日本の分岐点「警告」 -428ページ目

東南アジアの某国「民主化へのうねり」

世界警察某国支部


クルト・イプセン署長に呼ばれウー・ペートゥィンとコ・ソーナインが所長室に入った。
所長室には昨日の僧侶と女性がソファーに座って署長と話をしている。


署長「ウー・ペートゥィン、コ・ソーナイン」
「ご苦労、お二人に世界警察の説明をしておいた。」
「協力をお願いし快く了承もしていただいた。」
「今後のことは二人がお話を聞き対処してくれ。」
「逐一報告はするように。」


ウー・ペートゥィンとコ・ソーナイン「了解しました。」


ウー・ペートゥィンとコ・ソーナインは僧侶と女性と一緒に署長室を出会議室に移動した。

僧「タウングー寺院の僧侶のティーラポルと言います。」
女性「ラーンナータイ大学の学生でタン・ゼン・ウーです。」
タン・ゼン・ウー「昨日は疑ったりしてごめんなさい。」
僧「デモの情報は当局に知られると妨害等があるので。」
ウー・ペートゥィン「署長から世界警察機構の方針は聞いてもらったと思いますが、デモの参加者の保護が目的です。」
コ・ソーナイン「デモで死傷者が出ないように勤めるのが役目なので、デモの情報がないと保護ができない事になります。」
女性「わかりました。」
  「これから私達の同志の所へ案内しますので、同志達にも世界警察機構のことを話していただけませんか?」
ウー・ペートゥィン「わかりました、お二人はここへは何でこられました?」
僧「二人で歩いてきました。」
ウー・ペートゥィン「では、我々の自動車で行きましょう。」


ウー・ペートゥィン達はタウングー寺院の近くの古びた民家にやってきた。
民家に入った所の広間は閑散とし人の気配はしない。
民家を抜けて裏庭に出ると、裏庭に離れが建っている。
離れの建物中に数人の人影がうかがえた。
この地域の僧侶と学生の連絡場所となっている。


ティーラポルとタン・ゼン・ウーの案内でウー・ペートゥィンとコ・ソーナインは離れに入った。
離れの建物の中には学生風の男女4人がテーブルを囲い椅子に腰掛ていた。


ティーラポルを見た男の学生が「ティーラポルさん、タン・ゼン・ウーがメッセージを書いたTシャツを作りデモで着ると言い出して。」


デモをする時に通常はプラカードなどを掲げるが、この国ではプラカードを掲げる風習は無い。
皆、口々に民主化を唱えながら行進する事がこの国のデモの形だ。


タン・ゼン・ウーは、ただ唱えるだけでは外国から来ているメディアに訴える事ができないので、せめてTシャツにメッセージを託そうと言うのだ。


ティーラポル「タン・ゼン・ウー、メッセージを書いたTシャツは軍の標的になる確率が高く危険だ。」
タン・ゼン・ウー「危険なのはわかっているが、外国のメディアへメッセージを私は伝えたい。」
ティーラポル「私たち僧侶は、デモで誰も負傷してほしくない。」「軍の標的になれば命をなくすことになる可能性もある。」


二人が言い争っている間にウー・ペートゥィンが割り込んだ。


ウー・ペートゥィン「我々の仕事はデモの参加者の安全を守ることにあり、危険な行為をとめることも仕事の内です。」
「タン・ゼン・ウーさんの主張も理解できますので、本部と相談してみますので明日の午後、もう一度支部まで来ていただけますか。」


タン・ゼン・ウーが学生達にウー・ペートゥィンとコ・ソーナインを紹介した。


ウー・ペートゥィンとコ・ソーナインは支部に戻るとすぐに署長室へ向かった。
クルト・イプセン署長は何処かと電話で話していた。
ウー・ペートゥィン達を見て電話に「今、戻ってきましたので話を聞いて後で電話します。」と言って電話を切った。


ウー・ペートゥィンは、Tシャツのアイデアやタン・ゼン・ウーの主張と危険性を報告し、明日の午後、もう一度来てもらう約束をしたことを告げた。
クルト・イプセン署長は、ウー・ペートゥィンの報告を聞くとすぐに電話をかけていた。