嶌峰会を開催しました。

 

2021年5月19日(水)金融セミナー嶌峰会を開催しました。

㈱第一生命経済研究所 取締役・首席エコノミスト 嶌峰 義清 さんが講師を務めて下さる恒例のセミナーです。

新型コロナウイルス感染が収まらない中、会場でのセミナー開催はできず、2月に引き続きZoomでの開催となりました。

概要は以下のとおりです。

 

 

 

地球【世界の状況】地球

主要国の実質GDP推移を2019年10~12月期100としてみると中国は感染前の水準を超える早い回復を見せている。

一方、西側は感染状況が落ち着かず手間取っている。そんな中でも米国は景気対策効果で第3四半期は拡大し、早晩コロナ前の水準を超えてくるとみられる。

日本の回復は一本調子ではない。今年1~3月期はマイナスで、感染状況も抑え込めていない。回復のパフォーマンスは米中は良いがユーロ圏 、日本は悪いといえる。

 

製造業は順調な回復傾向にあるのに対し、非製造業の景況感は国ごとに差が出ている。

 中国の非製造業はこの3月には改善を見せているが、ユーロ圏、日本は出遅れている。米国は製造業、非製造業とも改善を見せている。

☆在庫環境

 ロックダウンで出荷が急激に減ったが、在庫も積みあがらず調整圧力は軽微なものだった。

 

【各国状況】

(米国)アメリカ

コロナ禍で一時2000万人強が失業。その後回復見せるも道半ば。

ロックダウンで失業率が急上昇、失業者数は500万人レベルから2300万人まで上昇。現在は1000万人まで減ってきた。

☆小売り:消費は好調を維持している。ロックダウンで落ち込んだものの急上昇、急回復。政府の給付金などの景気対策効果が出ている。

3度にわたる政府給付金の支給で緊急の所得押上げを、失業保険給付額の積み増しで所得の継続的上昇が図られて国民の不安解消、財布のひもを緩めることにつながっている。

住宅:金利低下に在宅ワークが進んだことで住宅需要が爆発的に膨らみ、需給ひっ迫で価格が急騰している。

 

(ユーロ圏)ドイツフランスイタリアイギリス

☆小売り:ロックダウンで落ち込んだが戻りつつある。消費者のマインド(信頼感)もコロナ前まで戻ってきた。ワクチン接種が進展。感染は沈静化傾向を辿っていることで消費は復活しつつある。

 

(中国)中国

☆米国向けを中心とした輸出は持ち直しており景気を押し上げている。米国向けは今年の1~2月は昨年同月比で爆上がりしている。

☆小売りも昨年の反動で急激に戻している。ただ、消費は戻ってきているが力強さは今一つない。これは雇用の回復が遅れていることが影響している。

☆雇用:消費の持続的な回復のカギとなる雇用・所得の回復は遅れている。

雇用は前年1~3月の落ち込みの反動で今年は急増している。所得では地方からの出稼ぎ者の水準は戻りつつあるものの、都市に戸籍を持つ人の所得が回復していない。

☆現状では景気は輸出に頼っていて消費が力強さを戻していない。

 

(日本)日本

米国、ユーロ圏に比べて消費が弱い。所得が落ち込んでいる。サラリーマンの給与は2018年末から鈍化している。コロナ以降は減少の一途をたどっている。特に非製造業、個人事業を中心に落ち込んでいる。政府の給付金も1回で終わり、税制面での優遇もないために、可処分所得が急激に落ちている。米国とは対照的といえる。

☆雇用状況:休業補償で失業を抑えた。ただし、休業者を含めれば実態は米国並み。

昨年4、5月には失業者と休業者合わせて800万人超えた。ピーク時12%だったものが現在は6%まで下がったものの。実質失業者数は先進国で一番になるリスクもある。

☆輸出:アジア、米国向けは伸びたもののユーロ圏は回復していない。工作機械などの外需が伸びている。国内はまだまだ不十分。内外の差が大きくなっている。外国の力に頼っている状況。

国内業績見込み:製造業の業績見通しは改善も、非製造業はさらに悪化を予測している。

 

製造業:2020年3月時点ではー3%減益(経常利益)予想

           

6月 -18%  9月 -28%  12月 -25%   2021年3月 -18%  環境は改善傾向

 

非製造業:2020年3月 -2%  2021年3月 -43%  一層厳しい予想となっている

 

 

外食、旅行の控えもあり、個人消費は感染拡大の影響を強く受けている。消費は非常に厳しい状況。外食は業態の差が顕著に表れている。ファストフードは回復。ホテルはインバウンド効果が無くなったことが大きく響いている。

 

地球【世界の感染状況】地球

☆世界の感染は再びピークアウトしつつある。一日の感染者数が80万人から70万人に減少。

☆英国型変異株はワクチンで抑制、インドも一旦はピークアウトか。

☆東京は、人の移動が4週間後に感染者として現れる傾向がある。(NTTドコモ分析)

☆物価:米国の物価急上昇だが、一時的との見方が多い。

☆米国金利:この一年で急上昇のイメージがあるがコロナ前に戻っただけである。利上げの雰囲気は無いとみている。2022~23年には動きが出てくるか。

☆市場:楽観的なシナリオではワクチン効果で上昇基調が明確になってくることも。

 

この後、嶌峰先生と参加者の間でオリンピック、ワクチン、治療薬などについて意見交換が行われました。

                                

                                   以上