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2012-05-18 11:20:30

32年前の今日、イアン・カーティスは何故死んだのか

テーマ:ブログ
ロンドンのそこらへんにあるスーパーマーケットでよく売られているなんてことないチーズサンドイッチが恋しくて無性に食べたくて、自分で再現して作って食べているCMJKです。こんにちは。

8枚切りの薄切り食パンにスライスチーズ4枚くらい(もしチェダーが使えるなら1cm近い厚さで!)に、決めてはカレールーコーナーにちょこんと置いてあるチャツネ。このチャツネをまんべんなくパンに薄塗りし、チーズをはさんで完成。

えっ、それで完成!?と驚かれたことでしょう。それで完成なんです。ハードコア英国料理とはそういうもんです。素朴なんです。しみじみおいしい。ミルクティーと共にどうぞ。


今現在の東京は気持ちのいい五月晴れです。こんな日にこんなこと書くのもどうかと思うんですが、32年前の今日、1980年5月18日、ジョイディビジョンのヴォーカリスト、イアン・カーティスが自宅で自ら首を吊って死にました。享年23歳。


たまに行くバーでの先日の出来事。巨大プロジェクターにはジョイディビジョン/イアン・カーティスの半生を描いたセミ・ドキュメンタリー・ミュージック・フィルム「コントロール」が映し出されていた。
名高い映像作家アントン・コービンによって撮られたモノクロームのスタイリッシュな画像は、バーの雰囲気を邪魔せず機能していた。僕はいつも通り癖の強いシングルモルトを一人カウンターで飲んでいた。バーテンとの会話。


「JKさん(僕のことです)これ観ました?」

「もちろん公開してすぐ渋谷のシネマライズに一人で観に行ったよ」

「ちゃんと観れてないんですけど、要するになんか不倫で悩んだバンドの人が自殺する話ですよね?

「うーん、まあ、そうだけど・・・」


ジョイディビジョン(以下JD)及びイアンに関心の無い人からしてみれば、ネットでいうところの「厨二病」で自己満でナルシスティックな青年がただ死んだだけの話にしか思えないのか・・・これは大変だ。ゆとりの人から「はい出た!精神論www」とかウザがられても、これは書かないといけない。ブログがあってよかった。

まずイアンのパーソナリティーについて少し解説しないといけない。
普段は気さくで優しくて常に周りに気を使っているような人だったんだそうだ。
新しもの好きで常に刺激的な音楽を求めていて、メンバー(後のニューオーダー)にクラフトワーク等のエレクトロを最初に勧めたのもイアンだったんだそうだ。

決して鬱々とした友達がいないようなタイプではなかった。積極性があり、彼らの所属レーベル社長で彼らのボスとなるマンチェスターのマルコム・マクラレン或いはマンチェスターの秋元康トニー・ウィルソンとの初対面のシーンで、トニーにいきなり喰ってかかるイアンの様子が「コントロール」にも描かれてます。

ところが彼はてんかん持ちで、時々自分がコントロールできなくなっててんかんを起こしたり倒れたりしてた。ステージ上で倒れることもあった。
自分をコントロールできなくなる瞬間が訪れる恐怖に常に苛まれていた。

JDが結成/活動していた1978~79年頃というのはパンクムーブメントが少し落ち着いてきて、ゲイリーニューマン率いるチューブウェイアーミーが活躍していたり、キリングジョークやポリスがデビューした時期である。
パンクにおける外部へ向けての訴えや自己主張といった攻撃性がステレオタイプ化し、もはや過激でなくなって一介のポップカルチャーの1アイテムとして消費されつつあった時期であった。

何か新しいものを!汚れのない、手垢にまみれてないものを!そういった風潮にJDはどんズバリではまった。結成してまもなくすぐに熱狂的に受け入れられた。
世界で初めて発見されたパルサー「PSR B1919+21」をあしらったジャケットで発表された衝撃の1st「Unknown Pleasures」は発表後すぐにインディチャート上位に躍り出た。
(パルサー「PSR B1919+21」について説明すると恐ろしく長くなるので興味がある方はお手数ですが自分で調べてください・・・JDファンの方は「PSR B1919+21」で画像検索するだけで大興奮できますよ!)

パンクがそれまで外部に向けていた不満や疑いの目といった攻撃性を、イアンは歌詞によって自分の内面に向けたのだ。そして、てんかんで倒れる寸前のけいれんのようなダンス・・・いや一種異様な動き?で一歩間違えば観てる人がドン引きするような圧巻のパフォーマンスで時代を圧倒した。

彼の独特なパフォーマンスは彼が最も避けたい、考えたくない、彼の最も巨大な闇であるダークサイドであるてんかんを彷彿させるものだ。
なぜ彼はわざわざそんなパフォーマンスをしなくてはいけなかったのだろう?

魂を汚さず、ピュアなままの魂を、究極的なところまでさらけ出すこと。
つるんで反体制を言っていたパンクへのアンチテーゼとしても、「個」をさらけだすこと。

これがイアンが自分に課した「使命」だったんだと思うんです。

そんな彼が不倫をする。妻も愛している。愛人も愛している。
もうここで大抵の女子は、ありえない!とお思いでしょう。まあもう少しお付き合いください。

普通の人だったらどちらも好きであっても体面や社会的な常識の範疇に乗っ取って、どちらかと別れるでしょう。
しかし自分の魂に嘘をつかない、自分の魂を汚さない、ということだけを信念として生きてきたイアンに、好きなのに別れる、ということはできなかった。

イアンの辞書には「妥協」とか「開き直り」とかいう言葉は存在しなかったのでしょう。

JDが売れてきてアメリカツアーの話が持ち上がった。その時期にイアンはこともあろうに
アメリカ行きの不安感を増長させるような体験をしてしまう。

ツアー出発の2日前、BBCで放送されていた映画~自由の国を夢見てベルリンからアメリカに渡ったストリート・シンガーの主人公が、破滅して自殺するまでを描いた作品、ニュー・ジャーマン・シネマを代表する映画監督ヴェルナー・ヘルツォーク監督『シュトロツェクの不思議な旅』をこともあろうに観てしまったのだ。

JDは極端なまでに英国的な、マンチェスター的なバンドである。果たしてアメリカで受け入れられるのだろうか?もし受け入れられなかった場合、自分の魂に嘘をついて、自分の魂を汚して、バンドをアメリカナイズさせることが自分にできるだろうか・・・・

イアンの辞書には「妥協」とか「開き直り」とかいう言葉は存在しなかったのでしょう。

ツアーの前日、イアンはキッチンで首を吊って死んだ。



先日、尊敬する映画監督、映像作家の方と飲む機会がありました。

自分は編曲家/サウンドプロデューサーとしてはある程度の評価を頂けてごはんを食べてこれましたが、編曲/サウンドプロデュースした楽曲に比べると自分で作曲して世の中に出回った楽曲というのは作る時間が無かったとは言え極端に少なく、作曲家としては殆ど評価されてない。作曲しても「洋楽っぽすぎる」「良いんだけど難しく聴こえる」と言われることが多い。どうしたらよいか、という悩みを抱えていました。

監督から金言を頂きました。大事なのは開き直りだと。

「開き直る」というのは、妥協することでもあきらめることでもない。嫌いなもの、俗なものであっても、嫌いなもの、俗なものと認識したまま、自分のキャパシティーを広げて、心を強くして、受け入れる事ができた状態を初めて「開き直り」というのである、と。

開き直ったクリエイターは、受け手に媚びる必要は無い。受け手をだますことができる。作品が結果受け入れられたのであれば、そこの「だまし」は良い嘘なんだよ、と。開き直らないと、絶対に売れないよ、と。

天井をつきやぶって頭の上に墜落した航空機が落ちてきたかのような衝撃でした。その瞬間頭の中にイアンの死後残されたJDメンバーが仕方がなく次に始めたバンド、ニューオーダーの「The Perfect Kiss」という曲が流れ出しました。僕は一人家に帰ってから改めて「The Perfect Kiss」を聴きました。

イアンの心象風景そのもののように陰鬱としていながらも最高に美しかった汚れのなかったJDの曲たちに比べたらこの「The Perfect Kiss」はなんてチャラいんだろう!ゆ、ユーロビートじゃん!しかし、そこに残された彼らの強い「開き直り」があったのです。

僕は今の今までなぜそれにそこの本質的な部分に気づかなかったのだろう?何年無駄にニューオーダーのファンをやってきたんだろう?これまでニューオーダーの「開き直り」を何度も何度も何度も見てきたはずなのに!

イアンが最後まで抵抗したように、自分の魂に嘘をつく必要は無い。自分の魂を汚す必要もない。ただ、強くなればいいのだ。僕は「The Perfect Kiss」を聴きながら、一緒に歌いながら、一人泣きました。

汚れのない魂のまま、イアンが代わりに天国に行ってくれた。だから残された僕らは強くならないといけない。
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