を拒絶されるということが怖かったのかもしれません。
今回、こうして本気で思いを伝えるということは、怖くもあり照れもあり、自分で言い訳をして、逃げることもできました。
「そんなの別にいいじゃん、もう大人なんだし」
「そんなこといちいちしなくたって、死ぬまで家族は家族なんだし、真剣に向かい合うとか必要ないよ」と。
しかし父に命をもらったことに全力の恩返しをせず、思いを伝えないまま、私はこれから先の人生は歩めない。
そして、曲がりなりにもプロのコーチとして活動し学ばせて頂く中で、自分が勇気を出して立ち向かうことなく、クライアントさんや生徒さんたちに人生の希望など語れない、と。
これまで、毎年自分の誕生日には、襟を正して両親の前に手をつき、感謝の思いを伝えてきました。
「お父さん、つらい思いもいっぱいあっただろうに、僕を育ててくれてありがとう…」
そう思いを伝えて、大泣きしてしまったのは今から6年前の誕生日です。
しかし、その父の「つらい思い」、父が幼少の頃から味わってきた悲しみや苦しみは、聞いてはならない、開けてはならないパンドラの箱のようで、私自身、父の人生そのものに真剣に向き合うことは避けてきました。
今こそ、父の人生すべてを感謝し、肯定し、父がいつの日か、「色んなことがあったけれど、生きてきて良かった、紘彰の父親になれて良かった」と思ってもらえるような人生を歩んでもらえるよう全身全霊で応援したい、息子としてできることを何でもやらせて頂こう、そう強く思ったのです。
昨日は実家で夕食をしたのですが、ふと二人になる時間があり、勇気を出して父に伝えることができました。
父は、びっくりしたような、嬉しそうな顔で何度もうなずいてくれました。
こんな小さなことですが、父の人生を心から尊敬し肯定する、その一歩が踏み出せたようで、涙が止まらなくなりました。
昨日の決意を後押しをして下さったのは、師である鈴木稔先生と、先生の私塾、「志塾」で共に学び合う仲間たちです。
昨日は朝から夕方まで9時間、先生の私塾、「志塾」で人間学と古典、アドラーカウンセリングの基礎について学ばせて頂いたのですが、先生から頂いた言葉の数々が、私を突き動かしてくれました。
「動けば何かが変わる。動けば新しい風が吹く。迷った時こそ動け」
「動いたらやり続けよ。決してやめるな。どんなことがあっても決して諦めず、毎日やり続けよ」
「気づいたら即行動、即実践」
「家族関係の課題や問題はみんな逃げたがる。一番甘えや弱い自分が出て、一番やっかいな問題だからだ」
「自分の家族を幸せに出来ていない人間が、人前で何かを語る資格はない」
「人前で語る人間は、色んなことを学んでいなければならない?そんなことは当たり前だ。
人前で何かを語る人間は、誰よりも実践家でなければならない」
「目の前で困っている人間を救えなくて、何がカウンセラー、何がコーチだ」
動くなら今しかないと、父に大切な思いを伝えられたのも、いつも本気の生き様を見せて下さる先生と、仲間たちの応援があったからです。
本当にありがとうございました。
そして、やり続けなければ何の意味もありません。まだ、スタートラインに立っただけのことです。
昨日は、他にも、父に伝えたかった本気の思いを、いくつも伝えることができ、私は涙でぐしゃぐしゃになりながらでしたが、その度に父は優しい言葉をかけてくれました。
「お父さんの苦労も知らず、当たり前に大きくなったような顔をして、大学まで出してもらったのに、身勝手にミュージシャンになってしまってごめんなさい」
「誰だって反抗期なんかあるよ。
お前高校の時も大学の時も反抗期なんか無かったじゃないか。
ちょっと遅かっただけだよ」
「僕が何をしたら、どんな生き方をすれば、一番お父さんへの親孝行になるかな?」
「紘彰は酒もタバコもギャンブルも何もしないし、今、一生懸命働いて、その上に一生懸命勉強までして誰かの役に立ってるんだろ。
充分だよ。俺なんか反面教師にしてもらったらいい。
親に返さなくてもいい、順送りにね。家族を大切にしてくれたら充分だよ」
そして最後に、
「こんな父親を、持ち上げてくれてありがとうな」と。
また決意も新たに頑張ります。
このような恥ずかしい、個人的なことを書き付けて申し訳ありません。
ここまで読んで頂いてありがとうございました。
もう日付がかわってしまいますね。
どうか皆様が素晴らしい一日をお過ごしになられますように。
おやすみなさい。