【レヴュー】「ether」/レミオロメン~レミオ、真の姿を現す。 | Music Turns Around The World!

【レヴュー】「ether」/レミオロメン~レミオ、真の姿を現す。



アーティスト: レミオロメン
タイトル: ether[エーテル]
Label:SPEEDSTAR RECORDS/VICTOR
(VICL-61577)

●前作「朝顔」以来1年4ヶ月ぶりのセカンドアルバム。
トップ10ヒットとなった「モラトリアム」「南風」を含む12曲収録。「3月9日」「アカシア」及びカップリング収録曲(「春景色」「五月雨」)を含むと6曲がシングル既発だが、充実のポップさを兼ね備えた好盤。個人的には「永遠と一瞬」(5曲目)が好き。

<br clear="all">


●私はこう聞きました●

スケールがいきなりでっかくなったアルバムである。

例えば「モラトリアム」の勢いには結構びっくりしてしまっていた。
レミオロメンと言えば「朝顔」の、自分の半径にある不安をひたすら掘り下げてうずいてる感じがしていたからだ。山梨の神社でずーっと練習を繰り返し、その世界の中で完結していたって言う環境は大きかったのだろうが、少なくとも「3月9日」までのレミオは内に籠もっていくタイプのアーティストに見えていた。

でも、そうじゃなかったのは見え見えだった

特に、藤巻の「不安で心がいっぱいです」と訴えているかのようなエネルギーは、明らかに普通じゃなかったからだ。僕が「モラトリアム」を聞いて感じた勢いとは、その「負」のエネルギーを開き直って「正」に転換した瞬間だったのだと思う。

このアルバムは、つまり「開き直り」である。
前作のような、得体の知れない不透明さを平静を保ちながら歌おうとしているのとは真逆の「不安なもんは不安だ!」とはっきり歌う姿勢。

もちろん、これはライブを多数こなして得た演奏力の向上やメンバーの結束もあるだろう。しかし、やはり藤巻に自信がついたと言うのがでかいんじゃないだろうか。不安を不安として見るのではなく、その先にある希望に何とかたどり着きたい。その気持ちが、楽曲一つ一つに強力な説得力を生んでいる。

このアルバムで、彼らはようやく自分達のスケールに追いついたと言えるだろう。まだこの先に更なる発展も約束されているような、真の意味でのスタートラインとなる快作。