今回の日程には、珍しく「課題の発表」の時間がなかった。
そのかわり、講義が毎日夕食後にも入っており、終了は午後八時になっていた。
「午後八時、楽勝じゃん。」
今までの研修でいつも睡眠不足になっている御厨はそう思った。
実際、講義が二時間くらい伸びたところで、
グループでの課題討議に比べればずっと楽だった。
研修には一人一台のノートPCが用意されており、
事前に用意した自己紹介用の資料、講義で使用された資料の共有のほか、
講師や事務局、研修参加者同士のメールのやり取りも出来るようになっていた。
しかし、用意されていたオフィスソフトのバージョンが少し古く、
せっかく作ってきたデータを開けず、
事務局のPCを利用して変換する必要が出る人もいた。
御厨は、念のため、最新バージョンとひとつ前のバージョンの
両方の形式で保存していたので、事なきを得た。
今回のテーマは「新製品の企画開発」であった。
しかし、業種も分野も違う企業の部長連中に共通の新製品などありえない。
講義では、日元総合電機以外の企業からも
時代をリードした製品開発に携わった人物を招聘し、
その苦労話の中から、新製品開発のヒントを得ようと言うものである。
共通の製品はなくとも共通の考え方はあるはずだというのが、その根拠だ。
また、知的所有権戦略やマーケティング戦略なども入っていた。
講義は結構面白かった。
講師は既に第一線を退かれた方々が中心であったが、
実際に開発に携われた方の話は事実に基づいたものであり、迫力があった。
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