2週間に一度、たけしの『TVタックル』は「喫煙コーナー」で締めくくられる。それはまるで日本タバコ(JT)の覆面CMのようだ。

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 アメリカやヨーロッパからは大幅に遅れて、ようやく日本の法律もテレビでタバコCMを流すことを禁止した。以来、テレビCMは、“喫煙マナー”と非喫煙者の権利の尊重を訴えている。

 だが、たけしの「喫煙コーナー」はCMを規制する法律よりもずっと寛大だ。かつてのマルボロのCM顔負けのモンタージュを駆使し、番組の中でタバコのいい所を実地に披露しているのだから。それは以下のような点で顕著だ。

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1) 「喫煙コーナー」という看板が出ている。
2) 火のついたタバコが終始たけしの頭上に見える。
3) たとえたけし自身はタバコを吸わないにせよ、彼の相方“タレント”はしっかりタバコを吸いながらの登場である。タバコを片手のおしゃべりが生み出す快楽の例証にほかならない(これこそは、タバコ礼賛に使われる古くからのテーマで、フランスでは既に17世紀の劇作家モリエールの代表作『ドン・ジュアン』に登場している)。

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 これがCMなら今の日本では禁止されるに違いない。私の脳裏にはあの古い諺が浮かんでくる。「火のない所に、煙はたたない…」

 細かいことだが、番組スポンサーにはミドリ安全が名を連ねている。この会社は、まさしく喫煙コーナーには不可欠な分煙機の製造会社であり、JTと手を携えてタバコの販売に努めている。

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Midori-Anzen: sell the table or promote the tobacco?

 どうやら、この「喫煙コーナー」は、やや地味ながらとても明白な “商品配置(product placement)”であるのは間違いないようだ。


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