嶌峰会Webセミナー開催
2月22日(月) 14時から当社恒例の金融セミナーを開催しました。講師はおなじみの第一生命経済研究所取締役・首席エコノミスト 嶌峰義清さんです。今回で31回目となりましたが、コロナの感染状況を鑑みて初のオンライン開催に踏み切りました。参加いただいた皆様もすでにオンライン会議などで慣れておられるのか、支障なく開催することができました。では、セミナーの主な内容をご覧ください。
(2020年振り返り)
ロックダウン後の経済の回復はスムーズであった。中央銀行の量的緩和はリーマショック時を上回り、政府も給付金、事業補助など記録的規模の財政支出拡大を行った。過剰流動性とワクチンへの期待で株価は大幅な上昇をした。
各国情勢
*中国:いち早くロックダウン対応し、4月以降は順調に回復を見せた。コロナ前より上をいく水準までに持ち直している。
*欧米日:中国以外の先進国はどこまでしっかりとコロナ対策をとることができるかによる。時間はかかりそうだ。
景況
*米国は製造業、非製造業ともいい。一方、ユーロ圏、日本、中国の製造業は右肩上がりで良いゾーンにあるものの、非製造業(飲食、観光など)は、一本調子の回復とはいかない。ロックダウンの影響が出ている。
*製造業・・・ネット購入が上昇要因。生活必需品は売れる。回復は
早い。
非製造業・・・飲食・観光はロックダウンの影響を受けている。
消費
*米国:ロックダウンで落ち込んだが、コロナ前以上に回復を見せている。世界経済を引っ張っている。ネット販売の比率はコロナ前を上回っている。消費水準はコロナ前以上。
米国経済対策
*給付金など移転所得が消費を支えた。就業者が200万人減り、失業率は15%まで上昇したが、給付金で消費を支えている。米国は昨年末、追加給付金を出し、1月の消費は息を吹き返した。バイデン新政権も更なる追加給付を検討している。米国の消費は再失速はなさそう。
*ワクチン接種の拡大で今年後半は景気過熱も懸念されるほど。
*住宅・・・販売は激増。売れすぎで価格が急激に上昇している。
金利低下と在宅勤務によって住宅需要は爆発的に拡大。需給ひっ迫で価格急騰。
欧州
*昨年末のロックダウンから次第に回復しているが、第2波で再失速の懸念もでている。
中国
*早々に回復。輸出回復で本格的な回復を迎える。地方の出稼ぎは雇用回復も、都市部エリート層の雇用・所得の伸びは遅れている。リーマン時に比べて中国経済には今回は世界経済を引っ張るような力はない。
日本
*失業者は限定的。雇用維持政策で休業者が増えている。失業率は3%にとどまっている。改善の傾向は出ていない。景況感はリーマン時と同レベル。
*世帯収入は減少傾向
可処分所得は給付金など景気対策が1回のみで落ち込み激しい。米国とは対照的。
今のところ伸びる要素はない。今後、非常事態宣言終了すれば、一時戻る動きが出るかもしれないがあまり期待はできない。
*外食、居酒屋は厳しい。
観光は外国人なし、欧米に比べ環境は良くない。実質GDP1~3月はマイナスに?
日銀短観で製造業は昨年9月より上昇。非製造業は悪化。
感染者
*英国変異株が欧米では人々の行動抑制につながった。日本への影響はまだはっきり見えない。人の移動と感染には4週間のずれがある。冬場は感染力がアップか。
2021年のポイント
*景気はワクチン効果と感染終息の時期次第。春以降感染者減少ならば4月~6月経済正常化か。
*経済政策、未曾有の緩和政策。秋に増税の議論が出てくるか。
*金融の量的緩和は継続、2022年に縮小か。
*国際情勢・・・感染拡大中は中国は思うが儘の行動をとりそう。米中関係はさらに悪化。
*消費者物価・・日本は目標のはるか下。米欧は安定的に2%にはまだ時間かかる。
*金利・・・利上げ、利下げ予想されず。ここ1年は無しとマーケットは見ている。
*長期金利が上がっている。景気過熱を懸念。
*中央銀行が長期金利をどう考えているかがポイント。近々のFRB議長、議会証言に注目。
以上です
次回は5月19日を予定していますが、会場で生の声を聞くことができればよいと思っています。
一刻も早い新型コロナウイルス感染の沈静化を願っています。