最終章 開札


この件は予定より少し早く掲示板公示になった。

その日、諫元から片山に連絡が入り、片山はすぐに仕様書を取りに行った。

片山はすぐに御厨に連絡をとったが、彼は不在でメールでの連絡になった。

暫くして、片山が見積り会議の段取りをしている頃、メールの返信が来た。
できるだけ早く見積り会議をするようにとの指示だった。


ここまでは、片山の予想通りだったが、次の一文は片山の想定外だった。
すなわち、御厨は当分時間がとれないので、
自分の予定を考慮せずに会議の日程を決めるようにとのことだった。


片山は会議を自分が仕切るつもりではいたが、
御厨が参加はしてくれるものと思っていたので一瞬戸惑った。

しかし、そうも言っておれない。

御厨も言うようにできるだけ早く見積り会議を開催することの方が大切だ。

半ば強引に関係者の同意を取り付け、3日後には見積り会議の予定を入れた。


今まで準備をしていたとはいえ、社内事務処理を考えると、
3日後とはかなりきついスケジュールだったが、
何とか間に合わせることができた。


片山は御厨に言われたとおり、見積り会議を仕切り、
「二千万を切らなきゃダメだろう。」と固執する尾藤の顔も立てて、
一九八〇万円で入札することでまとめた。


富田の部分が千二十万円、桜井の部分が九百六十万円だ。
桜井は多少不満があったようだが、併注にするという前提でこれに応じた。


入札は金額一本で、内訳などはないが、
併注にするためには項目ごとに受注額が明確になっている必要がある。


仕様書は御厨の思惑通り二つの機能、
つまり利息計算と判決文の作成を明確に項番分けしていたので、
受注を分けることが可能だった。


入札の締め切りまで少し余裕はあったが、
片山はとにかく時間がないの一点張りで、
社内事務を強引に押し切って、入札伺いも比較的早く通すことに成功した。


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この物語はフィクションです。
登場する団体名、組織名、個人名は架空のものです。
実際に存在する団体名、組織名、個人名などとの一致があったとしても、
それは偶然に過ぎません。


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