木造校舎の15歳  6  修学旅行  その3 | 木造校舎の15歳  昭和30年代前半の中学生群像を描いています。山口の農村地帯の長閑な中学時代です

木造校舎の15歳  6  修学旅行  その3

「わぁ-! あれが真知子岩ちゃぁ-!なんかロマンチックちゃぁ-」「ほんとちゃぁ-!うちも大人になったらあねぇ-な恋をしてみたいちゃぁ-」「なにょぅ-いいよるそ、あんたにゃぁ-無理っちゃぁ-、鏡見てみぃねぇ-」「ふん!大人になったら解りゃぁ-せんけぇ-ねぇ-」

そろそろ幼い恋を知り始めた、思春期真っ盛りの年頃、当時人気のあった「君の名」に憧れるのも無理からぬ話。雲仙地獄巡りは、この「真知子岩」で盛り上がりっぱなし。カメラを持ってらした先生の後をゾロゾロついて歩きました。運が良ければその岩で撮ってもらえるかも、という期待があって...へへぇ、実は私は撮ってもらいました☆
この旅行中の写真では、後で少々騒ぎが起きます。

足が速くて、スラリとした女の子が、他のクラスにいました。顔もちょっと大人びています。その子を、うちの担任の先生がその真知子岩で撮られました。彼女の写真は、遠足の時にも撮られた事があり、その時にもちょっとした騒動が...とにかく彼女は絵になります。

「ねぇ-なしてからYちゃんなそぉ-おかしいちゃぁ-」「それっちゃぁ-。大体隣りのクラスじゃろうがぁ-」「それそれ! ほいじゃけど、撮ってもらう方も撮ってもらう方っちゃぁ-あつかましいっちゃぁ-ねぇ-」「それっちゃぁ-ねぇ-うちだって撮ってもらいたかったそにぃ-よぅ-いえんじゃったんよぉ-もう!...」「先生もひどいっちゃぁ-他所のクラスの子を撮るんじゃったら、うちのクラスの子をまとめて撮ってくれっちゃってもよかろうそぃねぇ-」「それっちゃぁ-ねぇ-」

もうそのうるさいこと、うるさいこと、みんな気持ちがおさまらないので、わぁ-わぁ-キャァ-キャァ-大騒ぎです。でも私は撮ってもらっているので、なんとも複雑な気持ちです。彼女の事については、遠足の時の写真でも担任と言い争っています。担任の好みではなさそうなのに、なぜか写真となると彼女なのです...

雲仙の地獄巡りは、湯気が噴出している岩場を歩くのです。ズックとはいえ、歩き辛いです。それに別府の地獄巡りと違って、見るべきものはありません。別府の印象が強かっただけに、あまり面白くなく、みんな「なしてからこねぇ-な所を歩かんにゃぁ-いけんそぉ-」と、ブツブツ文句いいながら歩きました...

明日はいよいよ阿蘇山です。